親父が膵臓癌で亡くなってもうすぐ1年半になろうとする。
亡くなってから半年くらいは哀しむことも出来ないほどめまぐるしく忙しくて、変な話だがとても暇だったら親父のことを毎日考えて泣き続けていたかもしれない。そう思うと法事など所持品整理などの作業はそれを忘れさせてくれていた。
そして作業が落ち着いた頃には自分の気持ちも整理がついていて、哀しむというよりは「親父今ごろどうしているのかな」なんて思ったりする。つくづく良く出来ていると思う。
よく「夢」でも「幽霊」でも何でも良いから亡くなった人に会いたいと聞くことがあるが、自分もそれは時々思う。色々とそのままにして亡くなってしまった親父に聞きたいこともたくさんある。そう思っていてもなかなか夢でも幽霊でも会えなかった親父だったが、先日「夢」の方で会うことが出来た。
ここからは夢のお話。
場所は自分が子どもの頃に住んでいた家。自分はベットに寝ていて起きると親父が故障して映らなくなったテレビを修理している。親父は白髪もなく腕も(痩せ型なので細いが)筋肉質で若い頃の面影だった。そういえば親父はそういった電機系の作業が得意だったし、故障したら夜遅くまでなおしてくれることもあったのを思い出す。
汗を流して頑張る姿に自分はこう言った。
「おとうさん、体調はどう?」
その声を聞いた親父は起きていた自分を見て起きていたのかと驚いた様子だったが、すぐにテレビの修理を続けた。
そしてこう言った。
「最近あまりよく寝れていないな」
ここで夢はおしまい。
何も聞けなかったけど、会えたのはすごく嬉しかった。親父が若くて元気そうに見えたのは良い思い出からきたのかもしれない。だけど「寝れない」というのは病気になる前によく言っていたことだったから哀しい思い出からきたのかもしれない。まだ自分の中では2つの気持ちが葛藤しているのだろう。