ボーズ頭とは別の刑事が言う。
「ここではナンですから、クルマの中でお話をうかがいましょうか」。
おいおい、冗談じゃない。
「ここで結構です」と断って、さっきの「あなたは何者?」という質問に答える。
名乗りながら名刺を出すと、続けて運転免許証を求められた。
なるほど、名刺は他人の物かもしれないもんね。
家内の実家に“田植え”で来ている。事件発生の午前4時には、まだ到着していなかったことなど説明。
私が話している途中で、彼らが“落胆”していくのが見てとれた(笑)。
「いや、すみません。先生(って呼びだしたぞ)にしては(ってどういう意味だ?)しっかりした体格だったもので・・・」
おいおい、防犯カメラの映像だと、帽子にマスクで人相はよく分かんないじゃん。体格が容疑者と似てたわけ?(笑)
私は「まあ、お仕事、ご苦労さまです」と大人の対応で、“不審尋問”初体験を終了させていただいた。
3台のクルマに分乗し、去っていく6人の刑事。
それを見送りながら、気がついた。
彼らは、私がコンビニから出てくるところに偶然遭遇したわけではない。
待ち構えていたのだ。
つまり、おそらく私は、店内をじっくり楽しんでいる間に、店員さんに「もしかしたら似ている」とか判断され、“通報”されたんだろう。
でなきゃ、6人もの刑事が駆け寄ってこない(笑)。
いやあ、すごいなあ。
だって、今回は、たまたま名刺や免許やケータイなど一式が入ったカバンを持ってコンビニに行ってたわけだが、すぐ近所だから、財布だけでぶらっと来ていてもおかしくなかったのだ。
「アナタは何者で、何をしているのか」という問いかけに、手ぶらで対応するのって、結構大変かもしれない。
人生には、まだまだ、いろんな“初体験”が残っているようだ(笑)。