<Perfume>
「代表、お届け物が届いておりますが・・・」
「ん?私にか?」
書類とにらめっこ状態だったカガリが顔を上げると、秘書官が小さな包みを差し出した。
表書きには確かに『カガリ・ユラ・アスハ様 お届け指定日:3月8日午後2時』と書かれてある。差出人の名前は―――ない。無記名だ。
「申し訳ありませんが、爆発物などの危険物ではないか確認するために、先に金属探知機等々確認させていただきました。」
流石はオーブ行政府。セキュリティーも抜かりない。
「そうか、ありがとな。」
秘書官は一礼して部屋を後にした。
差出人に名前がないのは何故だろう?知り合いでないから伏せたのだろうか。例えば・・・私のファンとか・・・女性からなのか、それともまさか・・・男性?
「そ、そんなわけないよな。」
慌ててかぶりを振りつつ、不思議に思いながらカガリはその手のひら程の大きさの包みを開けてみる。
日時がしっかり指定されているあたり、超過密スケジュールに追われているカガリが、この日この時間にこの部屋にて執務を行っていることを知っている人間のはずだ。そう考えるとオーブの中枢に近い人間からのものだと思うが、誕生日でもないこの日を選んで送ってきたのは何故だろう・・・?
外の茶色の包装を破いてみれば、今度はカガリの目に留まったのは
「・・・綺麗だ・・・」
カガリが感嘆する。入っていたのはさらに包装がなされた箱だが、その色は一面深い青・・・そしてその一部に金色のラメがちりばめられている美しい包装だ。
(なんだろう・・・この色・・・こんな感じの色をどこかで見たような気が・・・)
―――とそこに、ノック音。
「カガリ様、ザラ准将がお見えです。」
「え?えぇ!?あ、ど、どうぞ!」
あわてて小箱を隠す。先ほど考えた男性の送り主などという想像を抱いてしまったため、小箱の存在をアスランに知られてはいけないと瞬時にカガリの中の警報が鳴ったのだ。
「失礼します。」
カガリが足元に会ったバッグにそれを仕舞い込んだ1秒後、アスランが入ってきた。
「あ、な、何の用だ、ザラ准将。」
「・・・どうかされましたか、代表。お加減でも?」
不自然なカガリの様子にアスランがふと眉をひそめる。公の場では公私の区別はしっかりつけているつもりだが、様子が変わっていると、どうしても気になってしまう。特にカガリの場合、顔に直ぐ出るのでアスランとしても大事な人の一大事とあっては自ら進んで深入りするつもりだ。
「い、いや、なんでも。って、それよりお前・・・じゃなかった、ザラ准将、今日は何の用件で―――」
「本日は防衛費の報告と公費についての書類をお持ちすると、お約束していたはずでは。」
「あ、あ!そうだったな!じゃぁ見せてくれ。」
席を立ってアスランのもとに向かう。ふつう重要書類でも直接代表首長に渡すことなどない。秘書を通してか専門の事務局員を通してからのはずだが、カガリはあまりの動揺にすっかりそんなことを忘れていた。
「お願いします。」
アスランがカガリの目の前に立つ―――その距離わずか10cm―――すると
<フワ・・・>
「え?」
カガリの鼻をくすぐったのは・・・甘く、柔らかな優しい香り・・・
「どうしましたか、代表?」
アスランに声をかけられ、カガリがハッと息をのむ。アスランを見上げたその表情はうるんだ金の瞳を大きく目を見開いた、困った様子だ。
「あ、いやなんでもない。確かに受け取った。もういいぞ。」
「・・・・・・。」
明らかに動揺しているカガリを気にしたアスランがその場でカガリを見据える。「何故俺に相談しないのか」と言わんばかりの表情だ。でも今の心の内をこんな場所で言っては示しがつかない。何といっても国家の代表だ。鋼の精神を持たなければならない自分がこんなことで心の弱さを見せては示しがつかない。
この場の動揺はカガリの理性の方が勝った。
「何をしているザラ准将。早く公務に戻らないか。」
