快風丸

俺の船に乗らないか。

日焼けしたバスケチーム

2010-07-25 01:50:17 | Weblog
       

 彼女たちの中学最後の試合が終わった。

 彼女にとって、まずこの背番号8というのが重要なんです。

 バスケットボールでは、背番号は、4から始まるのです。
基本的に1,2,3は、ルール上、ゲームの中で審判が指差すことが多いので、欠番です。


 試合では5人がコートで戦います。
背番号4から8までが、レギュラー選手です。

 彼女は昨年の夏、3年生が引退してから、なかなか試合に出してもらえなかったそうです。人数も多いのでレギュラー争いも厳しいのです。

 背番号4は不動のエース、5~7はほぼ固定の布陣でした。
彼女は、人一倍の努力をしたそうです。頑張って、この大会の直前に、背番号8をもらうことができました。とても喜んでいました。

 監督の先生がおっしゃってましたが
「オフェンスはピカいちだったが、ディフェンスがだめで、それでもどんなにしごかれても泣きながら頑張った。」
とのこと。
「いちばんがんばっていた彼女に8番を着せてあげられたことが私もうれしい」と。

 そんなこんなで、チームは固まりましたが、直前に組んだ練習試合は、ことごとく負けていました。

 さて、7/17(土)、市大会、トーナメント。一回戦の相手は、唯一勝てそうな相手。
そもそもこのチームは、あまり強くないのです。
相手も、勝てるとすれば、ココしかない、お互い、全力勝負。
それでも辛勝しました。
 勝ったほうも負けたほうも熱い涙が。 
 
 さて、2回戦は、これまで一勝もしたことのないチーム、格上です。勝てば明日、準決勝ですが期待薄です。

 しかし、試合が始まってみると、意外なことに、互角の勝負になっています。

彼女は途中出場。
出るやいなや先生が名前を連呼します。
応えるかのごとく、彼女、走りまわる、手を伸ばす、踏ん張る、そして、
リバウンドをとってゴールも決める。

 背番号8の活躍も有り、接戦を戦い切り、僅差で勝利しました。
先生も父兄も号泣しました。



 明けて7/18(日)、準決勝です。
学校始まって依頼の大躍進です。

「えーあの学校が上がってきたの?」
という声があちこちから聞こえてきます。

 相手は強豪です。
あとで聞いた話では、
「今まで、練習試合を申し入れても、受けてもらえなかった」
それほど、レベルの差が有ります。

 健闘しましたよ。負けはしましたが
「雲の上と思っていた強豪と戦えたことが夢のようだった。」
とのことです。


 さて、3位決定戦。最後の試合です。
泣いても笑っても中学最後。

 ここまでくれば、もう勝ち負けではありません。とにかく全力を出し切ってほしい。
後悔だけはしないでほしい、それだけを願いました。

 ある父兄が、試合直前、監督に手紙を渡したそうです。

「最後の試合です。3年生は、下級生たちのために戦ってください。
下級生は先輩たちのために一生懸命応援してください。みんなで力を合わせて、一生
忘れられない試合にしてください。」

 泣きながら読んでくれたそうです。

 相手は、優勝候補の一角のこれまた強豪です。

 試合開始。すごい気迫で向かっていきます。強豪を相手に一歩も引けを取りません。
ゴールを取られれば、取り返す、一進一退のとても良い試合でした。

 なんと前半はリードして折り返し。素晴らしい戦いぶりに、観客の興奮も最高潮です。

 後半に力尽きました。負けはしましたが他校の先生や、OBたちから
「良い試合だった。」
とおっしゃっていただきました。

 選手たちは全ての力を出し切りました。
その涙は悔し涙ではありません。

感動しました。

 大会規定により、2校とも3位。

「先生に賞状を渡そう。」
を合言葉にがんばってきたのだそうです。
この先生は、彼女たちが一年生のときに、初めてこのチームの顧問になったのです。
お互いに思いが深いのです。なかなか厳しい先生だったようです。

 悲願の賞状を渡すことができました。

 表彰式では、このチームだけが日焼けして真っ黒。
他のチームはみんな色白。

 バスケットボールは、体育館でするものなので、日焼けとは無縁のはずです。
しかしこの中学は生徒数が多く、弱小女子バスケはときどきしか体育館が使えないのです。

 野球部の隣の土のコート、雨が降れば、雑巾で水を吸い取ってから、炎天下でもで、雪の舞う日もズルズルと滑るグラウンドで練習を重ねたのです。

 本来、体育館でするスポーツを、土のグラウンドで練習してきたわけです。
これは、大きなハンディです。

 それをも乗り越えて獲得した市大会3位、とても意味のあるものなのです。

 彼女たちは、きらきら光る、一生色あせない、小さな宝石を手に入れたのです。

 しかし、忘れてほしくないのは、相手チームのこと。
素晴らしい対戦相手だったからこそ、良い試合ができたということ、
その素晴らしいチームが、あなたたちの最大の力を引き出してくれたということを。

 私もまだ興奮の中にいる。そして、それは時とともに冷めてゆくだろう。
しかし、何年かのちに思い出すことを楽しみにしている。


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4 コメント

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プライスレス (やっち)
2010-07-27 12:25:08
泣けました。厳しい中を耐えぬいた者にしか味わえない感動ですね。この先、人生でどんな壁にぶち当たっても絶対大丈夫。
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Unknown (izu)
2010-07-30 15:52:07
不覚にも、熱いものがこみあげました。
この瞬間が何者にも変えがたいですね。
大切なのは結果でなく、過程ですよ。
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壁にぶち当たっても (oni)
2010-07-31 15:42:09
 伝わって良かった。
私自身、全く何も期待していなかっただけに、驚きと感動が大きかったのだと思います。
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不覚にも (oni)
2010-07-31 15:48:19
 ちなみに手紙を書いたのは私でした。
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