趣味で蒐集した「きっぷ」を見て考えたこと、とか…
JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
古紙蒐集雑記帖
帝都高速度交通営団 荻窪駅発行 160円区間ゆき片道乗車券
帝都高速度交通営団(営団地下鉄。現・東京メトロ)は、今から20年程前の2004(平成16)年3月31日の営業を以て民営化され、翌4月1日から東京地下鉄(東京メトロ)に移管されています。
営団地下鉄最終日である2004(平成16)年3月31日に、丸ノ内線荻窪駅の06番券売機で発行された、同駅から160円区間ゆきの片道乗車券です。
若草色ていとこうそくどこうつうえいだん地紋のA型金額式券で、サーマル方式券になります。
地紋部分を拡大してみました。営団地下鉄の乗車券は、硬券や補充券などの軟券についてはJPRてつどう地紋の券が使用されていましたが、券売機券については昭和40年代前半から券売機専用に地紋が使用されており、そのまま印版方式からサーマル方式に券売機が改良されても、感熱式の券売機用専用券紙が使用されてきておりました。
営団地下鉄がなくなってからすでに20年が経過しており、管理人のような年配のコレクターにとっては昔懐かしい地紋でありますが、若いコレクター氏のなかにはご覧になられたことがない方もおられるかと思います。
営団地下鉄の「営団」という組織形態は官民共同出資の形態で、営団地下鉄の設立当初は民間鉄道による出資が含まれていたと聞いたことがありますが、1951(昭和26)年に行われたの法改正により民間組織が排除されてしまい、以降は日本国有鉄道(国鉄)と東京都の出資による公的な法人になっていました。国鉄分割民営化の後は、出資の主体は日本国有鉄道清算事業団を経て、大蔵省(現・財務省)に渡っていました。そのため、営団地下鉄は、名称として「営団」の名ではありましたが、市営交通や株式会社形態である第三セクターとは異なり、国鉄と東京都の出資による公営企業として独特な位置づけで、その組織実態として、国の外郭団体である公団や公社のような存在であったようです。
2004(平成16)年4月1日に東京地下鉄株式会社法が施行にされ、営団地下鉄の一切の権利及び義務、設備、車両は東京地下鉄株式会社(東京メトロ)に継承されます。
東京メトロ発足段階では日本国政府と東京都が新会社に対し、国が53.42%、都が46.58%の比率で出資をしていましたが、政府は東日本大震災の復興財源確保のために、国の持ち分のメトロ株を売却して得た収入を東日本大震災の復旧・復興のために発行した復興債の償還費用財源とすることが特別措置法で定められていました。
当初は2022年度までに全株式を売却する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響などもあり、売却期限は2027年度に延期されて現在に至っています。
しかし、本年10月、東京メトロ株の上場が決定しており、政府と東京都は東京メトロの株式の売却を2024年度中にも始める予定で、両者で100%を保有する株式を最終的に50%売却するとしています。