この家を建ててから、もう1年が経った。
あっという間だった気もするし、もう随分長い間、暮らしているような気もする。
仕事でお世話になっている方に、新居の写真が入った年賀状を送ったら、
次にお話したとき、
「すごく素敵なおうちやね」と褒めていただいた。
でも、私が嬉しかったのはそのことではなく、その方が、こう言ってくれたからだ。
「かおりちゃん、がんばったからやね」
私はそれを聞いたときに、涙が出そうになった。
たぶん、私は誰かにそう言ってほしかったんだと思う。
確かに夫がいなければ、この家は手に入らなかったけれど、
夫もまた、私がいなければこの家を手にすることはなかった。
私たちは同等だ。
だから、私も誰かに「がんばったね」と声をかけてほしかったんだと思う。
ふと、大学を卒業してライターになって、家を出ることになったときのことを思い出した。
母とカーテンを見に行った帰りだったと思う。
「なんか怖くなる」と言った私に、母は言った。
「夢が叶っていくから?」
「うん……」
私が出て行くことを母はきっと淋しく思っていたと思う。
それでも母はこう言ってくれた。
「頑張ったんだから、いいのよ!」
頑張ったんだから、いいんだ……
私はそう自分に言い聞かせて、逃げるように大好きな町を出て行った。
それから数年間、随分と孤独な時間を過ごした。
4年半経って、またこの町に戻り、それから3軒目の家が今の新居。
あの時、出て行ったことを私は後悔していない。
あの時間もまた、私には必要だったんだと今はわかる。
「がんばったからやね」
この間、そう言ってもらったときに、そんな昔のことを思い出した。
-----------------------------------
新居に引っ越して1年経ったので、夫が繰り上げ返済をしようと言いだした。
毎月のローン返済以外にも、1年に一度はまとめて繰り上げ返済をしようとのこと。
お互い家計を出し合って、私がそれをやりくりして、家の貯金もしている。
なので、夫が言った。
「そろそろ繰り上げ返済しようと思うから、貯まってるお金ちょうだい」
「・・・」
「どうしたん?まさか……?!」
「いや、ちょっと……、今お金ないんで、家計から借りててさぁ……」
「かおりっ!!」
いやいやいや……
そんな何十万円も借りてるわけではない。
12万円くらい?
それも、別に自分のお金がゼロなわけではないんだけど、銀行からおろすのも面倒なんで、現金を使っていたら、そんなことになっているだけで……
「銀行のお金をおろしたら、すぐに払えるんだから、まあいいじゃない」と私。
それに、今はスリムクラブ状態なんだから仕方がないんだと、必死に説明した。
「もう何十万円分も仕事してるんだよ。お金がまだ入ってきてないからちょっと借りてるけど、あてはあるから大丈夫」
私が言うと、優しい夫は同情したように
「かおりって、ほんまにお金ないんやな……」と言った。
夫婦でこの会話もおかしいけど。
「いや、あるよ!12万円くらい借りてるけど、自分のお金は15万円くらいはあるねん」
「え?じゃあ、ほんまの自分の貯金は、3万円?」
「うん。でも、すぐに入ってくるから大丈夫!」
「そんなんやのに、飲みに行ったりしてるんか?!怖くないん?!」
「なんで?ぜーんぜん」
・・・・
「くるくるぱーか!!」
びくぅぅぅ
こんな歳になって、生まれて初めて、人に「くるくるぱー」と言われたのであった……
それも夫に……
なんでくるくるぱーなのか、全く意味がわからない。
私はお金を稼ぐことと使うことが大好きで、貯めることには全く興味が湧かないのだ。
しかし、その時、この間、貯金のないもんちゃんが私に言った言葉を思い出し、はっとした
「貯金は絶対したほうがいいよ……」
夫の「くるくるぱー」よりも、もんちゃんの切実な忠告のほうが私の心に訴えるものがあった……
あっという間だった気もするし、もう随分長い間、暮らしているような気もする。
仕事でお世話になっている方に、新居の写真が入った年賀状を送ったら、
次にお話したとき、
「すごく素敵なおうちやね」と褒めていただいた。
