コンテストが終わるまではコンテスト周波数以外はやらないと決めていました。
が、ホンの少しだけですが12mと15mと40mのFT8をアンテナの調子を見るために飛んでるかチェックで出ました。
特に妙なこだわりとか理由があるわけではありませんが、何となくそんな気分だったから、程度のことかもしれない。
幼い妄想かもしれないが、コンテストの神様は浮気していると微笑んでくれないかもしれない、とか
そもそも日頃から真面目に鍛錬もしないでそんなこと気にしてもしょうがない、とか、要は”しょうもないこと”を
考えていた。それもこれも、久しぶりで勝手を忘れてしまっていたのが原因ということにしておきましょうか。
コンテスト前日の金曜の夕方、アンテナを建て終えてリグの準備も済ませ、飛んでるチェックをするために15mをワッチした。
丁度X(旧twitter)で、小笠原に移動されていたJD1BQPが運用開始した旨を呟いていたので、早速呼びかけて交信し、V63CBの
1st.QSOとなった。その夜は数局だけの交信に留めた。なんやかんや言ってポナペまで荷物担いで一人で来て設備も作ったり、で
結構疲れていたので、シャワー浴びてから軽くワッチだけして早めに寝た。
夜が明けてコンテスト当日の朝。
外へ出ると目の前には朝日を浴びたソケースロック。海は凪の状態で海面が鏡のようだ。
無風でアンテナは揺れることなくそびえ立っている。
再び海外へ無線をやりに来たことを改めて実感して、しばらくの間一人で海を眺めていた。
すると、一台の車がやってきてアパートのオーナーと従業員のヘルシンが陣中見舞いに朝ごはんを届けに来てくれた。
居候させてもらいながら手厚くしてもらい恐縮する。
ヘルシンが採ってきたばかりのヤシの実を器用にナイフでくり抜き、ヤシの実ジュースを飲ませてくれた。
生まれて初めて飲んだが、その美味い事!体が綺麗になるような、自然な甘みが少しだけあり、市販の清涼飲料では味わえない。
暖かい気持ちと共に元気百倍!をいただいた。
ポナペはGMT+11hなのでWorldwideコンテストは昼の11:00に開始となる。朝ごはんをゆっくり食べ
日本から持参したインスタントコーヒーを飲み、ワッチしながら朝の時間を過ごした。
今回はnon-assistedでやるつもりだったので、開始前にワッチしながらクラスタなどを見ていたが
どうもA-indexが高いせいかハイバンドが開けてはいるものの安定せず、20mはさっぱりな感じ。
10mではカリブと南米が良く聞こえているが、北米西海岸はさほど強くない。10:00過ぎた頃から15mで電波を出し始める。
コンテスト直前なのでどの局とも"CU in the Contest"でご挨拶。10mで始めるか15mで始めるか迷った末、15mスタートとした。
一発目のCQ contestに即応答いただいたのはJJ1RJR。スタートで呼ぶのを待っててくれたようで嬉しかった。
数局JAが続いた後、北米東海岸から立て続けに呼ばれる。
あぁ次々にDXから呼ばれるのは何年ぶりだろうか、と交信しながら思った。やっぱり楽しい。凄く楽しい。
しかし、数年ぶりのコンテストオペレーション、おまけに最近あまりやっていないSSBで、ペースを上げれない。
落ち着いて一つずつ確実に、と捌いたせいか少々スロー過ぎた様で、最初の1hは平均3q/m、最高速でも4q/mと
ややのんびりした幕開けとなった。それよりも、再びこうして呼ばれ続ける機会が得られた喜びの方が勝っていた。
JAのSNSでちょくちょく短い言葉を交わしたことのある方の多くが呼んでくれた。会ったことが無く顔は知らなくても
SNSでコールサインを覚えているとピックアップがラクだ。お会いしたことある人なら大抵は呼ばれた瞬間に分かる。
1kW免許の時など昔お世話になったJF2SKVさんが呼んでくれた。いつも呑み会でお会いするJE1FQVさんやJN1NDYさんは
激強信号でサクっと呼んできてくれた。先日呑み会でお会いしたばかりのJH2QMTさんやJF2UEEさんは応援の一言を送ってくれた。
JE2VFXさんは相変わらず低い声で呼んできてくれた。
45分経過して120qを超えた時に最初のアクシデントが発生した。リニアのエラーによるダウンだ。
この時は電源再投入してすぐに復帰できたのでそれほど大きな問題とは思っていなかったが、この先で悩まされることとなる。
1h過ぎた辺りで急激に15mのコンディション落ちて呼ばれなくなり、10mへ移る。
10mはほぼ近隣のJA及びアジアばかりだったがランを続ける。しかしどうもペースが上がらず2q/m程度の空振りCQ連発が続く。
この時点で「これは今回は局数増やすのに苦労しそうだなぁ」と感じ始めたのだった。決してコンディションが悪いとも言えないが
