小名浜臨港鉄道 泉駅発行水産高校前ゆき片道乗車券

昭和47年9月に小名浜臨港鉄道(現・福島臨海鉄道)泉駅で発行されたとされる、片道乗車券です。


   


かなり紙焼けしていますが、青色JPRてつどう地紋のB型一般式大人・小児用券で、山口証券印刷で調製されたものと思われます。


小名浜臨港鉄道は常磐線泉駅から小名浜を結ぶ鉄道で、昭和42年に福島臨海鉄道と社名が変更され、この券が発行されたとされる昭和47年9月30日を以って旅客営業を廃止し、現在も貨物専業の鉄道として現存しています。


ところで、この券が発行されたのが昭和47年なので、券面記載の社名「(小名浜臨港鉄道)」は旧社名であることから残券が使用され続けたかのように見えますが、よく考えてみると事情が違います。

同鉄道は泉駅から小名浜駅までの路線で、泉 ⇒ 滝尻 ⇒ 東邦亜鉛前 ⇒ 宮下 ⇒ 水素前 ⇒ 小名浜の順の各駅しかなく、この券の着駅である水産高校前駅という駅はありません。

水産高校前駅というのは、小名浜駅から先に存在した江名鉄道という別路線の駅で、同鉄道は自社車両を一切持たず、運転業務そのものを小名浜臨港鉄道に委託しており、事実上小名浜臨港鉄道の延長線のような存在でした。しかし、昭和40年の台風で線路擁壁決壊のため、応急処置で運転を再開したものの、昭和41年に運転休止となり、翌42年に廃止されてしまっています。


以上のことから、御紹介の券は小名浜臨港鉄道時代の江名鉄道への連絡乗車券であり、昭和41年もしくは休止前の昭和40年に廃札となったものを、福島臨海鉄道が旅客営業廃止の際に日付を入れて放出したものと推測されます。

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