26日付『日刊ゲンダイ』の「民放の制作費削減と決算の関係」についての特集記事。
各局が“黒字決算”となったことに関して、コメントをしている。
見出し:
「番組の質を低下させるような
コストカットはやらない」
制作費大幅削減で黒字決算の民放キー局はNHK福地会長の言葉をどう聞く!?
記事本文:
先週で民放各局の09年度決算が出揃った。
赤字はTBS(約23億円)だけで、それ以外の4局は黒字になったが、黒字決算を支えたのはおしなべて制作費の大幅なカット。
受信料収入が伸び悩んでいるNHKの福地茂雄会長があえて「放送の品質を絶対に落としてはならない」「いい放送をするためにコストカットは絶対やらない」と明言しているのとはまったく対照的で、09年度の民放は番組の質よりも“儲け”に走ったわけだ。
これでは番組の中身でNHKに太刀打ちできないのは当たり前。今後も差は広がる一方だろう。
そこでまずは各局の内訳を確認すると――。
前期に開局以来初めて純損益が赤字になったテレビ朝日は30億円の黒字を確保。
日本テレビは前期比3倍増の165億円、フジテレビは前期比55%減だが74億円。テレビ東京は11億円の黒字と“好成績”になった。
各局の番組制作費はというと、TBSは105億円カットして1050億円。早河洋社長が年間200億円のコスト削減を目標に掲げていたテレ朝は、146億円の756億円。
日テレは175億円カットの947億円、フジは53億円カットの1049億円、テレ東は73億円カットの335億円といった具合。
いかに、番組制作費の削減が企業利益に貢献したかを物語っている。
「制作費の削減分がそのまま赤字の穴埋めになっただけ。黒字だからといって喜んでいられる状況じゃありません」というのは上智大学教授(メディア論)の碓井広義氏だ。
「制作費の安いお手軽なクイズ番組や雑学番組ばかりでは、視聴者はソッポを向く。その結果、見応えのある番組の多いNHKに“お客”が逃げるという悪循環です。
“NHKは受信料収入があるから”というのを言い訳にしていたら、民放とNHKの差は開くばかり。
制作費を削る前に高額の役員報酬や給料を減らすとかやることはある。自分たちは痛い思いをせずに商品の質を下げて黒字を出すような経営が、長続きするはずがありません」
民放幹部は福地会長の声をどう聞くのか。
(日刊ゲンダイ 2010.05.26付)