今日は病院の先生に親父の検査結果を聞きに行く日。
13時30分に病院で待ち合わせだったが、自分は少し早めに家を出て、30分前に病院に着いた。そう、それは親父との時間を作りたかったから。
親父には病院ですぐに会えた。
親父は会うなり「忙しいところ、すまんね」と言っていた。
「早く着いちゃったよ」と偶然を装う自分。
待合室で30分くらい2人の時間が出来た。仕事の話しとか、体調の話しとかを話したかな。タバコと酒と仕事くらいしか趣味が無かった親父だから、「これから何かしたいことないの?」と聞いたら、「あまり思い浮かばないけどスキーはまたやってみたいな」と言っていた。「いいね、それやろうよ」と答えた。それと「お前も体調には気をつけろよ」と言っていたのは覚えている。
30分後に母親も到着。
そして予定時間を少し過ぎてやっと順番がきた。
検査結果は前に聞いたとおり「膵臓癌」、そして進行度は1(軽)~4(重)段階の「4」、つまり症状としては末期の癌ということだ。このまま何も治療せずにいけば余命3~4ヶ月、抗がん剤治療で6~11ヶ月程度まで延びる可能性はあるとのこと。
今の技術では完治は出来ない。
想定していたから映画やドラマにあるような「涙」はそこには無かった。ただ「短い残りの時間を痛みなく楽にいられるにはどうすればいいのか」自分はそれを知りたかった。
担当してくれた先生はとても感じが良かった。膵臓癌にはちょうど昨年末に保険が効くようになった「フォルフィリノックス」という抗がん剤があることを教えてくれた。それは大きな副作用が生じることがあるが、膵臓癌に効果があり、上手く行けば余命も1年くらい延ばせる場合もあるそうだ。大きな副作用というが気になったが、もし体調が辛い時には緩和するように切り替えることも考えてくれるそうだ。
とりあえず、何もせずにいくか、通常の抗がん剤治療をしていくか、新しい「フォルフィリノックス」という治療をしていくか、持ち帰り、土曜日までに回答することになった。
病院からの帰り道、親父と2人で実家まで帰った。親父が「疲れたな」と言っていたので、「タクシー使おうか?」と聞いたが「大丈夫」と言うので15分くらいの道のりを2人で歩いて帰った。
しっかりとした足どり。
しっかりとした会話。
「親父はこんなに元気なんだぜ、それなのに余命3ヶ月って考えられるかよ」って思ったら、自然と涙が出てきた。それを空を見ながら必死に隠した。
実家で少し話しをして家に戻ってきた。
なんだかよくわからないけど1人になったら涙が止まらない。
だめだ子供達が帰ってくるまでは泣いていよう。