今を遡ること、多分十年とチョイ前くらいの、まだ公僕だった頃の事―――
外回りをしていたかもしたに、所長から直電がかかってきました。
<今、窓口担当の後輩ちゃんから連絡あったの。直ぐ行って見てあげて!>
多分、外回りの場所が、その出先窓口と近かったからかと思いますが、大急ぎで向かったところ、泣きそうな顔の後輩Sちゃんと、ベビーカーのお母さんが面接中。入って行ったらお母さん、ほぼほぼ鬼の形相。
「あなた何?」というので、職員証明書を見せながら「窓口は他のお客様もいらっしゃいますので、別室でお話伺わせていただいてよろしいでしょうか?」と言い、お母さんに睨まれつつも、かもした連れて出る。
かもした「何か職員に不備がございましたでしょうか?」
というと、お母さん「・・・騙されたのよ!」
かもした「・・・は?職員が詐欺を働いたということでしょうか?」
お母さん「貴方たち、子供生まれた時、医療費の助成制度があるって言ったわよね?」
かもした「はい。一回の診療につき200円。お薬代は無料になります。それが何かありましたでしょうか?」
お母さん「嘘つき!無料って言ったじゃない!!」
かもした「・・・それはいつ、どこで、どの職員からお話を聞きましたか?先ほど担当していた職員でしょうか?」
お母さん「違うわよ!」
かもした「では?」
お母さん「友達が『ウチは無料だよ!』って言っていたから、お財布持たないで病院に行ったのに、「200円です」って言われたのよ!」
かもした「・・・それはお友達が騙した、ということでしょうか?」
お母さん「違うわよ!あの人のところが無料なのに、なんでA市(勤め先の行政)は200円もとるのよ!自治体ぐるみで詐欺働くなんて、こんなとこだったら引っ越してくるんじゃなかったわ!」
・・・
・・・よくよくその「お友達」の話を聞いたら、お友達とやらは東京23区のお住まいらしい。区によっても違うのですが、概ね小学校入学までは医療+処方代金無料のところが多い。
なので「子供の医療費につきましては、自治体ごとで負担額が違います。こちらの市では中学校卒業まで200円になっております。それは出生、若しくはこちらに転入されてきた際、リーフレットにてご説明させていただく手はずになっておりましたが・・・手続きに来られたのはご主人でしょうか?」
お母さん「・・・そう。」
かもした「ではお父様からご帰宅時、ご説明や説明書の類はお受け取りになって読まれましたか?」
お母さん「・・・読んだわよ。」
かもした「では見落とされたかもしれませんね。きちんと「医療費は200円」と記載あるもの以外、当市では配布しておりませんので。」
お母さん、更にブチ切れて
「うるさいわね!こんな小さな子がいるのに、ゆっくり読んでる暇なんてないわよ!そもそもアンタたちが「東京は無料なんだから、こっちも無料にしよう」っていえば、こんな金払わなくって済んだのに!!」
かもした「では折角こうして来ていただいているので、ご説明します。私たち職員が「無料にしましょう!」って言っても難しいんですよ。どこも予算は必要なので。なので市民から直接声があったほうが効果はあると思いますが、もう一つ―――お母さん、「選挙にはいかれていますよね」?」
お母さん「何で選挙の話が出るのよ!関係ないでしょ!」
かもした「それが「大あり」でして。私たちは「公僕」でして、御上がお決めになられたことを手足として実施する担当なのです。「無料にしろ」=「予算をもっと落せ」!ということを決めるのは議員なんです。じゃあ、議員さんにお金を落とさせるにはどうしたらいいか・・・それを公約してくれている議員に投票することで、議員が当選する→貴女の意見が反映されるんですよ。私たちがいくら「もっと予算を!!」といっても、議員が可決してくれなければ、予算は勝ち取れません。なのでみんなに選挙に行っていただいて、政治参加していただきたいんですけど・・・ここまで解りました?」
お母さん「・・・」(そっぽ向いている)
かもした「あ、ちなみに「医療費無料」を掲げている区市町村は、ものすごく大きな企業を誘致している+市区町村民税が凄く高いですよ。多分500~1000円/月ぐらい違うかと。」
にっこり説明したんですが、その後、お母さんは何も言わずにものすごい勢いでドアを開けてベビーカーぶっ飛ばして帰って行きました。