「・・・失礼します。」
敬礼をしてアスランは何か言いたげな様子を、その背中で語って部屋を出た。
「はぁー・・・」
直後、緊張の糸がほつれたかのように、カガリが<ドサッ>と深く椅子にもたれかかる。
―――あの香り・・・あれは「香水の移り香」だ・・・
肯定したくない方程式が、勝手に頭の中でその疑問を解き始める
―――ということは、「体を近づけるほどの相手の女性」が、アスランにできた―――
思いたくない。決して想像してはいけない答えが頭の中を渦巻く。
この日の公務はそれ以上、目がうるんで書類の文字すら頭に入らなくなった
***
「カガリ様。お屋敷からお迎えの車が見えております」
秘書官がそう告げる。気が付けば夜ももう8時を回っていた。
「・・・あぁ、わかった。」
力なく席を立ったカガリがバッグを手に玄関口に出れば、そこに立っていたのは
「アスラン!」
「ちょっといいか?」
その口調は少々厳しい。公私の区別などという雰囲気は微塵のかけらも持っていない。
「だって、屋敷から迎えが―――」
「俺は君のSPも兼ねている。屋敷には連絡済みだ。」
カガリが困って立ち尽くしていると、アスランは勝手に助手席のドアを開け、カガリの腰に手を回すとそのまま車に押し込んだ。
そして運転席に戻ったアスランは早々に車をスタートさせる。
(なんだよ!そんな怖い顔して。私だって、今日こんなに悲しい思いしているのに、そんなときに何でお前の方が怒ってるんだよ!)
カガリの小さな手の握りこぶしが、キュッと力をこめると、キッと顔を上げてアスランに向かって言った。
「お前、何怒っているんだよ!私はとっても悲しかったんだぞ。お前に彼女ができていたなんて、そんな―――」
カガリが大声を上げた瞬間
<キキィーーーッ!>
「うわっ!」
突如高速で飛ばしていた車が急ブレーキをかける。シートベルトをしているにもかかわらず、カガリは思いっきり前のめりになりそうになって、そこをアスランが抱き留めた。その瞬間もやはり漂う甘い香り。
「なんだよ、離せよ。離せったら―――」
「俺に『彼女』って、何の話だ?」
驚いた様子でカガリと同じく目を見開いたアスランが慌てた様子で言った。
「なんだよ、いまさら隠さなくたって―――」
「俺に彼女なんて、カガリ以外いるわけないだろ?」
「だったら、その香りなんだよ一体!?」
カガリの両目からは悲しげな大粒の雨が降り出しそうに潤んでいる。
そんなカガリにアスランは一瞬ひるんだが、今度は深く深呼吸をし、すると今度はいささか顔を赤らめてフロントグラスに向かいながら話し始めた。
「・・・今日、カガリの元にも、同じ香りの香水を送ったんだが・・・」
「・・・は?」
今度はカガリがキョトンとする。
(今日・・・?)
「―――あ!」
思い出して慌ててバッグの中をひっくり返す。そうだ、あの深い青色の美しい小箱。
「中、開けてみてくれないか。」
アスランに言われるままに箱を開けて見れば、同じ深い青色のガラスの小瓶が入っていた。封を開ければ、確かに、今日のアスランと同じ香りがする。するとこの贈り物はアスランからだったのだ。
「一体なんで今日、しかも無記名で送ってきたのは」
「無記名は、内閣府宛てに俺が私的に贈り物したってわかったら、騒ぎになるだろう?だから隠した。そして今日が何の日か、カガリは忘れたのか?」
「え、3月8日って・・・あ!」
カガリの表情が驚きに代わる。
「そう、今日は君と俺が初めて出会った日・・・その包みと同じく深い青い海と金色の砂浜の無人島で、初めて君を見つけた日だ。」
あの無人島・・・アスランのイージスを積んだ輸送機と、カガリのスカイグラスパーがニアミスを起こし、二人してこの無人島に着いて、最初は戦い、そしてそれぞれの思いをぶつけあい、そして―――名を告げあってそのまま互いの戦場へと別れるはずだったあの日―――
