【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

長崎 ソボ降ル霧雨 情話

2007年06月15日 16時16分12秒 | 無くした世界 
      



静かさな夜 そぼ降る雨
静か騒ぎで深めます 夜を

何処かに逃げれゝばと 想いながらの そゞろ歩く石ノ畳道
何時の間に哀しさ捜し 心 啼き濡れまする

梅雨が もぉすぐ終わりましょうかと 少し汗ばむ夏の走りな此の晩
サッギで小雨が哀しげそうに サメザメと肩を濡らし降っていました



「さるかんとね? 」
  歩くかぁ?

「ウチぃ 濡れるとスカンとぉ 」
  濡れるの嫌ですからぁ・・・・

「よかとぉ? オイもぉ行くケン 」
  いいのか? 行くぞ


登りの暗さナ坂道 古き石畳
歩きにくさは 想いとは裏腹な わざとな躓き誘いそう


「はよぉこんかッ! 」
  早く来なさい

「知らんッ! もぉぅスカンッ! 」

「ナンバゆうとっと 三つごかッ! 」
  ナニ言うか 三才の童みたいに 

「手バ引っ張って 」
  手を・・・・

「せからしかッ! 」
  エェイッ面倒なッ!

「イヤとぉ? 」
  キライなんですか わたくしが

「・・・・・バカ か 」
   アホッ かぁ

言葉ジャレ合い 坂道下 電車の道まで届きましょうか
濡れたよぅに為って 聴こえてましょうか

下駄の石畳蹴る音 お供に



「キレカぁ! 」
  綺麗ッ! 

浴衣の貴女は額の汗 星影照らしで輝かせ
夜目にも白きハンカチ握り振り 素直に驚いてくださったッ!

僕は チョット得意げに喋りました

「ドゲンしても 観せたかったと 」
 どうしてもこの景色 観せてあげたかった


貴女のお返事 無言返事


キット 浴衣の肩 降る霧雨沁みこみ 濡れていましょうかと
其れ確かめたくて 手を伸ばし触ろうとしたら ッ!
君の黒き瞳 綺羅綺羅ッナ 星影映し輝き コッチをッ!

僕の手 往き場をなくし夜の空気摑みます

 幾度も 空気を


「ナンバしよっとぅ? 」
  何をしてるの?

「ムッ虫が飛んどるケン 」

「暗かとに見えるとぉ 」


今度は僕が無言ナ返事ッ


「ウチ 見えると? 」

「なんがね? 」

「化粧ばしてきたとぉ・・・・ 」


僕は暗さな中 暗さが恨めしかった



眺めれば狭き湾の向こう 山肌隠すかと降る霧雨に 煙る街の灯り

互いに 想いの何か隠しで 黒色濃い染まりな港を見下ろせば

胸の想いの淵 覗けましょうかと そぉぅ出切ればと

微かに霧笛が流れ 暗い潮にと馴染まずに 視えない山ノ膚に吸われます


梅雨の終わりな晩は 言葉なき喋り
只タダぁ ナニをと 求めずにと
冷たい霧雨が 優しく肩濡らす儘にぃ


「ナンもせんとぅ? 」

「!ぇ  」

「ウチ 弱かと スカンッ!」



「ぁッ! 」




濡れれば 如何にかなるもんかッ!