でも、私が嬉しかったのはそのことではなく、その方が、こう言ってくれたからだ。
「かおりちゃん、がんばったからやね」
私はそれを聞いたときに、涙が出そうになった。
たぶん、私は誰かにそう言ってほしかったんだと思う。
確かに夫がいなければ、この家は手に入らなかったけれど、
夫もまた、私がいなければこの家を手にすることはなかった。
私たちは同等だ。
だから、私も誰かに「がんばったね」と声をかけてほしかったんだと思う。
ふと、大学を卒業してライターになって、家を出ることになったときのことを思い出した。
母とカーテンを見に行った帰りだったと思う。
「なんか怖くなる」と言った私に、母は言った。
「夢が叶っていくから?」
「うん……」
私が出て行くことを母はきっと淋しく思っていたと思う。
それでも母はこう言ってくれた。
「頑張ったんだから、いいのよ!」
頑張ったんだから、いいんだ……
私はそう自分に言い聞かせて、逃げるように大好きな町を出て行った。
それから数年間、随分と孤独な時間を過ごした。
4年半経って、またこの町に戻り、それから3軒目の家が今の新居。
あの時、出て行ったことを私は後悔していない。
あの時間もまた、私には必要だったんだと今はわかる。
「がんばったからやね」
この間、そう言ってもらったときに、そんな昔のことを思い出した。
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新居に引っ越して1年経ったので、夫が繰り上げ返済をしようと言いだした。
毎月のローン返済以外にも、1年に一度はまとめて繰り上げ返済をしようとのこと。
お互い家計を出し合って、私がそれをやりくりして、家の貯金もしている。
なので、夫が言った。
「そろそろ繰り上げ返済しようと思うから、貯まってるお金ちょうだい」
「・・・」
「どうしたん?まさか……?!」
「いや、ちょっと……、今お金ないんで、家計から借りててさぁ……」
「かおりっ!!」
いやいやいや……
そんな何十万円も借りてるわけではない。
12万円くらい?
それも、別に自分のお金がゼロなわけではないんだけど、銀行からおろすのも面倒なんで、現金を使っていたら、そんなことになっているだけで……
「銀行のお金をおろしたら、すぐに払えるんだから、まあいいじゃない」と私。
それに、今はスリムクラブ状態なんだから仕方がないんだと、必死に説明した。
「もう何十万円分も仕事してるんだよ。お金がまだ入ってきてないからちょっと借りてるけど、あてはあるから大丈夫」
私が言うと、優しい夫は同情したように
「かおりって、ほんまにお金ないんやな……」と言った。
夫婦でこの会話もおかしいけど。
「いや、あるよ!12万円くらい借りてるけど、自分のお金は15万円くらいはあるねん」
「え?じゃあ、ほんまの自分の貯金は、3万円?」
「うん。でも、すぐに入ってくるから大丈夫!」
「そんなんやのに、飲みに行ったりしてるんか?!怖くないん?!」
「なんで?ぜーんぜん」
・・・・
「くるくるぱーか!!」
びくぅぅぅ
こんな歳になって、生まれて初めて、人に「くるくるぱー」と言われたのであった……
それも夫に……
なんでくるくるぱーなのか、全く意味がわからない。
私はお金を稼ぐことと使うことが大好きで、貯めることには全く興味が湧かないのだ。
しかし、その時、この間、貯金のないもんちゃんが私に言った言葉を思い出し、はっとした
「貯金は絶対したほうがいいよ……」
夫の「くるくるぱー」よりも、もんちゃんの切実な忠告のほうが私の心に訴えるものがあった……
貯金って難しいですよね、手元に置いておくような貯金は絶対使ってしまう自信があります!
入れるだけで絶対に(有事にしか)引きださない口座を作るしかないってことですね・・・
貯金は本当に難しい……
thanもライブや旅行やら好きやし、よく使いそうやなぁ
>入れるだけで絶対に(有事にしか)引きださない
この「有事」が多すぎるんだよな、私は。
っていうか、有事の定義がおかしい?!(笑)
久しぶりの友達との飲み会も有事です。
そして、今までで貯金に成功したのは、「人に預かってもらう」という方法だけです……