「不思議だと思わないか。俺の輸送機がたまたま故障で出発が遅くなった状態で、君は戦闘中にたまたま空域を迷って、そして同じ島に落ちて。そんな一瞬の偶然が、俺たちを強い絆で結ぶことになって。『偶然』はいくらでもあるけれど、それが『必然』になることなんて人生の中でそんなに起こりうることじゃない。」
アスランがようやくカガリに向き直る。
「この香水を見つけたとき、すぐに思い出したんだ。生まれて初めて地球にきて、初めてであった青い海と輝く砂浜、そして初めて出会ったナチュラルの金色の髪と瞳の女の子。その子と永遠に傍に居たいと思ったら、どうしても二人で一緒に同じ時と場所と、香りを残したかったんだ。」
カガリがその香水の名を確かめる―――『アンフィニー』―――『永遠』
「君は『オーブの理念』を永遠に守り続けられるように。そして俺はそんな君を永遠に守れるように。そして二人が永遠に傍に居られるように。」
「・・・うん・・・」
潤んだ瞳が滴を落とす。今度は悲しい雨粒ではなく、輝くような嬉しい宝石の粒。
シートベルトを外してアスランがそっとその涙を唇で拭う。そのまま互いの唇が重なれば、アスランの香りがカガリの肌に残った。
「カガリ、その香水、付けてくれるか?」
「もちろんだ!でも、お前、この香水『女性用』って知っていたか?」
「は?」
やっぱりわかっていなかったのか。女性に慣れている男性だったら気が付くんだろうが。やっぱりアスランだな。そう思ったら今度はおかしくなって、笑い泣きになった。
「香水って性別で違うなんて、聞いたことなかったから」
「だから最初お前がこの香りつけてきたとき、誰か女性からの移り香って思ったんだ。」
「それでカガリ驚いていたのか。ごめん。」
「いいさ、理由がわかったし、それに・・・」
「うん?」
「最後に笑顔になれたから!」
カガリが笑う、そしてアスランも微笑む。
そう・・・二人で一緒に笑い続けられる未来を作ろう
―――『永遠に』―――
・・・Fin.
***********************************
>ということで、『アスカガ運命の日』スぺシャルで、ちょこっとSS作ってみましたv
もっと甘く作ればよかったかな~胸焼けするぐらい(笑)
でもそれはアンソロの方でv
ちなみに『アンフィニー』という香水は実在します。最初見たとき『インフィニー』て読んじゃって「これならインフィニットジャスティスに被るじゃないか!」と設定に小躍りしたんですが、「アンフィニー」ということに今更気づいて(苦笑)でもまぁいいや。(←投げやり)
ちょこっとでも楽しんでいただけましたら幸いですv
二人がいつまでも幸せでありますように!!(^人^)
「代表、お届け物が届いておりますが・・・」
「ん?私にか?」
書類とにらめっこ状態だったカガリが顔を上げると、秘書官が小さな包みを差し出した。
表書きには確かに『カガリ・ユラ・アスハ様 お届け指定日:3月8日午後2時』と書かれてある。差出人の名前は―――ない。無記名だ。
「申し訳ありませんが、爆発物などの危険物ではないか確認するために、先に金属探知機等々確認させていただきました。」
流石はオーブ行政府。セキュリティーも抜かりない。
「そうか、ありがとな。」
秘書官は一礼して部屋を後にした。
差出人に名前がないのは何故だろう?知り合いでないから伏せたのだろうか。例えば・・・私のファンとか・・・女性からなのか、それともまさか・・・男性?
「そ、そんなわけないよな。」
慌ててかぶりを振りつつ、不思議に思いながらカガリはその手のひら程の大きさの包みを開けてみる。
日時がしっかり指定されているあたり、超過密スケジュールに追われているカガリが、この日この時間にこの部屋にて執務を行っていることを知っている人間のはずだ。そう考えるとオーブの中枢に近い人間からのものだと思うが、誕生日でもないこの日を選んで送ってきたのは何故だろう・・・?
