特定特急券についておさらいしてみよう

菅沼天虎様のブログ「菅沼天虎の紙屑談義」1月10日~16日エントリーの記事において特定特急券の特集が組まれておりますが、ふと特定特急券について調べてみたくなり、国鉄が昭和59年4月20日発行した「旅客営業規則」を開いてみました。

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意外にさらっと書いてあって拍子抜けしてしまいますが、ひとつ参考になったことがありました。
備考欄に記載されておりますが、
 (1) 必要に応じ、乗車駅名、下車駅名又は列車名を記入式とする。
 (2) 必要に応じ、「とき号の自由席車又は北越号に」…
とされております。
要は、(1)において、特定特急券は区間を限定して発売するため、乗車区間や列車を指定するわけですが、常備式に固執することなく、記入(補充)式にしても良い、ということが謳われています。また、(2)においては、列車名を指定したうえで、指定列車の自由席に限り有効である旨を記載することが基本ですが、列車名を指定せず、単に自由席に限り有効である旨のみの記載でも良いということが謳われています。
そして、新幹線用については上記の備考(1)のみを記載する旨が謳われています。

菅沼天虎様1月10日エントリー『「特定特急券」と「特定の特急料金」の混同』においてアップされている券は、規則に即したものではないものと思われます。
また、11日エントリー『「特定特急券」と「特定の特急料金」の混同~2』においてアップされている券についても、1枚目の「自由席車に…」の文言のある券は正当ですが、それ以降のものは、やはり規則に即したものではないと思われます。
12日エントリー『「特定特急券」と「特定の特急料金」の混同~補遺』においてアップされている券についても、1枚目は「特定の特急料金区間」に対しての発行ですので正当ですが、2枚目は「特定特急区間」ですから、やはり規則に即したものではありません。
さらに、13日エントリー『「新幹線特定特急券」と「新幹線自由席特急券」の混同』においてアップされているものも、新幹線用の特定特急券として、明らかに規則から逸脱しております。
つぎの14日エントリー「準常備式の新幹線自由席特急券による新幹線特定特急券」においてアップされている券については、自由席特急券として発売される分には問題ありませんが、特定特急券として発売するには、広島印刷場の券のように料金部分に特定特急券であることを表示しても、「自由席車に…」の文言がなければ規則通りではありません。
15日および16日エントリー「B特定特急券」および「B特定特急券~車掌発売用軟券」については、「新特急」という制度が、今回ご紹介した営業規則が発行された後にできているため記載がありませんが、内容的には間違いはないと思います。ただ、「新特急」の特定特急券が従来の特定特急券と違う点は、区間を定めないで距離での表記ができることであることであり、これは菅沼天虎様が書かれておりますように、「特定の特急料金の特定特急券」という、従来の特定特急券とはちょっと性格が違うと言う点から由来します。

では、この規則はJR化後にはどのようになったのでしょうか?

images(JR化後)→再度クリックすると大きく表示されます。

基本的には変わらないようですが、国鉄時代は備考(2)において基本的には列車名を指定するようになっておりましたが、JRになってからは「自由席車にお乗りください。」が基本の形とされ、列車名を指定した方がむしろ例外的であるように謳われております。
これは、ほとんどの急行列車が特急列車にとって代わり、複数の特急列車が同じ線区を走っているため、列車名を指定する必要がなくなってきたためではないかと思われます。

話は変わりますが、L特急のとき号は上越新幹線のとき号となり、国鉄時代に例示されていた「とき号」がJRになってからは「雷鳥号」に変更されているのは興味深いところです。

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