ジョッシュの日記

ジョッシュは好きな映画「big」の主人公の名前からとりました。趣味を大事にしながら長男くんと次男くんの育児に奮闘中です。

山中慎介vsシュテファーヌ・ジャモエ

2014年04月29日 09時57分16秒 | ボクシング

○山中慎介vsシュテファーヌ・ジャモエ●

 

山中はこれが6度目の防衛戦。相手は同級3位のジャモエ。同級3位でも物足りなさを感じるのは過去の防衛戦の出来が良く(5度の防衛で4KO)安定王者の風格があるからか。挑戦者で特筆するのは現WBO同級王者の亀田和毅と五分の戦いをしたくらい。亀田和毅が苦戦した相手を山中がいつ仕留めるかが注目された。

 

向かい合うと山中と比べジャモエの体格が細身に感じられる。体格差では弱そうに見えたジャモエだったが気合いは十分、試合開始早々勇敢に攻める姿勢を見せる。そんな前傾姿勢の相手にも山中は全く慌てる事無く余裕を持っていなしていく。

 

左が当たればいつでも倒せる、山中にはそんな自信が感じられる。実際1Rに放ったボディへの左ストレートで身体を弾き飛ばされたジャモエは警戒心と少しばかりの恐怖心を植え付けられることになる。

 

山中は早くも2Rにダウンを奪う。左ストレートはジャモエのガードお構い無く突き破るイメージだった。それでも立ち上がり突進を続けるジャモエに対して間合いを詰めさせない為に何度か手でジャモエを押してレフリーから1ポイント減点をくってしまったが、毎ラウンドのポイントは山中に流れる。8Rにはボディと顔面の両方でダウンを追加した。

 

何度倒しても立ち上がってくる挑戦者には感心したが、さすがに上も下も山中の強烈なパンチを浴び続ける姿は気の毒に思うほどだった。そして9R開始早々に山中の左ストレートがボディに突き刺さりこの試合4度目のダウンを奪うとレフリーが試合を止めた。

 

この試合は気持ちにも余裕があり、終始王者のボクシングを展開したが、少し狙いすぎたか、パンチの数はやや少なかった様に思う。ただ並の世界ランカー相手では物足りない感じがあるほど今の山中は充実している。特に左ストレートの威力は過去の日本人世界チャンピオンの中でも上位にくるだろう素晴らしい武器だ。

 

だからこそこのタイミングでのビックマッチ、具体的にはWBA同級王者のアンセルモ・モレノ、WBCSバンタム級王者のレオ・サンタクルス、ここらの相手と再び挑戦者の気持ちでの戦いが見たい。同ジムの先輩である西岡利晃さんのように、図太く交渉して実現する事を期待する。

 

ボクシングマガジン 2014年 05月号 [雑誌]
 
ベースボール・マガジン社

 

ボクシングビート
 
フィットネススポーツ

(ボクシング雑誌は新鋭井上が表紙)


キコ・マルチネスvs長谷川穂積

2014年04月26日 11時45分51秒 | ボクシング

○キコ・マルチネスvs長谷川穂積●

 

試合前のTwitterはいつものボクシングの世界戦とは違う雰囲気を見せていた。それは一昔前、世界挑戦が難しく、それ(世界挑戦する)だけで価値があった頃のようだった。みんなが期待して、みんなが緊張して、みんなが不安していた。試合の日が近づくにつれ、長谷川の応援のメッセージが増えていくのも見れた。そのメッセージはとても熱く、たった140文字以内の文章からファンの心の期待と興奮が感じられた。

 

相手のキコ・マルチネスはこれが2度目の防衛戦。過去の試合は観たことが無いが、突進型のファイターという情報で、長谷川が足を使って捌ききれれば勝機もあり、もし打ち合うようだと厳しいとファンの中でも勝敗の予想は見事に半々だった。

 

長谷川自身も3年振りに訪れたこの世界挑戦にかける思いは強く、自分自身の為に、そして自分がどれほど強いのかを知る為に戦うと宣言していた。そして満足な結果が出れば勝っても負けても引退してよいと言った。ファンも集大成の試合で長谷川がどう戦うのか、足を使って戦うのか、相手の土俵で打ち合うのか、長谷川の戦い方も予想は見事に半々だった。

 

リングインした長谷川の表情は私の目には集中出来ていないように見えた。それは緊張や不安でもなく気負いの表情でも無い。ただ何と無く覇気が無いように見えた。試合後の今思うと「どう戦うか」迷いを持っていたのかもしれない。

 

1Rは足も良く動き、上下の打ち分けもあり、特に綺麗な軌道で放たれるボディーへのストレートは後半への期待を十分持たせた。しかし1R終了間際にロープにつまると長谷川は打ち合いに挑んだ。2Rからマルチネスのプレッシャーが強まるとロープを背にする場面が多くなる。そこでも長谷川は勇敢に打ち合った。最もまずい展開。これは長谷川の悪い癖だろうか、いや過去の試合を思い出すとそれが長谷川らしい姿だった。