外の茶色の包装を破いてみれば、今度はカガリの目に留まったのは
「・・・綺麗だ・・・」
カガリが感嘆する。入っていたのはさらに包装がなされた箱だが、その色は一面深い青・・・そしてその一部に金色のラメがちりばめられている美しい包装だ。
(なんだろう・・・この色・・・こんな感じの色をどこかで見たような気が・・・)
―――とそこに、ノック音。
「カガリ様、ザラ准将がお見えです。」
「え?えぇ!?あ、ど、どうぞ!」
あわてて小箱を隠す。先ほど考えた男性の送り主などという想像を抱いてしまったため、小箱の存在をアスランに知られてはいけないと瞬時にカガリの中の警報が鳴ったのだ。
「失礼します。」
カガリが足元に会ったバッグにそれを仕舞い込んだ1秒後、アスランが入ってきた。
「あ、な、何の用だ、ザラ准将。」
「・・・どうかされましたか、代表。お加減でも?」
不自然なカガリの様子にアスランがふと眉をひそめる。公の場では公私の区別はしっかりつけているつもりだが、様子が変わっていると、どうしても気になってしまう。特にカガリの場合、顔に直ぐ出るのでアスランとしても大事な人の一大事とあっては自ら進んで深入りするつもりだ。
「い、いや、なんでも。って、それよりお前・・・じゃなかった、ザラ准将、今日は何の用件で―――」
「本日は防衛費の報告と公費についての書類をお持ちすると、お約束していたはずでは。」
「あ、あ!そうだったな!じゃぁ見せてくれ。」
席を立ってアスランのもとに向かう。ふつう重要書類でも直接代表首長に渡すことなどない。秘書を通してか専門の事務局員を通してからのはずだが、カガリはあまりの動揺にすっかりそんなことを忘れていた。
「お願いします。」
アスランがカガリの目の前に立つ―――その距離わずか10cm―――すると
<フワ・・・>
「え?」
カガリの鼻をくすぐったのは・・・甘く、柔らかな優しい香り・・・
「どうしましたか、代表?」
アスランに声をかけられ、カガリがハッと息をのむ。アスランを見上げたその表情はうるんだ金の瞳を大きく目を見開いた、困った様子だ。
「あ、いやなんでもない。確かに受け取った。もういいぞ。」
「・・・・・・。」
明らかに動揺しているカガリを気にしたアスランがその場でカガリを見据える。「何故俺に相談しないのか」と言わんばかりの表情だ。でも今の心の内をこんな場所で言っては示しがつかない。何といっても国家の代表だ。鋼の精神を持たなければならない自分がこんなことで心の弱さを見せては示しがつかない。
この場の動揺はカガリの理性の方が勝った。
「何をしているザラ准将。早く公務に戻らないか。」
「・・・失礼します。」
敬礼をしてアスランは何か言いたげな様子を、その背中で語って部屋を出た。
「はぁー・・・」
直後、緊張の糸がほつれたかのように、カガリが<ドサッ>と深く椅子にもたれかかる。
―――あの香り・・・あれは「香水の移り香」だ・・・
肯定したくない方程式が、勝手に頭の中でその疑問を解き始める
―――ということは、「体を近づけるほどの相手の女性」が、アスランにできた―――
思いたくない。決して想像してはいけない答えが頭の中を渦巻く。
この日の公務はそれ以上、目がうるんで書類の文字すら頭に入らなくなった
***
「カガリ様。お屋敷からお迎えの車が見えております」
秘書官がそう告げる。気が付けば夜ももう8時を回っていた。
「・・・あぁ、わかった。」
力なく席を立ったカガリがバッグを手に玄関口に出れば、そこに立っていたのは
「アスラン!」
「ちょっといいか?」
その口調は少々厳しい。公私の区別などという雰囲気は微塵のかけらも持っていない。
「だって、屋敷から迎えが―――」
「俺は君のSPも兼ねている。屋敷には連絡済みだ。」
カガリが困って立ち尽くしていると、アスランは勝手に助手席のドアを開け、カガリの腰に手を回すとそのまま車に押し込んだ。
そして運転席に戻ったアスランは早々に車をスタートさせる。
(なんだよ!そんな怖い顔して。私だって、今日こんなに悲しい思いしているのに、そんなときに何でお前の方が怒ってるんだよ!)
