○ロバート・ゲレロvs亀海喜寛●
まさにボクシング界のスター選手、人気者で実力者のゲレロ、そんな雲の上の存在の選手に東洋では圧倒的な強さを見せるが世界的には無名な亀海が対戦する。亀海は日本タイトルで強豪の小野寺を自由自在にコントロールした圧巻のパフォーマンスを見せた。その後も良い試合を見せ、世界はもう目の前と思われたが、海外での重要な試合でつまづき、世界戦線から遅れをとってしまった。そんな亀海戦はゲレロにとっては格下相手との調整試合といった感じだったのだろう。リングインまでは余裕を見せゲレロの独り舞台のようだった。
試合は離れるとゲレロの左ストレートが当たり分が悪いと判断、亀海はプレスを掛け距離を詰めての打ち合いを挑んだ。これは本来の戦い方ではなかったが、ゲレロをロープに詰めての打ち合いは亀海のパンチも良く当たった。それでもインサイドワークの上手いゲレロのパンチの方が見た目良く印象的だった。亀海は多少の被弾は覚悟で打ち続けた。亀海は鼻血も出して顔は真っ赤、大分打たれ消耗もあったが、執拗に攻めるボディ攻撃が後半への期待を抱かせる。一方綺麗な顔だったゲレロも亀海の右フック(バッティング?)で左目の上を大きくカット。そしてラウンドを重ねるにつれて腫れも酷くなる。これで勢いづく亀海陣営だったが、序盤からもらい続けたパンチのダメージで多くのパンチを放つもゲレロの1発のパンチで脚を揺らしてジャッジの印象を悪くしてしまう。ペースを奪いきれなかった。
判定は3-0でゲレロを支持。116-112、117-111×2人と妥当な採点だった。やはり4階級制覇のゲレロは上手かった。そしてカットしても試合を投げなかったし、試合後のインタビューでも言い訳の1つも無かった。人気があるのも納得する。
亀海は本来のスタイルでは無かったが、この高く大きな壁に対してチャレンジャーらしく勇敢に戦った。会場のボクシングファンも興奮していたし、デラホーヤも「亀海にもう一度チャンスを与えたい」と言ったそうだ。
亀海は荒川仁人のように自らの拳でチャンスを掴み取った。ここ最近、チャンスを掴む為に世界へ羽ばたく選手が多くなってきたのは喜ばしい事だが、盛り上がる感動させる試合を見せても勝利に結びついていないように感じる。亀海のボクシングスタイルは打たせずに打つ「勝てるボクサー」だ。この敗戦を糧にして今度は「勝利」にこだわって欲しい。