 

バンタム級時代の後期では打ち合ってもパンチの回転力で相手を圧倒し、輝かしい反射神経で相手のパンチを回避し打ち勝っていた。ただ年齢を重ねたことと、長いボクシング生活で蓄積したダメージで長谷川はパンチの回転力と回避力に衰えを感じた。そして1番衰えを感じたのが打たれ脆さだった。マルチネスのパンチをもらい足にきてしまう。

 

2Rには強烈なダウンを奪われた。その後もマルチネスのパンチで足がふらつく長谷川だったが、危険な状況を回避するため足を使うこともクリンチすることも少なかった。とにかく打ち合いに勝機を見出そうとしていた。バッティングでの目の上をカットしたことも長谷川には逆風だった。しきりに目の流血を気にしていたので視界も良くなかったのだろう。

 

そして運命の7R、さらに2度のダウンを奪われ、レフリーが試合を止めるとともに、長谷川陣営からタオルが投げられた。レフリーに抱えられた長谷川は目の上のカットと口からの出血を見せていた。血で染まった真っ赤な顔がこの試合の結果を表していた。そしてその直後にふと見せた笑顔、その優しい表情はボクシングという重圧からやっと解放された安堵感のようだった。

 

1Rに見せた足を使ったボクシングは陣営やファンが願ったスタイルだった。ただすぐに見せた打ち合いのボクシング。長谷川はやはりボクシングが好きで、打ち合いが好きだった。ふとリングインした時に見せたあの表情を思い出す。周りの為に戦うのか、自分の為に戦うのか。長谷川は試合中に後者に切り替えたと思う。

 

ボクサーの中には周りに影響されず機械のように淡々と戦う者もいるが、長谷川は逆だったように思う。辰吉や西岡を倒した強いチャンピオンのウィラポンに挑みファンの悔しい思いを解消してくれた。ガルシアやマルドロットとはポイントでは圧勝なのに打ち合って会場を盛り上げた。ベチェカとの動きの少ない試合では観客に頭を下げた。KOを量産したバンタム級後期。そしてWBOチャンピオンのモンティエルとの統一戦という夢を見せてくれた。2階級上げての世界再挑戦でも体格が一回り大きいブルゴスに逃げることなく打ち勝った。

 

長谷川はボクシングが好きだから、ファンの期待するものを知っている。だからボクシングファンを大事にし、ボクシングファンの期待を背負っていたように思う。また癌を患って亡くなった母親の存在も大きかった。癌に勝って欲しいと試合に勝って母親を喜ばせる姿は感動を与えた。

 

とにかく長谷川穂積というボクサーは人間味溢れるボクサーだった。記録にも記憶にもずっと残るだろう。とても長い期間にわたってボクシングの素晴らしさを与えてくれた長谷川穂積に「感謝」の気持ちでいっぱいだ。

 

WBC世界バンタム級チャンピオン(10度防衛)

WBC世界フェザー級チャンピオン(防衛なし)

 

意志道拓

長谷川穂積

ベストセラーズ

 

211 ~長谷川穂積、ベルト奪還までの日々~
長谷川穂積
集英社

ティモシー・ブラッドリーvsマニー・パッキャオ

2014年04月15日 18時00分25秒 | ボクシング

●ティモシー・ブラッドリーvsマニー・パッキャオ○

 

これが再戦となる。

 

前回はややパッキャオ有利と思われた展開でのブラッドリー判定勝利。その後、パッキャオはマルケスに痛いKO負けがあったり、ブラッドリーもブロボドニコフに足を何度もグラつかされるほどの薄氷勝利があったり。この再戦は誰もが待ち望んだ戦いだったが、両者のどちらが勝利するのか、実に予想の難しい一戦だった。

 

試合は予想を反して足を使わず好戦的に戦ったブラッドリーが前半を物にした。打ち合いは得意のパッキャオだが、自慢の左ストレートは踏み込みが甘く、相手にダメージを与える事が出来ない。またブラッドリーの巧みなスウェーにより多くのパンチを空転させられた。4Rにはブラッドリーのストレートでパッキャオが足をバタつかせる場面もあった。しかし中盤からは前半飛ばしたブラッドリーの手数が減り、軽いながらもパッキャオのパンチの方が見栄え良くなる。WOWOWの解説陣も言っていたがブラッドリーは右脚を負傷したのかフットワークも使えないし、パンチも体重が乗らなくなった。終盤はブラッドリーも気力を振り絞り果敢に打ち返すもパッキャオのパンチが僅かながら制した形で終了のゴングを迎えた。

 

判定は3-0でパッキャオの勝利。自分も採点も116-112でパッキャオだった。やっぱり今までたくさんの驚きと感動をくれたパッキャオを夢中で応援していた。全盛期に比べたらスピードが落ちたかもしれない。打たれ弱くなったかもしれない。でも強豪に挑み続けたパッキャオの功績は決して錆びることはない。

 

あといくつの試合を見れるだろうか。これからの試合も変わらず、そして大事に応援し続けていきたいと思う。

ボクシングマガジン 2014年 05月号 [雑誌]
 
ベースボール・マガジン社

(井上尚弥、凄すぎる!!)


