クロスバイクで元気

念願叶った定年退職の身は、先立つ物は細く時間は太くの狭間。
歩いて、自転車に乗って感じたことを、気ままに書き続けます。

キスリングが言う『手の持つ強い生命感』

2019年05月24日 17時59分06秒 | 美術展
好きな画家の一人、キスリングについて美術館学芸員が語るというので、その日2回目の名古屋市美術館通い。
午前中に「印象派からその先へ―世界に誇る吉野石膏コレクション」を鑑賞した時に、昼から講演があることを知り、市内のギャラリー5会場を回ったあと、再度名古屋市美術館へ。
中村暁子学芸員による演題は『女優の瞳に映るもの』。

キスリングが描いた肖像画、モデルになったのは女優のマルセル・シャンタル。
かなり暗いバックに女優の顔が画面の上方に、両手が下方に明るく浮かび上がる肖像画。

紹介されたキスリングの言葉に『人の性格は変えることができても、気質は変わらない、と私は確信しています。』『私が獲得したもの、それは観察する能力であり、それが事物のより秘められた存在理由へと遡及することを、今や私に可能にしているのです。』『私は心理学的な肖像画を描いているのではありません。私は、雰囲気や衣装や肉体の外見や視線と手の持つ強い生命感によって、作中の人物たちを彼らの日常の存在様態の中に置こうとしているのです。』(いずれも、『パリの画家、1924 狂乱の時代のインタビュー』フロラン・フェルス:編著、藤田尊潮:訳註 八坂書房、2015年 pp.84-86)

画家の自信に満ちた洞察の深い言葉には感銘を受けます。
ミーハーの私は、ますますキスリングが好きになりそうです。
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