隅っこで見ていた後輩ちゃんは泣きながら「私じゃ説明できませんでした…すいません…」と(ノД`)・゜・。されていたんですが、その年入職したばかりの一年生が、こんなクレームに上手く対応できるわけないので、そこは万事OK。十年もたてば、このくらいふてぶてしくなれるのだ(笑)
それはともかく、こうして色々行政に不満がある人は積極的に市議会だとか県議会だとか、国会議員の選挙に参加して欲しい。その中で自分の求めている「〇〇が無料化!」とかについて、公約に掲げている立候補者を見つけて投票に行って欲しいのです。議員さんのところに直接意見を言いに行くなら、あるいは予算委員会の時に「市民よりこういう意見がありまして・・・」って議題に出してくれるかもしれませんが、うちらに文句言っても権限ないもん(苦笑:無論、緊急を要するケースが発生した場合、虐待とか保護とか、何か公共施設で大規模な事故があって修繕の必要がある場合とかは、緊急予算案を伝えますが)。
なので、今回の選挙は投票率50%すら行っていないという、惨憺たる状況だったようで、こうなっちゃうと後で文句言ってももう後の祭り。投票しなかった人は発言権すら放棄した、ということです。
たかが一票、されど一票。折角の権利はしっかり執行しないとね。
―――昨日、↑の後輩ちゃんと電話で話す機会があって「開票事務に行ってきたんですけど、凄い時間かかっちゃって」と言っていたので、労をねぎらっていたら懐かしいこの話が出て、二人で大笑いしてました。
ちなみに後輩ちゃんはもうかなり出世していて「お陰様でクレーム対応ではもう泣きませんからw」
うん、立派に成長!頼もしい限りです。
外回りをしていたかもしたに、所長から直電がかかってきました。
<今、窓口担当の後輩ちゃんから連絡あったの。直ぐ行って見てあげて!>
多分、外回りの場所が、その出先窓口と近かったからかと思いますが、大急ぎで向かったところ、泣きそうな顔の後輩Sちゃんと、ベビーカーのお母さんが面接中。入って行ったらお母さん、ほぼほぼ鬼の形相。
「あなた何?」というので、職員証明書を見せながら「窓口は他のお客様もいらっしゃいますので、別室でお話伺わせていただいてよろしいでしょうか?」と言い、お母さんに睨まれつつも、かもした連れて出る。
かもした「何か職員に不備がございましたでしょうか?」
というと、お母さん「・・・騙されたのよ!」
かもした「・・・は?職員が詐欺を働いたということでしょうか?」
お母さん「貴方たち、子供生まれた時、医療費の助成制度があるって言ったわよね?」
かもした「はい。一回の診療につき200円。お薬代は無料になります。それが何かありましたでしょうか?」
お母さん「嘘つき!無料って言ったじゃない!!」
かもした「・・・それはいつ、どこで、どの職員からお話を聞きましたか?先ほど担当していた職員でしょうか?」
お母さん「違うわよ!」
かもした「では?」
お母さん「友達が『ウチは無料だよ!』って言っていたから、お財布持たないで病院に行ったのに、「200円です」って言われたのよ!」
かもした「・・・それはお友達が騙した、ということでしょうか?」
お母さん「違うわよ!あの人のところが無料なのに、なんでA市(勤め先の行政)は200円もとるのよ!自治体ぐるみで詐欺働くなんて、こんなとこだったら引っ越してくるんじゃなかったわ!」
・・・
・・・よくよくその「お友達」の話を聞いたら、お友達とやらは東京23区のお住まいらしい。区によっても違うのですが、概ね小学校入学までは医療+処方代金無料のところが多い。
なので「子供の医療費につきましては、自治体ごとで負担額が違います。こちらの市では中学校卒業まで200円になっております。それは出生、若しくはこちらに転入されてきた際、リーフレットにてご説明させていただく手はずになっておりましたが・・・手続きに来られたのはご主人でしょうか?」
お母さん「・・・そう。」
かもした「ではお父様からご帰宅時、ご説明や説明書の類はお受け取りになって読まれましたか?」
お母さん「・・・読んだわよ。」
かもした「では見落とされたかもしれませんね。きちんと「医療費は200円」と記載あるもの以外、当市では配布しておりませんので。」
お母さん、更にブチ切れて
