付け焼き刃の覚え書き

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「SF入門」 福島正実:編

2009-10-17 | エッセー・人文・科学
「世の東西を問わずSF漫画は雑草のような俗悪連続漫画をその母体とし、ツルシ上げられ、蹴ッとばされ、ふみにじられながらも図太く育ってきた」
 そしてSFというものを世に浸透させてきたと手塚治虫の論。

 日本にSFが定着していくのはこれからだという昭和40年に、「これがSFなんだ!」と当時の第一人者たちがSFとはなにか、SFの系譜とバリエーション、SFならではの専門用語の解説、SFの楽しみ方や書き方などについてとことん語った入門書というかSF学総論のテキスト。
 ギリシア神話からヴェルヌやウェルズを経由して共産圏SFまでの歴史を福島正実や石川喬司らが語り、SFの流行や批評性などを安部公房や小松左京らが語る他にアイザック・アシモフの文章を引用。SFのマーケットについては伊藤典夫が、コンベンションについては矢野徹が、マンガについては手塚治虫、スペースオペラのヒーローについては野田宏一郎(野田昌宏)が、SFファンダムについては柴野拓美がと、適材適所でじっくり解説。他にも光瀬龍、豊田有恒、小隅黎、星新一らがとことん、あらゆる角度からSFを語ります。
 名著だなあと思いますし、なにより執筆陣がこのジャンルが大好きなんだという想いが伝わってきます。

【SF入門】【福島正実】【サイボーグ】【ロボット】【タイムトラベル】【BEM】【ESP】【宇宙飛行】

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