○山中慎介vsシュテファーヌ・ジャモエ●
山中はこれが6度目の防衛戦。相手は同級3位のジャモエ。同級3位でも物足りなさを感じるのは過去の防衛戦の出来が良く(5度の防衛で4KO)安定王者の風格があるからか。挑戦者で特筆するのは現WBO同級王者の亀田和毅と五分の戦いをしたくらい。亀田和毅が苦戦した相手を山中がいつ仕留めるかが注目された。
向かい合うと山中と比べジャモエの体格が細身に感じられる。体格差では弱そうに見えたジャモエだったが気合いは十分、試合開始早々勇敢に攻める姿勢を見せる。そんな前傾姿勢の相手にも山中は全く慌てる事無く余裕を持っていなしていく。
左が当たればいつでも倒せる、山中にはそんな自信が感じられる。実際1Rに放ったボディへの左ストレートで身体を弾き飛ばされたジャモエは警戒心と少しばかりの恐怖心を植え付けられることになる。
山中は早くも2Rにダウンを奪う。左ストレートはジャモエのガードお構い無く突き破るイメージだった。それでも立ち上がり突進を続けるジャモエに対して間合いを詰めさせない為に何度か手でジャモエを押してレフリーから1ポイント減点をくってしまったが、毎ラウンドのポイントは山中に流れる。8Rにはボディと顔面の両方でダウンを追加した。
何度倒しても立ち上がってくる挑戦者には感心したが、さすがに上も下も山中の強烈なパンチを浴び続ける姿は気の毒に思うほどだった。そして9R開始早々に山中の左ストレートがボディに突き刺さりこの試合4度目のダウンを奪うとレフリーが試合を止めた。
この試合は気持ちにも余裕があり、終始王者のボクシングを展開したが、少し狙いすぎたか、パンチの数はやや少なかった様に思う。ただ並の世界ランカー相手では物足りない感じがあるほど今の山中は充実している。特に左ストレートの威力は過去の日本人世界チャンピオンの中でも上位にくるだろう素晴らしい武器だ。
だからこそこのタイミングでのビックマッチ、具体的にはWBA同級王者のアンセルモ・モレノ、WBCSバンタム級王者のレオ・サンタクルス、ここらの相手と再び挑戦者の気持ちでの戦いが見たい。同ジムの先輩である西岡利晃さんのように、図太く交渉して実現する事を期待する。
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(ボクシング雑誌は新鋭井上が表紙)