カガリの小さな手の握りこぶしが、キュッと力をこめると、キッと顔を上げてアスランに向かって言った。
「お前、何怒っているんだよ!私はとっても悲しかったんだぞ。お前に彼女ができていたなんて、そんな―――」
カガリが大声を上げた瞬間
<キキィーーーッ!>
「うわっ!」
突如高速で飛ばしていた車が急ブレーキをかける。シートベルトをしているにもかかわらず、カガリは思いっきり前のめりになりそうになって、そこをアスランが抱き留めた。その瞬間もやはり漂う甘い香り。
「なんだよ、離せよ。離せったら―――」
「俺に『彼女』って、何の話だ?」
驚いた様子でカガリと同じく目を見開いたアスランが慌てた様子で言った。
「なんだよ、いまさら隠さなくたって―――」
「俺に彼女なんて、カガリ以外いるわけないだろ?」
「だったら、その香りなんだよ一体!?」
カガリの両目からは悲しげな大粒の雨が降り出しそうに潤んでいる。
そんなカガリにアスランは一瞬ひるんだが、今度は深く深呼吸をし、すると今度はいささか顔を赤らめてフロントグラスに向かいながら話し始めた。
「・・・今日、カガリの元にも、同じ香りの香水を送ったんだが・・・」
「・・・は?」
今度はカガリがキョトンとする。
(今日・・・?)
「―――あ!」
思い出して慌ててバッグの中をひっくり返す。そうだ、あの深い青色の美しい小箱。
「中、開けてみてくれないか。」
アスランに言われるままに箱を開けて見れば、同じ深い青色のガラスの小瓶が入っていた。封を開ければ、確かに、今日のアスランと同じ香りがする。するとこの贈り物はアスランからだったのだ。
「一体なんで今日、しかも無記名で送ってきたのは」
「無記名は、内閣府宛てに俺が私的に贈り物したってわかったら、騒ぎになるだろう?だから隠した。そして今日が何の日か、カガリは忘れたのか?」
「え、3月8日って・・・あ!」
カガリの表情が驚きに代わる。
「そう、今日は君と俺が初めて出会った日・・・その包みと同じく深い青い海と金色の砂浜の無人島で、初めて君を見つけた日だ。」
あの無人島・・・アスランのイージスを積んだ輸送機と、カガリのスカイグラスパーがニアミスを起こし、二人してこの無人島に着いて、最初は戦い、そしてそれぞれの思いをぶつけあい、そして―――名を告げあってそのまま互いの戦場へと別れるはずだったあの日―――
「不思議だと思わないか。俺の輸送機がたまたま故障で出発が遅くなった状態で、君は戦闘中にたまたま空域を迷って、そして同じ島に落ちて。そんな一瞬の偶然が、俺たちを強い絆で結ぶことになって。『偶然』はいくらでもあるけれど、それが『必然』になることなんて人生の中でそんなに起こりうることじゃない。」
アスランがようやくカガリに向き直る。
「この香水を見つけたとき、すぐに思い出したんだ。生まれて初めて地球にきて、初めてであった青い海と輝く砂浜、そして初めて出会ったナチュラルの金色の髪と瞳の女の子。その子と永遠に傍に居たいと思ったら、どうしても二人で一緒に同じ時と場所と、香りを残したかったんだ。」
カガリがその香水の名を確かめる―――『アンフィニー』―――『永遠』
「君は『オーブの理念』を永遠に守り続けられるように。そして俺はそんな君を永遠に守れるように。そして二人が永遠に傍に居られるように。」
「・・・うん・・・」
潤んだ瞳が滴を落とす。今度は悲しい雨粒ではなく、輝くような嬉しい宝石の粒。
シートベルトを外してアスランがそっとその涙を唇で拭う。そのまま互いの唇が重なれば、アスランの香りがカガリの肌に残った。
「カガリ、その香水、付けてくれるか?」
「もちろんだ!でも、お前、この香水『女性用』って知っていたか?」
「は?」
やっぱりわかっていなかったのか。女性に慣れている男性だったら気が付くんだろうが。やっぱりアスランだな。そう思ったら今度はおかしくなって、笑い泣きになった。
「香水って性別で違うなんて、聞いたことなかったから」
「だから最初お前がこの香りつけてきたとき、誰か女性からの移り香って思ったんだ。」
「それでカガリ驚いていたのか。ごめん。」
「いいさ、理由がわかったし、それに・・・」
「うん?」
「最後に笑顔になれたから!」
カガリが笑う、そしてアスランも微笑む。
そう・・・二人で一緒に笑い続けられる未来を作ろう
―――『永遠に』―――
・・・Fin.