「うるさいわね!こんな小さな子がいるのに、ゆっくり読んでる暇なんてないわよ!そもそもアンタたちが「東京は無料なんだから、こっちも無料にしよう」っていえば、こんな金払わなくって済んだのに!!」
かもした「では折角こうして来ていただいているので、ご説明します。私たち職員が「無料にしましょう!」って言っても難しいんですよ。どこも予算は必要なので。なので市民から直接声があったほうが効果はあると思いますが、もう一つ―――お母さん、「選挙にはいかれていますよね」?」
お母さん「何で選挙の話が出るのよ!関係ないでしょ!」
かもした「それが「大あり」でして。私たちは「公僕」でして、御上がお決めになられたことを手足として実施する担当なのです。「無料にしろ」=「予算をもっと落せ」!ということを決めるのは議員なんです。じゃあ、議員さんにお金を落とさせるにはどうしたらいいか・・・それを公約してくれている議員に投票することで、議員が当選する→貴女の意見が反映されるんですよ。私たちがいくら「もっと予算を!!」といっても、議員が可決してくれなければ、予算は勝ち取れません。なのでみんなに選挙に行っていただいて、政治参加していただきたいんですけど・・・ここまで解りました?」
お母さん「・・・」(そっぽ向いている)
かもした「あ、ちなみに「医療費無料」を掲げている区市町村は、ものすごく大きな企業を誘致している+市区町村民税が凄く高いですよ。多分500~1000円/月ぐらい違うかと。」
にっこり説明したんですが、その後、お母さんは何も言わずにものすごい勢いでドアを開けてベビーカーぶっ飛ばして帰って行きました。
隅っこで見ていた後輩ちゃんは泣きながら「私じゃ説明できませんでした…すいません…」と(ノД`)・゜・。されていたんですが、その年入職したばかりの一年生が、こんなクレームに上手く対応できるわけないので、そこは万事OK。十年もたてば、このくらいふてぶてしくなれるのだ(笑)
それはともかく、こうして色々行政に不満がある人は積極的に市議会だとか県議会だとか、国会議員の選挙に参加して欲しい。その中で自分の求めている「〇〇が無料化!」とかについて、公約に掲げている立候補者を見つけて投票に行って欲しいのです。議員さんのところに直接意見を言いに行くなら、あるいは予算委員会の時に「市民よりこういう意見がありまして・・・」って議題に出してくれるかもしれませんが、うちらに文句言っても権限ないもん(苦笑:無論、緊急を要するケースが発生した場合、虐待とか保護とか、何か公共施設で大規模な事故があって修繕の必要がある場合とかは、緊急予算案を伝えますが)。
なので、今回の選挙は投票率50%すら行っていないという、惨憺たる状況だったようで、こうなっちゃうと後で文句言ってももう後の祭り。投票しなかった人は発言権すら放棄した、ということです。
たかが一票、されど一票。折角の権利はしっかり執行しないとね。
―――昨日、↑の後輩ちゃんと電話で話す機会があって「開票事務に行ってきたんですけど、凄い時間かかっちゃって」と言っていたので、労をねぎらっていたら懐かしいこの話が出て、二人で大笑いしてました。
ちなみに後輩ちゃんはもうかなり出世していて「お陰様でクレーム対応ではもう泣きませんからw」
うん、立派に成長!頼もしい限りです。
更に強火のお客様(w)にも力押しで押し返せるようになったりすると…
長く勤めてると色々ありますよね。
色々な人が居ますが、件のお母さんはちょ~っと脳味噌使った方がいいんしゃないかな?と思いますね。
お疲れ様でしたm(__)m
こんばんは!
確かに、後輩ちゃんが「もう〇〇年目ですから!」と言われた瞬間、自分がいかにBBAになったのかと思い知らされました(笑)
そうよ、もう主任とかやっているってことは…(汗
それはともかく、件の方に限らず、割と火力多めで来る方って、意外とよく読んでいなかったり、当り前のことをしてこなかったり、というのは多いですね。選挙の事もそうなんですが、「投票しに行くのが面倒くさい」と言いつつ、権利だけは主張してくる。ちゃんと意見を生かせる場は用意されているのに、それに気づかずこちらにバーナー向けられても…(困)というのが、公僕時代のストレスでしたw
今は昔でそれもまた懐かしく思い出される今日この頃です^^;