明日元気になれ。―part2

毎日いろいろあるけれど、とりあえずご飯と酒がおいしけりゃ、
明日もなんとかなるんじゃないか?

世界が色付く瞬間

2009-02-05 23:17:56 | 仕事
最近、八尾や守口にある製造業の中小企業を取材してまわっている。
昨日は研磨工場、
今日は刃物工場、
その前はレーザー加工工場やバネ加工工場……。

どこも10~60名程度の小規模な企業だ。
この1年でたくさんの工場をまわり、いろんなものの生産工程を見た。
私の知らない世界がそこにはあった。

いろんな企業の社長さんの話を聞いた。
若手社員の話も聞いた。
自分の中に随分たくさんのものが蓄積されたような気がする。

この中で実際に仕事として依頼されて書けるのはほんの少し。
あとは全部自分の肥やしだ。

学生の頃にしていた「旅」に似ている、とふと思う。

いろんなところへ行って、自分とは違う生活を見て、
人と出会って、話を聞いて。
その経験は生産性はなくても、自分の中に確かに蓄積されていった。
あの感じと似ている。

今、本当に製造業の中小企業は大変で。
それを昨日も延々とある会社の専務さんが語っていた。
景気はいつか上を向く。
その日までなんとかこらえて、辛抱して、策を立てて、生き残ろうとしている。

ピークの半分くらいしか仕事はないそうだ。
「休んでもらっている人」もいる、という。
本当に大変だ。

だけど、工場から駅まで車で送ってくださって、
降りる時に専務が笑顔で言った。
「頑張ってください!」

……

たったそれだけのことなんだけど、なんてことはないのだけど、
白黒の世界にパッと色が付いたみたいに、感性がバクハツしそうに動く瞬間。

自分が大変なときに、人に「頑張ってください!」って笑顔で言える、
そういう気持ちがすごくすごく大切なんだと思うのだ。

よし、頑張ろうって思った。

心があったかくなって、一気に幸せな気持ちが押し寄せてきた。

そして、いろんな人の人生を、生き方を、生活を、想いを、
ほんの断片であるにしろ「文章」という形にできる、
この仕事を本当に好きだと思った。
それは、私自身の中にいろんなものがたまっていくからだ。
まるで旅をするように。

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しかし、仕事はといえば、全く進展がない。
3歩歩いて、2.5歩下がる……
そんな3週間。

例の30ページの冊子。
4分割して毎週月曜日に提出しているのだが、
ことごとくやり直し。
それも単なる修正だけでなく、途中でページレイアウトが変わったり、
原稿を作成した後に文字数が決まったり、
ある程度まとめていたら新たに資料が届いたり、
意図が担当者と通じ合っていなかったり、
もういろんなことがかみ合わない。
担当者の方も遅くまで残ってやってくれているので感謝しているのだが、
どうもうまくいかない。
自分が悪いのかなぁと反省もしてみたり。

修正は返ってくるが、新たな締め切りは待っちゃくれない。
というわけで、日を追うごとに仕事は増える一方。
その週のノルマ+修正分。

昨日も塾から帰ったら11時だったが、家のことを少しやって、
お風呂に入って、それからまた1時半まで修正……。
そして、今日は朝から取材。
帰ってまた修正。
他の取引先の原稿。
そして、塾。

今日は塾はお休みだったはずなんだけど、
生徒に頼まれて個人的に補習をしていた。
ずっとさぼっていたくせに、「休み」だというと、
「休んでる場合じゃないやろ!」と言う……

今までさんざんさぼってたくせに、直前になってなんやねんとも思うけど、
それでもやる気になっている生徒をほってはおけない。
あー、仕事がぁ……と思いながらも「じゃあ、個別でやろうか?」と言うと、喜んで「うん!やる!」という。

その顔を見たら、まあ、いいか……と思ってしまうのは、私の甘さか?

しかし、中3なのに指で計算するような子で、
数週間で中1からのことを全部やろうなんて無茶な話だ。
とりあえずゆっくりやろうと自分に言い聞かせ、
正負の計算と連立方程式をやった。

「どうして今までやらなかったの?!」と怒りたくなるくらい、
本当に真剣にやっている。

「スケボーやってた。高校なんてなんとかなると思ってた」と言う。
なんとかならないことをわかっただけでも、
この先の人生が変わるからよかったよ……(とは言わなかったが)

さらに、願書と一緒に提出する自己申告書を手伝ってほしいという子が二人来て。
てんやわんや。
だけど、仕上がった自己申告書を見て、真っ赤に火照った可愛い顔で
「せんせい、ありがとう!!ほんまに助かったわ!」
と言うのを聞いたら、もう後の仕事なんてなんとでもなるわい!と思ってしまう。

今日初めて自分の力で連立方程式が解けた子も
ちょっと嬉しそうな顔をしていた。
確実に進歩!

私立入試まであと5日。
公立までも数えるほどしかない。
残り少ないこの時間に、私がしてあげられることは何なのかと真剣に考える。
今までやってこなかった本人が悪いのだけど、
でも、やっぱりこの子の人生に少しでも関わってしまった限り、
なんとかしたいと思ってしまう。
やれることは本当に少ないんだけど。

でも、家に帰るとまた修正原稿がたっぷり届いているわけだ。

今からまたやるんだけど、もうストレスたまりまくりで、
とりあえず「書きたい」と思ったのでブログを書いた。
不思議なことに書くとスッキリするんだなぁ。

それから、1通ステキなメールがあった。
この間、取材をした女性から。
私の書いた記事を読んで、本当に嬉しかったと。
ありがとうございました。
というようなメールだった。

忙しく、うまくいかず、焦りとストレスで叫びだしたい夜も、
こんなちょっとしたことで救われる。

とりあえず、がんばる。