ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

中秋の名月と団子汁

2020年10月01日 | 俳句

 今日は10月1日、陰暦では8月15日…そうです、中秋の名月なんですよ。

  月幾世照らせし鴟尾(しび)に今日の月        水原秋櫻子

 この句についての水原秋櫻子先生の述懐が、『秋櫻子俳句365日』にありました。さすがは秋櫻子先生!この名月を見んがため…だけではないようですが、はるばる奈良まで出かけられているんです。その情熱を、読んでどうぞ感じて下さい。先生がもう75歳をとうに過ぎた頃なんですって。見習わなくては…ネッ。

 唐招提寺の仲秋讃仏会にて詠む。

 急に思い立って出掛けてきたのだが、降り続いていた雨が名古屋付近で上がって、青空が覗いた。これなら、月が見えるかもしれない。六時に開門。開かれた金堂の中の諸仏が光り輝くのが見え、そこまでの左右には、紙燭がおかれ、導いてくれるかのようだ。

 裏手の御影堂へ行く。前庭に大きな花瓶があり、月の供華が挿してあり、お抹茶が頂けるようになっている。

 献茶中に、一瞬雲がきれて名月がのぞく、待っていた人々から、歓声があがった。しばらく厨子の前に坐っていた。厚いとばりで、和上の像は見えないけれど、気持ちの良いひとときを過ごした。金堂に戻ってくると、遠雷が俄に近づいて、大粒の雨が降り始めた。諸仏の照り輝いているところへ、白雨が降りそそいで、一層素晴らしい眺めであった。(昭和45年・句集『緑雲』所収)

 先ほど外に出てみましたら、それはそれはキレイなお月様でした。

 そうだ!そうだ!今日はお団子の代わりに〝団子汁〟を作ろうと…思いつきました。この団子汁は、父が大好きで母の自慢の料理の一つ。私も小さい頃から好きで、よく食べていましたから。

 大分では、団子汁が名物郷土料理になっています。しかし、以前大分の食事処などで食べた団子汁は、母のとは大違いなんです。

 〝名月〟は新芋の頃ですので〝芋名月〟とも言われます。だから、昔は里芋を皮付きのまま茹でた〝衣被(きぬかづき)〟を枡に入れて、我が家でも供えていました。

  土砂降の芋名月とこそはなりぬ        石塚友二

 しかし、母の団子汁に入れるのは、里芋ではなくて必ず甘藷(さつまいも)でした。団子は母が小麦粉を直に手で捏ねて、それを手で引き延ばしながらちぎって入れるもの。その団子がモチモチとして…これが美味しいんですよ。この団子の味はどんなにお金を出しても食べられないものなんです。

 大分ではお土産に団子汁を売っていますが、その団子は既成の幅広のうどんのようなもので…、マズいとはいいませんが、それなりのものです。いつか、大分にいた友人が作ってくれた団子汁も…言っちゃなんですが、〝違う!違う!こんなもんじゃないわ〟と、でも、…黙っていました。

 私の団子汁は、幼い頃から体で覚えた母譲りのものですから…誰に食べさせても、今まで美味しくないということばを聞いたことがありません。アハハ…これ、手前味噌ですね。でも、これだけは自信があるんですよ。あの団子のコシは、小麦粉が何ぼで水がいくらだとかいうように、数字的には説明できません。殆どがカンと手の感触だけで作りますので、教えることもできないのです。でも…自分で言うのもナンですが、本当に美味しいんですよ。アハッ、しつこいね!(笑)

 具のタップリ入った団子汁は、栄養価も高く、特に冬場には体が温まっていいものです。では、今日の具を紹介しましょう。豚肉、白菜、人参、椎茸、平天(薩摩揚げ)、甘藷、それらを煮て、味噌で仕立てる。団子は最後に入れて、一煮立ちしたら葱を散らして出来上がり。具は、他に大根や牛蒡など、何でもあるものでいいのですが、イモ類は甘藷だけにします。そうすると、藷の甘みが味噌と混じって絶妙の味になるんですよ。藷嫌いの主人でも、美味しいと言って食べますので、是非一度お試し下さいね。

 

コメント (5)
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