***********************************
>ということで、『アスカガ運命の日』スぺシャルで、ちょこっとSS作ってみましたv
もっと甘く作ればよかったかな~胸焼けするぐらい(笑)
でもそれはアンソロの方でv
ちなみに『アンフィニー』という香水は実在します。最初見たとき『インフィニー』て読んじゃって「これならインフィニットジャスティスに被るじゃないか!」と設定に小躍りしたんですが、「アンフィニー」ということに今更気づいて(苦笑)でもまぁいいや。(←投げやり)
ちょこっとでも楽しんでいただけましたら幸いですv
二人がいつまでも幸せでありますように!!(^人^)
いつもいつもこっそりお邪魔させて頂いているのですが、楽しませて頂いてばかりでは申し訳ない気がしまして・・・。思い切ってコメント残させていただこうかと思い至りました。
早とちりカガリと相変わらずの朴念仁アスラン、どちらも可愛いですww
カガリと同じ香りを纏っていたいって言うアスラン、乙女だなぁ(笑)
かっこよく決めたつもりなのにやっぱり抜けてる彼が大好きですv
きっと軍の女性たちや、若い部下達はカガリ同様誤解しそうですよね。
ザラ准将、実は恋人いたの?!とかでもちきりになりそうです。
今日はアスカガサイト様を巡ってとても幸せな気持ちになりました。
かもした様はじめ、お会いした事が無い皆様とこうして今日という日を共有できたことに感謝です。
暖かかったり寒かったり体調管理が難しいですが、お体ご自愛くださいませ。
この年になるとしみじみ思うのです、アスランの優しさとマメさってかなりな貴重品なんじゃないかと・・・。(自分ここ数年、誕生日ですら家族からスルーですからw)
でも、カガリ様の公務を邪魔した罰で、アスランは1週間カガリ様に夜食を作る刑になりなさいねw
そして、先のきらのすけさまと同じに「アスランの職場の女子の様子を想像するとwww」
アスラン本人は全く気が付いていない中、給湯室はものすごい騒ぎになっていたに違いないと思います。
全体にさわやかで甘い香りに包まれたような良作でした~。ありがとうございました。
かもしたさまも新しい旅立ちの時、ご多忙も極まれるかと思いますが、BASARA4を糧に乗り越えて下さいませ!
初めまして!素敵なコメントありがとうございました<(_ _)>
ザラさんはなんでもスマートにこなしそうですが、女性に関することは全然弱そうですよね^^; ラクス様が「ハロ」一個渡したらすごく喜んでくれたので、「だったら」とばかりに次から次へとハロ量産するような(苦笑)
多分女性職員の皆さんから言われていそうですね。本人はしっかり計画通りしたつもりになっているでしょうが(笑)
カガリたんは性格がストレートですけど、男女のことになると悶々と考え込んじゃいそうな感じで、でもそこが可愛い感じで二人の恋愛ってうまくいってそうな気がします。
運命の出会い記念日は、あちこちのサイトさんを巡って、私も幸せな気持ちになりましたv みんなに祝ってもらって、こんな日があるって幸せですよねv
季節の変わり目、きらのすけさまもお互い体調には十分気を付けましょうね。また遊びに来てください<(_ _)>
こんばんは!いつも遊びに来てくださって、ありがとうございます<(_ _)>
アスランって多分記念日とか絶対覚えているタイプそうですよね。(※ただし自分の近い人限定で(笑))
すごく気を使うんですが、たまにに突っ走りすぎる傾向が^^;
香水は確かに、給湯室の噂話の的に十分なっていそうですね(笑)
女性職員にチラチラ見られてるんですけど、多分「あの、俺に何か?」くらいしか気が付かないんですよ。自分が噂の出所になっても(笑)
カガリたんのことになると多分悶々と考えて、ハツカネズミさんになるんでしょうけどねv
転職忙しいところですが、BASARA4もちまちまやって、頑張っていきますよ!応援ありがとウございました(^^)