明日元気になれ。―part2

毎日いろいろあるけれど、とりあえずご飯と酒がおいしけりゃ、
明日もなんとかなるんじゃないか?

私たちを待ってくれていた「家」

2007-01-21 23:22:07 | 
「家には魂が宿る」

これは、私がずっと信じていること。

家には魂が宿る。
だから、家も人と同じように、愛せるものでなければならない。
気が合うヤツでなければならない。

新しくて立派でも、どんなに大きくても、好きになれない家もあるし、
ちょっと古くて小さくても、入った瞬間に「いらっしゃい」「おかえり」と言ってくれる素敵な家もある。

彼と2人で新居探し。
この時期は引越しシーズンで、大げさではなく本当に「瞬く間に」どんどんいい物件は契約が決まっていく。

チラシを見てメールをもらっていた「いいな」と思っていた新築のマンションは、不動産屋を訪れた2時間前、別の人のものになっていた。

がっかりしたが、気をとりなおして、いくつか物件を出してもらい、3軒内覧させてもらうことに。

その中で、間取りを見たときには一番期待していなかった、一番古い家に入った時、一瞬で「ああ、ここだ」とわかった。
ここが、私たちの住む家だと。
とても気の合うヤツだと。

昭和に建った、2階建てのハイツ。
今なら絶対建てないデザインだ。
お世辞にも「オシャレ」とは言えない。

だけど、ドアを開けてもらい、中に入ったら、なんだかずっと自分がここで暮らしていたような錯覚に陥った。
南向きの窓を開けると、視界を遮る高い建物なんかなくて、道の向こうに田んぼが見えた。
そして、西向きのベランダに出ると、そこは、田んぼだった。
一面田んぼ、というわけじゃなくて、まるでこのベランダからの風景のためにあるような小さな田んぼなのだけど、それを見てほっとした。

もう今度暮らす家からは、田んぼなんか見えないと思っていたからだ。
今の私の家は、ベランダから一面の田んぼと山が見える。
この風景が好きで、この風景のために、寒い寒いこの家を選んだようなものだった。

でも、今度は南と西に窓がある。
「夏は暑いですよ」と言われたけれど、北向きの家に暮らしてみればわかる。
どれだけお日様が人の暮らしには大切か。
私はもう太陽のない生活は嫌だった。

3軒まわったけれど、私の心は決まっていた。
ここがよかった。
「相対的」ではなく「絶対的」に物事を決める私は、他の不動産屋をあたってみるつもりは全くなかった。
だけど、彼はどうなんだろう?

普段は慎重派で、何を決めるときでも、「もういいやん」といくら言っても、「一応見るだけ」「念のため見てみよう」と言う彼だから、たとえここを気に入っても、「一応、他もあたってみよう」と言うと思っていた。
もしくは、「ちょっと1日考えよう」とか。

「そんなことしてたら、他の人にとられる!どうすんのよ!」とケンカになるのを覚悟で、彼に尋ねると、驚いたことに彼はこう言った。

「ここがいい。ここに決めよう」

不動産屋を訪れてから、たった2時間で、私たちは契約金を支払っていた。
何の迷いもなかった。

「2人の感性が同じでよかったですね」と不動産屋が言った。
本当にそうだと思った。
あの家に入った瞬間、「ここだ」とわかったのは、私だけじゃなかったんだ。
震えるほど、嬉しかった。

場所は、今の私の家から徒歩10分。
あと2年、この町にまだ住める。
あと2年、寿命が延びたような、そんな気持ち。
この町にいれば、どんなことも頑張れる。
何があっても、私は平気なんだ。

建物は古いけれど、中はリフォームしたばかりで、水周りは誰も使っていないからとてもキレイ。
10畳のリビングは優しい色のフローリングで、それも張り替えたばかりでキレイ。収納もある。
6畳の和室も窓が2つ。畳も新しく、収納もある。
6畳の洋室も窓が2つ。ここにも収納があり、全てが新しい。
キッチンは今と同じくらいのサイズ。料理もはかどりそう。
ベランダは今よりずっと広くて、洗濯物がいっぱい干せる。
玄関も靴箱が置けるし、1メートルくらいだけど、廊下もあるから、入ってすぐに部屋ということはない。
駅から徒歩4分。
すべてが理想的だった。
まるで、私のために用意されて待ってくれていたよう。

リビングに、ローテーブルを置いて、また友達をいっぱい呼んで、パーティーをしよう。
そんな情景が自然に目に浮かんで、顔がほころんでくる。
自分が暮らしているイメージが、とても自然だった。

ここが私と彼のスタート地点。
優しくてあったかい家でよかった。

私にも本当に「我が家」ができたのだ。