【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

 【旧友】 

2006年11月05日 01時31分14秒 | 夜の時代 【深夜倶楽部】 
  

 
 【想い籠もる新聞包み】


自分、目を覚ますともぅ夕暮れ近かった。

この地方独特の屋台、
造りは雅な華やかさで多人数で担ぎ上げる大きな祭り屋台。
っの、眠る収納蔵で 目覚めた。
蔵内板壁の屋根裏野地板剥きだしの天井近く 明り取り窓開いてました。
其処から夕焼け光が 水平に差し込んで 反対側の天井と板壁
紅く染まっていました。

自分、翌朝まで眠って起きたと、錯覚勘違いしました。


播州地方秋の名物祭り 灘の喧嘩祭りほど知名度はぁ じゃぁなくっても、
此の地域の人々にとっては 同じくらいの想い入れが籠もった祭です。
其の溜め息が漏れるような 見事な彫り物飾りが施された屋台が納められている
古さを趣にし隠せない 由緒が香る屋台蔵 っで、目覚めました。

天井に届くかとの 嵩高い屋台と内壁の間の土間に、
祭りの後に近くの広場で 華やか賑やかしの名残を惜しんで催されます
打ち揚げの宴を催す時 地面に敷きます畳茣蓙を数枚重ねて敷き
上掛け代わりに蔵の奥の物入れ櫃から 赤白の祭り幔幕を引っ張り出し
身体に掛け 眠っていました。

真二と自分、二人とも殺されたように眠り扱けてた。
眠りの中の 夢の中は、何もかも消えたように、何も無かった。
多分、真二も同じだったろぅ


昨夜、もぉぅ明け方近くに公衆(電話)から 此処の地元の人に連絡した。
「済まんけどな、ドッカ寝れるとこぉないやろかぁ? 」 っと

此の連絡を入れた奴、古い友人で同い歳、昔は自分と同じ職業(水仕事)でした。
今は普通の堅気のお嬢さんを娶って 普通に家の跡を継いでいます。
家業は土建屋さん致しておりましたから、当然一端の「親方社長」 です。

最初、女性の綺麗な声の方が電話を受けてくれました、眠そうでしたけど。
自分、名前を名乗り旦那さんをと願うと 「暫くお待ちくださいな 」 っと。
受話器耳に当て続けてますと受話器の向こう、廊下を慌しくな足音迫り来て

「なんやねんもぉ!今ぁ何時ぃ思うてるんや!なぁんもぉ電話の一本もせんといて!」

っと、可也な勢い言葉でした。
けれど自分、耳から心に懐かしさがぁ~!

「スマン済まんチョット訳ありやねん、倉庫でも何処でもえぇさかいにぃ無いか? 」
「・・・・なんや?なんぞあったんか! 」
「聞かんほぉが えぇおもうけどな 」
「なら、聞かん 」
「ドッカぁ ないかぁ 」
「一人か? 」
「・・・・・えっとなぁ 」
「解かった言うな、倉庫はアカン!今 建て替え中や 」
「何処やったらえぇんや 」
「チョット待ってくれるか、小便しながら考えるさかいにぃ掛け直(電話)してくれるか? 」
  

っで、東の空に紅い霞みたいな朝焼けが懸かりだした頃
屋台蔵前で 久しぶりの再開をぅ・ ・ ・ ・!

真二は単車と共に 蔵から少しぃ離れた森
八幡様が祀られてる社が在る 鎮守の森入り口の鳥居の所にぃ。
懐かしいぃ友人親方、ニッカポッカ姿で足元は 職人足袋履いてた。
以前は可也太っていましたけど、今見ますと随分と引き締まった肉体です。
キツク使う筋肉だけ 身に纏ってるなぁ~! っと、自分感心しました。
八幡様の森の傍の 田圃の向こうから、堂々とした感じで屋台蔵の近くまで歩いて来ました。 

親方、真二と単車に気づくと軽く会釈してた。
真二も、同じ仕草やった。

「カっきゃん どないしたんかわぁ聞きとぉないけどなぁ、テレビぃ騒いどるなぁ!」
「そぉかぁ? なんて? 」
「相手な重症や、言うてるで 」
「ほぉ~! 」

「ホレ、此れっ 」

帆布のズックで作った 職人の道具袋から 
新聞紙で包んだものを自分にぃ、取れといってきた。

「嫁が、昔ぃ世話になったゆうたら急いで拵えよったわ 」
「わるかったな、よばれるなぁ 」

掌に載せた新聞紙の包みからは 暖かさがぁ~!
胸にナニヤラがなぁ 込み上げ掛けたさかいにぃ
懸命にぃ我慢しましたぁ。

「それとぉ此れもや 」 古い魔法瓶も取り出して、寄越してきた。
「ぅん、済まんな! 」
「それは、反さんでえぇさかいにな どぉせホカソウ思うてたさかいにな」

「ホンデ、此れもや 」

ニッカポッカのポケットから 小瓶を取り出した。
「嫁がな、要らんゆうても持って行けちゅうねん 」

新しい封も切ってない、総合ビタミン剤の小瓶やった。 

「チョットぉ細かいけど、わいにわなぁえぇ嫁やったで~! 」
「そぉかあ! 」
「カっきゃんに 相談してぇ良かったんやで、おおきにやったなぁ! 」
「違うがな、勢いがよかったんやでぇ 」
「・・・・ぅん、かもなぁ 」

「なんでなぁ?こんかったんや 」
「ぇ!・・・なにがや? 」
「式にぃや! 」
「あ!、ぅん、悪かったな、カンニンやぁ ・ ・ ・ 」

言葉に遣られて、言葉に詰まってました。 暫くぅ
遠くから、時報を告げるサイレンが流れ聞こえてきた。

「時間やさかいにぃ行くわ 」
「ぅん、済まんかった 」
「カっきゃん、あの人にも宜しゅう言うたってなぁ 」
 
細かく目と顎が動き示した 真二をぉ

「なぁ、よぉ電話ぁくれたなぁ、嬉しかったで~! 」
「あぁ、此れ以上はぁ迷惑 懸からんようにするさかいにな 」
「懸かってもえぇがな、大した事ない 」
「奥さんにな、ホンマニありがとうってな! 頼むなぁ 」
「わかった 」
「ホナなぁ 」

「巧い事ぉしいやぁ 」

鎮守の森影の向こうに消えるまで 一度も振り返らんかった。
けどなぁ、遠のく広い肩幅がぁ物凄くなぁ
語ってましたよぉ~!

キッと、ナンでや?ナンでこんな形なんや~!

 って!っ