滝口康彦による原作を橋本忍が脚色。
封建社会の理不尽な家族制度(人間関係、夫婦)を暴いた作品です。
舞台は1725年(享保10年)の会津松平家。
江戸時代の武士にとって、上からの命令(上意)は絶対命令。馬廻り役300石・笹原伊三郎(三船敏郎)は、藩の御側用人から長子・与五郎(加藤剛)に「藩主のお手付きの女性を貰い受けろ」と縁談を持ち込まれました。
気乗りしない伊三郎と与五郎。伊三郎の妻、すが(大塚道子)によれば、嫁候補・いち(司葉子)はもともと藩主のお気に入りで寵愛を受けていましたが、藩主が若い側室に乗り換えたところを逆上し、この側室に殴りかかったので、藩主にも平手打ちを食らわし不興を買い、このためいちを下げ渡そうとしているのだ、と言うのです。(事実はすがの言辞と異なり、いちには婚約者がいたにもかかわらず藩命一つで藩主の側室とならざるを得なかった不条理に対する怒りが原因でした。)
藩命には逆らえず伊三郎と与五郎は、しぶしぶ彼女を嫁に迎えます。 いちは気丈にふるまう良妻でした。与五郎といちは仲睦まじく、娘も生まれ幸せな時を過ごしていました。
幸せな結婚生活は江戸からの知らせによりぶち壊されます。藩主の嫡子が急病により他界、いちの子が新たな世継ぎの候補にあがったのです。いちは世継ぎの生母となったため、藩の上役から与五郎にいちを奥に戻せとの上意が下されます。
あまりに理不尽な藩命に伊三郎、与五郎は怒り心頭。いちも与五郎もこの藩命を断固拒絶しますが・・・。