茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記30年7月9日「線維筋痛症の疼痛緩和治療。」

2018-07-09 06:28:39 | 日記

当院では鍼灸による「疼痛緩和ケア」を行っております。

「線維筋痛症」の患者様が「冷えのぼせ」「全身の痛み」と「頭痛」の治療に見えられました。

「線維筋痛症」とは全身の広い範囲で強い痛みがある病気で、今のところ原因は不明とされています。

それ故に治療方法も確立されておらず、現代医学では対症療法的な鎮痛剤やステロイド剤が使用される事もありますが、副作用を心配されたり、鎮痛効果があまり効かないと相談を受けました。

東洋医学は現代医学と病に対するアプローチ方法が異なる為に現代医学では原因不明とされる病でも治療方法が用意されている事があります。

東洋医学の最大の特徴は、身体を構成するものを気・血・水と呼ばれる三種のものに分けて考えることです。

「東洋医学では気・血・水のバランスが崩れると病になると考えますが、特に気は「気不通即痛」と言われ「気が通じなくなると痛む。」と東洋医学の古典「黄帝内経」に記述されています。

東洋医学的には「線維筋痛症」の患者さんの場合も体の中の気の異常が痛みを引き起こしているのではないかと考えることが出来ます。

私の治療院では先ず「積聚治療」を用いて「本治法」で治療してから「標治法」で治療しております。

最初に脈診をしてから全身の指標を確認すると腎経の兪府の反応が強く右復溜にも反応がありました。全体的に上部症状が強く気が体の上に昇り頭痛の原因となっていると判断しました。

腹部に丁寧に接触鍼をして腹診をすると臍の左下方に圧痛があり皮膚が冷たく感じられお血があるようです。
心窩部の任脈上にも違和感があります。下腹部の曲骨上の圧痛が一番著明です。

今回は「証」を「腎虚証」として治療を進めて行く事となりましたが、治療の組み立てとして最後に八脈交会穴の後谿と申脈を使う事としました。

うつ伏せ状態で背候診して指標を確認すると肩甲骨の間の神堂・心兪・神道に反応があり脊柱起立筋全体に硬さが見られます。

私が治療の際に採用している指標の箇所は「線維筋痛症」の圧痛点診断点18箇所と殆ど同じです。

背部に接触鍼をしてから膀胱経に丁寧に鍼をしていくと、神堂穴で「鍼が響きます。いい感じです。」との事。上部に集まっていた気が下がり始めました。

脊際に鍼をすると完全に気が下がり体全体の痛みも和らいできた様です。

背部の治療を終えて腹臥位で四神聡を行い、最後に八脈交会穴の後谿と申脈に鍼を軽く当てると『この鍼すごく良いです。頭がはっきりして来ました。こんなに効く鍼は初めてです。』と驚いておられました。

八脈交会穴の後谿と申脈の組み合わせは顔面・側頭部・肩甲骨の周囲の疾患(古典では内眼角・耳後・項部・肩甲骨の証)を主治するとされていますが
単独で使用するのではなく、本治法で治療をした後に用いるから、より効果が出る訳です。

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