なんか不安定な感じで、絶好のコンディションっ!って感じじゃなかった。そんな時、ふと2015年のベトナムから出た時を思い出した。
あの時もさっぱりだったよなぁ、またあんな結果だと嫌だなぁ、などなど思いはするものの、流石あれから8年も経って自分も逞しくなった(笑)。
上手く行かなくても精神的に凹まなくなった。鈍くなったとも言う。
黙々と愚直にV63CB contestを連呼し局数を積み重ねたが、最初の3hで約300q程度と恐ろしくペースが悪かったので、取り敢えず
腐らずに初日に1,000qはクリアするのを目標に修正した。その後は10mと15mを行ったり来たりで黙々と数を重ね、ようやく500q
となったところで20mへ移った。午後も後半戦なので欧州が開けているはずと思いきや、全く開けていない。昔、チュークから出た際
同じ時にポナペからJA7HMZ井川さんが出ていて後日結果を話した時に、隣の島であるにもかかわらず聴こえ方が全く異なることに
驚いたのを思い出した。チュークは欧州が強く、北米が弱かったが、ポナペは反対で北米が強く、欧州は弱い。島の位置的な関係もあるが
島の山影の影響も大きいと想像される(それぞれ弱い方面が山で、強い方面は海だけ)。しかし、これほど欧州が出来ないとは意外だった。
それでも20mで3q/m程度でランを続けていると、V6Yに呼ばれた。チュークから出ているYDXCチームだ。互いに頑張りましょうと
エール交換する。気持ちを入れなおしてランを続けているとKP4PKとKP4AAが連続して呼んできた。カリブからの信号が恐ろしく強い。
すると数局後にはZF2Bからも呼ばれ、欧州が冴えない分をカリブと東海岸が冴えた。丁度その時間帯に名古屋勉強会のJE2EHPやJF2OZHが
応援コールしてくれた。日没してからは少しだけマルチ稼ぎで呼びまわりをし、その後40mへ移りひたすら数を稼ぐ。現地の夕方の40mは
まるでAll JA状態。4q/m巡行ペース、時々5q/mで片っ端から捌くのだが、JAにも上手な方と不慣れな方がいて、不慣れな方は必要ないのに
コンテストナンバーを繰り返したり、余計なことを喋りすぎる。互いに日本人で気を許して貰えているのかとは思うが、コンテストでは
短いことが礼儀だ。コンテストはラジオスポーツである、ともっと広めるべきなんだろう。そのためには自分ももっと上達しなければならない。
40mでランを続けていると少しずつWを拾うことが増えてきた。このまま一気にWのパイルになると嬉しいなあ、と余計なことを考えながら
黙々と捌く。すると、PJ4Kがガッツーンと呼んできた。おぉ!と思っていると数局後にはV47Tがこれまたガッツーンで呼んできた。
おおぉぉ!と思っているとまた数局後にPJ4Gが呼んできて交信し、さあ次はどこだ!と思ったら、ここでリニアエラー。交信途中でダウンして
25Wで応答するも返事は無し。この時は10分ほど待ったら復旧できたのだが、夜が遅くなるに連れてだんだんとエラー発生頻度が増えてきた。
だましだましエラーと復旧を繰り返しながら散発運用を続けたが、現地時刻で日が変わった頃からは復旧することがなくなった。
欧州相手にしばらく50Wで呼びまわりをして耳の良い局は拾われたが、大半は箸にも棒にも掛らず応答なし。残念だがしばらく寝ることにした。
4:30に起きて聞くと40m20mで欧州が良く聞こえている。しかし相変わらずリニアはエラー解消せず。電圧を計測しても130V超えている。
コンセントによって違いは無いか、とか部屋の電気製品を片っ端から点けたら下がらないか、とかいろいろ悪あがきしたが変化なし。
しょうが無いのでコンテスト中だがゆっくり湯を沸かしてインスタントのコーンポタージュを飲んで夜明けを待って過ごした。
朝になってヘルシンが今朝もご飯を届けてくれたりして、結局リニアが作動できる電圧に落ち着いて運用再開できるようなったのは
ログによると21:11Zだから朝の8:11。気を取り直して10mからランを始めた。
今回、トラブルで中断があり途中で精神的に萎えてしまっても仕方がない状況だったが、不思議なくらい本人はあまり落ち込まなかった。
理由はいろいろあるのだろうが、理由の一つにカリブ、中南米、北米東海岸が凄く近いと実感できたことが大きい。他にはどんな理由があるのだろう。
しばらく経つとわかってくるのかもしれない。
10mはお祭りだった。ひたすら延々とWのパイルを浴びた。
Wのパイルは本当に気持ちがいい。無駄がほとんど無い。SPCで当たってくる局は当然ながら、弱い6桁コールサイン局も無駄が少ない。
こちらもフルスピードでのランを試みる。この瞬間をやるためにこんな遠くまで来たんだ。毎回コールサインアナウンスは必ず入れるが
