原作は高森美由紀による小説「ジャパン・ディグニティ」。
青森の伝統工芸・津軽塗=通称「バカ塗り」をテーマにした作品です。津軽塗が「バカ塗り」と言われるのは、塗りを何十回も行っては研ぎ、塗っては研ぎを繰り返す過程がバカ丁寧に見えるからです。
本作品はこの伝統工芸である津軽塗をとりあげ、不器用な女性が津軽塗職人の父と暮らすなかで、この仕事を継ぐ決心を固め、その道をすすんでいく姿を描いた人間ドラマです。
作品の中で、津軽塗の工芸が職人の手でいかに作り上げられてくかが、丁寧な映像でじっくりと味わうことができます。
舞台は青森県弘前市。青木美也子(堀田真希)は高校卒業後もやりたい仕事が見つからず、家計を助けるためスーパーでバイトをしています。何をやってもうまくいかず、自分に自信を持てない彼女。しかし、津軽塗の祖父のもとでその技術を継いだ父、清史郎(小林薫)の手伝いするときだけ、美也子は夢中になれる時間をもてるのでした。
業界の斜陽とともに気力を失っていく父。祖父は痴呆症がでて施設暮らし。貧しい暮らしと父の身勝手さに愛想を尽かして出ていった母(片岡礼子)と、家を継がず美容師になり、さらに同性婚を選択した兄、ユウ(坂藤龍汰)。いつしか家族はバラバラです。そんな家族のなかで、津軽塗の工芸を学び、家業を継ぎたいとなかなか言い出せない美也子でしたが・・・。
近所のバッチャ役を木野花さんが演じています。