平成23(2011)年度は、武田薬品工業KKの「京都薬用植物園」と日本新薬KKの「山科植物資料館」を見学させていただいた。両植物園とも最長樹高の樹木はメタセコイアで、前者の樹齢は60歳、後者は65歳と伺った。山科植物資料館のメタセコイア(和名アケボノスギ)は周辺の住宅化が進み、近隣マンションの高さに切断したと聞いたが、恐るべき成長速度である。
メタセコイアの命名者は日本の三木茂博士で、昭和14(1939)年に関西地方で化石として発見、1941年に学会発表され、絶滅種の樹木とされていたが、数年後の1945年に中国四川省に現存することが判明し、「生きている化石」と話題を呼んだ。日本への伝来は、昭和24(1949)年アメリカのカリフオニア大学のチエニー博士が天皇に四川省の苗を献上したのが最初で、その翌年届いた苗が全国に配布されたという歴史の浅い樹木である。
関西地区で一番有名なメタセコイアは、琵琶湖の北端に近い滋賀県高島市に存在する「マキノ高原のメタセコイア並木道」である。今秋は、メタセコイアの思い出の締めくくりとして見学する機会を得た。
この並木道は、県道に沿って延長2.4kmにわたって約500本が植えられている。説明版によると、この並木は、昭和56(1981)年に学童農園「マキノ土に学ぶ里」整備事業の一環としてマキノ町果樹生産組合が植えたのがはじまりで、その後も植え継がれてから約30年で現在の雄大な姿になったものである。
この並木道は、1994年11月に読売新聞社の「新・日本の街路樹百景」に選定された。もう1ヶ所、新潟県豊栄市朝日町のメタセコイア並木が選定されているが、ここは1km・186本であるから、滋賀県高島町の並木道は日本随一の「メタセコイア並木道」である。この並木道は、春の芽吹き・新緑・夏の深緑・秋の紅葉・冬の裸樹と四季折々に美しく、円錐形のメタセコイアの並木とまっすぐに伸びる道路が造り出す対称敬形の整った景観はすばらしいと紹介されている。