木曜日に上野の東京国立博物館に行ったことを書きましたが、その時に書き忘れてしまっていたことがありました。《聖徳太子と法隆寺》展と共に開催されていた
《聖林寺十一面観世音菩薩》展にも行ったことは既に書きましたが、実は聖徳太子展が開かれている平成館の1階ロビーに
何と聖林寺像の等身大レプリカが展示されていたのです。
これは東京藝術大学大学院美術研究科保存修復彫刻研究室で製作されたもので、
現在東京国立博物館本館に展示されている聖林寺を詳細に調査した上で、本像と同じくヒノキ材で作った木芯に漆を染み込ませた布を貼り付けていく木心乾漆造で完成させた、本格的なレプリカです。レプリカの横には
現在東京国立博物館本館に展示されている聖林寺を詳細に調査した上で、本像と同じくヒノキ材で作った木芯に漆を染み込ませた布を貼り付けていく木心乾漆造で完成させた、本格的なレプリカです。レプリカの横には
制作過程の解説が掲載されていましたが、これを見ると、この御像が如何に多くの工程を経て制作されているのかがよく分かります。
因みにこちらは撮影可ということで、遠慮無く撮影させていただきました(笑)。
聖林寺展では十一面観世音菩薩立像が全方位展示されているので
御寺では拝することのできない御背中も拝観することができるのですが、こちらのレプリカ像でも
真後ろには回り込めないながらも御背中を観ることができます。また
(聖林寺像)
(レプリカ像)
しなやかな指先の表現や
(聖林寺像)
(レプリカ像)
華やかな蓮弁の様子も間近に鑑賞することができるようになっています。
御顔の様子も
(聖林寺像)
(レプリカ像)
金箔の剥落具合から乾漆のヒビ割れ具合までが克明に再現されていて、間近で観るとビックリします。これ程の精度でのレプリカを製作するのは、相当大変だったのではないでしょうか。
それにしても、今から1300年も前にこれ程の仏像を製作し得た奈良時代の仏師の力量には改めて驚かされます。
すらりとした立ち姿、
堂々たる体躯、
慈愛に満ちた眼差し、どれを取ってもこの上なく美しく、つい時を忘れて見入ってしまいそうになります。かつて聖林寺に参拝した時には1時間に1本しか来ないバスの時間を気にしながらの拝観でしたから、ここまでじっくりと拝観することができることに感慨もひとしおです。
聖林寺展もそろそろ会期末が近づいていますから、こちらのレプリカ像展示もそろそろ終わってしまうでしょう。もし興味がありましたら、感染予防対策を万全にした上で上野までお出かけになってみていただきたいと思います。
それにしても、こんな大切なことを書き忘れるとは…。