ナンバーはファイナイトゥーセゥンで次から次へとなぎ倒す。一発でコピーしてピックアップ出来なきゃいかんのだが、なかなか全てを一発は難しい。
でもその難しさが最高に楽しい。何が楽しいのかって、この全力疾走する状態自体が楽しくて、自分がまだまだへっぽこオペであることを
世間様が聞いているなかで曝して、それでもめげずに繰り返しトライする。ずっと、これがやりたかったんだ。
10mはWとVEが9割、たまにその他って感じで呼ばれた。昨日40mで呼んできたPJ4などがここでも呼んでくる。中南米からは
TIやV3やYVなどもマルチ稼ぎで呼んでくる。だいたい4q/mで、この時間帯には最高速6q/mを数回達成できた。もうこのスピードが
やれたならコンテストの得点はどうでもいいや、と良からぬことを思い始める、笑。10mのパイルは2hほどで収まり、続けて15mへ。
今度は北米とアジアとオセアニアがほぼ均等に呼んでくるので、どんどん数を増やす。マルチ拾いをもっと真面目にやるべきとは思うものの
欧州が壊滅的なのでマルチ数がそれほど伸びないのは明らかなため、ランばかりしていた。12時過ぎて15mでJF2OZHさんから呼ばれたころ
突然V47Tが呼んできた。10mに移ってからはTO5Aからも突然呼ばれて驚いた。夕方には20mでV26Bから呼ばれて応答しても再度呼んでくる。
3回それを繰り返したらWの局が「V26B、おまえ3回も応答返ってんぞ」とQSPしたら慌ててV2がナンバーを送ってきた。相当混信が激しかったのだろうが
V6マルチは貴重だった様だ。
夜は40mで数を増やしたが、昨晩同様に夜が遅くなるにつれてリニアのエラー頻度が増していく。結局二日目の夜は22:30にいったん終えて
仮眠を取り、翌朝最後の朝は5時から再開した。それでも同様に頻繁にダウンするので50Wで呼びまわりのマルチ拾いに徹した。
当然極めて効率悪く、運が良ければ3分に1q、悪ければ5分間q無しの様な状態で少々気持ちが萎える。
ようやく8時過ぎになってエラーが解消されるとランを再開した。
北米からはパラパラまだ呼ばれ、JAからも散発的に呼ばれる。その時の得点が、ちょうど2010年のチュークの時の局数まであと少しという
状況だったので、前回の得点を越えるまでCQ連呼することにし、23:48Zに最後の交信をK3AJと15mで完了してFinishした。
締めて1,780QSOとなり、密かに目標としていた「最低でも2,000QSO以上」は叶わなかった。
そうでしたか、分4Qくらいでバリバリ遣っておられたんですね。私はTO5Aで「借りた猫」状態で少し運用させてもらっていましたが、分4Qくらいで続けると、かなりしんどかった。今年は28MHZが凄くて、あちらでも凄い速度でQSOが進んでいましたが、今回、CJBさんのブログを読んで、日本人オペでも凄い高速のコンテスターの方がおられることに、嬉しさが胸にワーンと涌きました。私も機会を増やして、もう少しレベルの高いオペが出来るようになりたいなあ、と思いました。
電源問題ですが、辛いですね。夜間に運用ができないと、オセアニアでの運用は勿体ない! 私がパラオで運用している範囲では、「日中=アメリカ方面、夜間=ヨーロッパ方面」の感覚なので、夜間にリニアが使えないのは本当に勿体ない。次回行かれることがあれば、その辺の対策をなされないといけませんね。(別の島で運用するのも手かもしれませんが)
それと私も、「オーストラリア大陸の東側からだとアメリカ方面が強く、西側からだとヨーロッパが強い」のは感じていて、V7辺りからだとヨーロッパは夜間でも凄く大変!、の感覚があります。横に長いV6の場合、運用地点の選択も大事かと思いました。
それにしても、久々の海外運用を楽しんでおられるお姿がバリバリ伝わってきて、こちらもたくさん元気を貰いました!
あと、トップの写真がいいですね、南国での運用の雰囲気が、凄く感じられました。
いやいやJA国内コンテスターの猛者にはもっともっと凄い人が沢山います。自分はそういう方々のオペレーションを見て、あんな風にやれるようになりたいなぁと思ったのが最初のきっかけでしたし、今でもそういう方々が目標です。PHだけでなくCWでもパイルを捌けるように上達したいと思っています。
電源は本当に困りました、笑。へき地の島だと電源事情は良く無い事はわかっているつもりでしたが油断していました。
でも山の様なパイルを浴びることが出来たので得点は冴えませんでしたが十分に満足出来ました!
おまけで6mがJAに開けたのも良かったです。
※6月に行った時、6mもQRVしてみたんですが、あまり開けませんでした。
適当にマッチングしたようで6mFT8でしたが数十局のJAはじめとしたアジアとできました。
週末はパラオですか!JIDXでしょうか、お楽しみください。