【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

(ユキガカリ・ナルヨウニシカナラン)

2012年07月10日 02時18分25秒 | 店の妓 ツネ嬢
         
            (画像は勝手イメージ:勝手ナ物事語リ)




【赤い髪の女ツネ嬢】(21)


茶店の滴が垂れる窓の向こう側。
肌寒い外は輝きのない淡い灰色だった。

心の暗さで沈んでいた。


魚町(トトマチ)通りの人気のない濡れた舗道。
穏やかな風に流れる粉糠な驟雨で静かに煙ってた。 



「カッキャン。アンタ苦しぃないんかぁ?」

❍○さんが鼻歌混じりで、ワイに訊いてきた。
コンマイ匙ぉ太い指先で摘まみ、珈琲カップの中を搔き回しながらやった。


「ナンもないですはぁ」

ワイ応えながら茶店の木枠窓に嵌った、細く流れる露で濡れた硝子。
俯いたまま首を無理やり曲げながら覗いた。

ワイ。❍○さんの方を向くのが厭ヤッタ。
コッチぉ観てる❍○さんの眼を覗くコトができなかったから。 


短くなった煙草ぉ、口に挟みかけたら窓の外を人影が横切った。
入口扉に吊るされた小さな鈴が鳴った。
濡れた肩で扉ぉ押しながら、❍○さんの若い衆が戻ってきた。

ワイらの席まで、音もなく歩きながら近づいてきた。
❍○さんの傍らにくると腰を屈め、❍○さんの耳元に顔をよせた。

「頭(カシラ)ぁ。頭のゆぅとぉりですわ」

その後はワイには聴こえなかった。


❍○さん、若い衆が耳元で囁くのを、珈琲カップを掻き混ぜながら聴いていた。
若い衆の方を視もしなかった。表情も変わらなかった。


「そぉか。お前、ナンか飲むか?」
「イエ。自分。用ぉ事がありますさかい、コイデ失礼させてもろうてえぇやろか?」
「えぇで、御苦労ハンやったなぁ」

「ホナ、失礼します。」
ワイにいうとき、伏し目ガチやった。


「カッキャン。人サンな。イロイロやなぁ」
「ナンがですんか?」
「上等なモンはぁ、アンマシぃ居らんチュウことや」


ワイ。頭ん中フル回転してた。
高速すぎて、パンクしそうやった。


脆い胸ん中の心。冷え冷えやった。




駆け引きゴトなんかしてなかったんやけど。
恐かった。


誤解されるんが。





若いコロ ナニぉやっても嘘がと

夢ぇ掴むん 難しすぎました

希望は 叶えるコトも叶わぬもんやと





赤い髪の女ツネ嬢】(21)



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