亀の川登

難聴に苦しむ男の日記帳。

謡曲 葵上

2022-12-17 | 能楽
 光源氏の北の方である葵上が病臥の身になった。高貴の僧を招き色々な祈祷や医療を試みるも効果がない。何かの霊が憑いているに違いないと、その名の高い祈祷師(巫女)に占ってもらったところ、六条御息所の生霊が憑いていることが分かった。その霊を追い払おうと横川の小聖(修験者)を呼んだ。
 
 修験者は必死で数珠をもむ。
 勢いよく謡う場面だが、修験者が經を唱えているのかと思ったが、どうもそうではないらしい。
やたらと難しい文句が並ぶ。仏さんの名前らしい。
經文は出ていない。
月参りのお寺さんにこの謡本を見せて聞いてみた。
「これは何宗ですか」。お坊さんはこれを読んで、
「これは何宗ということなく、仏教全般に言えることです」。
「修験者は数珠をもむ場面があるけど、数珠を揉むのは何宗ですか」。
「これは、自力仏教で、真宗以外はみんな自力仏教です。数珠を揉むのは煩悩を一つずつつぶしていくのです。真宗は煩悩をそのまま受け取るのですよ」。
ということでした。
そこで、ネットで〝数珠を揉む″と打ち込んで調べてみた。どうやら、どこも数珠を揉むことを奨励している所はなく、信者が無意識に揉んでいるらしい。
数珠を揉むと数珠が傷むのでやらない方がいいとのこと。
数珠を揉む宗教はどうやら密教と言われる宗教らしい。
江戸幕府は密教を進めていたようなので、その昔、数珠を揉む習慣が根付いていたのだろ。

源氏物語とは紫式部の作で皇室の出来事を源氏(架空の人物)に置き換えたものらしい。光源(ひかるげん)氏(じ)とは天皇のことかもしれない。
能楽とは男の世界のもの。と思っていたが、能楽堂へ行くと、やたらと女の方が多い。どうしてだろう。不思議だった。シテとして登場してくる役者の衣装が豪華絢爛だからだろうか。それもあるだろう。でも、その出し物のほとんどが、源氏物語、伊勢物語、平家物語など恋物語なのだ。女性の方はその物語に精通しているからなのだろう。能の中身は分からなくても物語を知っていれば、ある程度理解ができるだろう。
 私はこれらの恋物語はほとんど知らない。だから、能楽は非常に難解な学問だった。
 シテ役を女性の方が演ずることがある。でもどことなく頼りない。演技が下手のではない、体の小さい女性はシテ(主役)としては目立たないのである。女性役は本物の女性が演じた方がうまい。だけど、なぜか目立たないのである。そこで、女役を男が演じるのだろう。
 謡の稽古順では「初伝奥の分」と書いてある。かなり謡としては難しい。


コメント (1)
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