明日元気になれ。―part2

毎日いろいろあるけれど、とりあえずご飯と酒がおいしけりゃ、
明日もなんとかなるんじゃないか?

再読フェア実施中 山本周五郎「さぶ」

2009-02-18 22:44:31 | 
本屋に行く時間がないので、また「再読フェア」を実施中。
大学時代に読んだきりだった、山本周五郎の「さぶ」を読んだ。
面白くて、塾の行き帰り3日くらいで読んだ。

私がこの作品に関して書いた、昔のレビューがあったので、まずはそれを。

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江戸時代を背景にした「さぶ」と「栄二」という
2人の男の生き様を描いた人情物語。
さぶは愚鈍だが誠実な男。栄二は見た目もやることも男前。
タイトルは「さぶ」なのだが、これは栄二の物語である。
読んだ人は誰でも栄二に惹かれてしまうのではないだろうか。
山本周五郎の作品は他にもいっぱいいいものがあるが、
やっぱりこれが私には一番たまらない。
日本人が本来もっている「人情」を描かせたら
山本周五郎の右に出る人はいないだろう。
無実の罪をかぶり、島流しに遭う栄二。
けれど、どんなときも誠実で、とにかくやることも
言うこともみんなかっこいいのだ。
日本男児はこうあるべき!
友情、真実の愛なども見えてくる、本当の名作だ。

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再読しても、それほど感想は変わらないが、
今回私が注目したのは、なぜこのタイトルが「さぶ」なのかということだった。
どう考えても、主人公は「さぶ」ではなく、「栄二」なのだ。

1回目に読んだときには、栄二という人物の格好良さばかりが目についた。
だけど、再読してみれば、栄二の激しすぎる恨みや行動に目を伏せたくなることが多かった。
これは私が年をとったからなのだろうか。

そして、さぶこそが、栄二を救ったことをしっかりと感じられた。
人は一人では生きていけない。
才能があり、何でもできるように思われている人でも、
その後ろには必ず支えてくれている人がいるのだ。
この物語ではそれが「さぶ」である。
それを実感できた。

だからこそ、この物語のタイトルは「さぶ」なのだろう。

20歳の頃に日本文学をほとんど読んだ。
あの頃感じたものと、今感じるものはたぶん違うのだろうなと
これを読んで確信した。

これからまた再読フェアを続けよう。
今読んでみるとまた違った感想が生まれるのだろうな。

次は、安部公房か、川端康成にしよう。