いまジャーナリストとして

 いま私たちの目の前に、次々と現れるニュースをどうとらえ、どう判断するか・・・ジャーナリストの日誌。

甘利経済相の疑惑その2・・・いまのままでは、野党は週刊文春の記事の感想を話し合っているだけです。

2016年01月25日 01時49分01秒 | 日記

 甘利明・経済相の現金受諾の疑惑を、引き続き、野党が追及していま
す。
 もちろん、これは週刊文春が報じたものです。
 野党がお粗末なのは、どの政党も、週刊文春の記事だけを追及の材
料にしているらしいことです。
 どうも、各党とも、甘利氏(とその秘書)に現金を渡したという建設会社
を、独自に調べている形跡がありません。

 甘利氏は、スイスのダボスで開かれているダボス会議に出席するた
め、日本を離れました。
 それを、共産党の志位委員長は、
 「こんな疑惑を抱えた甘利経済相は、ダボス会議に出席できるだけの
知性があるかどうか疑われる」
 というような発言をして、非難しました。

 社民党の又市氏は、
 「記事が本当なら、とんでもないことだ」
 と述べ、怒ってみせました。

 しかし、志位委員長も、この建設会社を調べたとは言っておらず、どう
やら、文春の記事だけで話をしているようです。
 又市氏にいたっては、正直というかなんというか、「記事が本当ならけし
からん」と言っています。記事が本当かどうか、確認せずに、話をしている
のです。

 さすがにメディアは、文春の記事を受けて、独自に、取材をしていま
す。文春に登場した建設会社の人物は、一色某氏といいます。
 名前が出ているので、各社、この一色氏をつかまえようとしているようで
す。
 しかし、一色氏が住んでいるとされる住所にある家に行っても、どうも、
別人が住んでいるようです。
 
 文春の記事は、立派なスクープですが、いくつか、疑問点があります。
 最大の疑問点は、一色氏です。記事では、一色氏は千葉県白井市に
ある建設会社の総務担当者ということになっているのですが、総務担当
者の一存で、代議士に1200万円という大金を渡せるものなのかどうか。
この建設会社は大手ではないようですから、お金を閣僚に渡すという
ようなケースでは、総務担当者などではなく、社長とかオーナーが出てく
るのが普通でしょう。
 
 ですから、甘利経済相の疑惑を追及するには、どうしても、この一色氏
をつかまえなくてはなりません。
 仮にも閣僚を攻めるなら、野党は、せめて、この建設会社に出向いて、
社長なりオーナーに話を聞くべきでしょう。

 たまたま読んだインターネットのコメントに、おもしろい指摘がひとつ、
ありました。
 それは、やはり、各党の追及が週刊文春の記事だけを材料にしている
のを皮肉ったもので、
 「野党は、週刊文春の読書感想文を提出しあっているだけではない
か」
 というのです。

 これは、なかなか鋭い。 
 たしかに、各党とも、文春の記事を読んで、「けしからん」とか、
「辞任する考えはないのか」とか言ってみたところで、しょせん、それは
記事の感想を述べ合っているようなものです。
 サラリーマンが、新橋の居酒屋で、「けしからんよなあ」「ほんと、
やめたほうがいいよ」とやっているのと何も変わりません。

 野党がしっかりしていないと、議会制民主主義は、機能しません。
 野党は、いい加減に、奮起せよ。