【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

 逸れた 夜雲

2007年05月28日 09時43分29秒 | トカレフ 2 
  
【 ハグレタ ヨルクモ 】   



あの日の晩は頭上に、暗さな闇が覆いかぶさり、蓋をした夜だった。
だから、星の明りだけの暗さナ夜やった
暗い夜の向こうで、銀色に光輝いているはずの月はぁ

 今ぁ、何処にぃ・・・・

寒い夜は真っ黒で、冷たく深まっていました。
遥かな山、視えましょうかと、黒色を透かし視れば
動かぬ夜の向こうにぃ 仄かな黒い山影が。
其の山の峰に浮かんだ、月を隠した雲
背中の満月の光で、淵が灰銀色に輝き縁取り。
暫く眺め観れば、ユルリッとな動きで流れています。
闇の重さをナンだか感じさせ、夜の空中に浮かんで流れていました。

月、視えない冬の空、天イッパイに瞬く星々。
雲、暗さナ何かを覆い隠し、忍足で ユックリッ と流れすぎようと。
だから黒雲が浮かぶ天、其処だけが雲の形に模られ
星々消え去り、黒く穿った大穴の如くに為っていました

わたくしが、あの時に見上げた
真上の宙とは違って観えていました。


走り去った夜汽車見送れば 耳に轟音の余韻残ります
余韻消えれば 静かさなで寒さが在った踏切

 月はぁ・・・・

何処か遠くで鳴ってる、パトカーのサイレン聴き
静かさに為った踏み切りで、耳を欹てて立ち竦んでました。
今動けば、ナにかと聴こえるの音、何処かに逝ってしまうかと。




【 踏切 】

自分、踏切手前で女物の自転車に跨っていました。
夜汽車が走り去って遮断機揚がたけど
躯凍ったようになって、固まっていました。

ぇ~! 虫の鳴き声ぇ?今冬やでぇ・・・?
っと自分思いました。 何処で鳴いてるんやッ?とも。 

もしやッ! まさかぁ?

早くバイトにっ!と気が急いてましたけど
ナニがッ? っと強く興味を引く、冬の暗闇の向こうから
季節はずれなぁ・・・と、耳に微か聴こへし虫の鳴き声。
っの、聞こえてきたかなぁ?の方角を観ると、
線路の柵伝いに、外と内側から柵を挟むように
背高い、枯れた細い茎だけになって群がる、雑草が。

虫の鳴きぃ、あそこら辺りからかぁ?

自分 チッ! っと舌打。
それがキッカケでした、自転車押してました。

タブンココら辺りからぁ・・・・? 

未だ此の時までなら、今までの自分に戻れてました。
暗さナ線路間近には、ナにも視えませんでしたから。
だけどもぉぅ、人の中の好奇心、ヨカラヌ悪戯をします。
此の時も自分の心に、何事かと悪さをしました。


人が、タブン人がぁ・・・・

線路脇の、有刺鉄線柵の直ぐ内側の
草叢で、俯けになって転がっていた。

タブン、人がぁ・・・・!


 チッ!

軽く鳴らした心算の舌打ち
アンガイ、夜の中に響きました。