アドリアン・エルナンデスvs井上尚弥

2014年04月12日 23時04分58秒 | ボクシング

●アドリアン・エルナンデス vs 井上尚弥○

 

世界はそんなに簡単に獲れるものでは無い。

 

ややパンチが非力と思われた井上がエルナンデスの強引なファイトに巻き込まれて苦戦するだろうと思っていたからこの結果には驚いた。

 

1Rからエルナンデスのパンチを軽くいなし、強烈なパンチをコンビネーションで当てていく。圧巻のパフォーマンス。井上は更にそして急角度で強くなっていた。4Rあたりから距離が近くなり(井上は減量の影響で足を痙攣していたとの事)エルナンデスと打ち合うがここでも打ち勝つ。結局6Rに強烈なダウンを奪いエルナンデスの戦意を削いだ。打たれ強さとスタミナは未だ未知数だが、足の負傷にも負けず勝利した事は大きな経験を得たことだろう。井上が宣言したとおり強い相手と戦って更に強くなることを期待したい。

 

また、試合後に言い訳せず勝者に対して敬意を払った素晴らしき前王者も減量の影響があったと思われる。またカットによる流血も厳しかっただろう。この日の全ての出来事が井上の追い風となった。持っている選手は持っている。

真っすぐに生きる。
井上尚弥
扶桑社

八重樫東vsオディロン・サレタ

2014年04月11日 23時35分43秒 | ボクシング

WBCフライ級タイトルマッチ

○八重樫東 vs オディロン・サレタ●

 

ランキングからして格下と思っていたら大間違い。パンチもあり足も使える全体的にバランスの良い穴の少ない危険な相手だった。前半は距離に苦労した八重樫だったが4Rあたりから距離が近くなり八重樫のペースとなる。左ジャブにかぶせる右のオーバーハンドが有効だった。8R終了時の公開採点でポイントを逆転して有利となった八重樫。9Rにサレタが打ち合いにきたところにカウンターでKO勝利。コツコツとボディ攻撃をしていたのが功を奏した。試合後ローマン・ゴンサレスとの対戦を表明した八重樫。その勇気に拍手したい。厳しい戦いになるのは必至。ただ八重樫は打ち合う事も足を使う事も出来る実力者。必ず勝機はある。

 

我、弱き者ゆえに 弱者による勝利のマネジメント術
八重樫東
東邦出版

RING OF DIAMONDS(ダブル世界タイトルマッチ)

2014年04月09日 21時02分41秒 | ボクシング

大変豪華な興行だった4/6、まずは前座試合から。


井上拓真 vs ファーラン・サックリンJr

井上弟の2戦目は減量失敗の宮崎に勝利して世界ランクを手にしたサックリンJr。やはりあれはラッキー勝利だったと思うほど手数も少なく全くもって世界ランカーらしからぬ戦いぶり。井上の圧勝だった。井上は手数も良く出てスピードもある良いボクサーと思うが、まだ未知数な部分も多い。もう少し経験を積んでから世界を目指して欲しい。

 

松本亮 vs 久高寛之

バンタム級にしては背の高い松本と下のクラスから上がってきた久高では体格差が大きかった。結局久高は距離を詰める事が出来ず大差判定負け。松本は甘いマスクとやや動きの硬いスタイルでコウジ有沢のようだった。しかしあの体格は熱いバンタム級戦線で面白い存在となりそうだ。

 

細野悟 vs 緒方勇希

この日の細野は絶不調。手数の多い緒方を捕らえることが出来ない。公開採点では前半5Rは緒方有利と発表された。しかしややハイペースで動いたのと、単発ながら受けた細野のボディ攻撃で緒方に後半疲れが見えてくる。そして最終ラウンド、強引に倒しに行った細野がようやく大きなパンチを当てて勝利をもぎ取った。軽いパンチだからか結構もらっていた細野。緒方にパンチがあったら危険だった。世界はちょっと厳しいと感じる日本タイトルマッチだった。

 

ローマン・ゴンサレス vs ファン・プリシマ

6~7割の力で戦ってゴンサレスの圧勝。観ていて気の毒に思うほどレベルが違った。とりあえずの顔見せ試合だった。