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マーケティング研究 他社事例 779 「自主性を重んじるという事は心に火を付ける事とセットである」 ~未来工業のマネジメントを実践してみた~

2021-03-26 08:42:47 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 779 「自主性を重んじるという事は心に火を付ける事とセットである」 ~未来工業のマネジメントを実践してみた~


1896年創業の刃物メーカーである福田刃物工業は、ポケットナイフ作りが祖業で、現在はペットボトルの粉砕機や段ボールの加工機など、様々な機械に取り付ける工業用の刃物を手掛けています。

業績は好調に推移しており、2019年度の売上高は20億5200万円、経常利益は2億5800万円と、10年連続の増収増益を達成しました。

売上規模は10年前の3倍以上に拡大しています。

業績アップの秘訣は徹底した「放任主義」にあるとの事で、今回はこの福田刃物工業のレポートです。

代表取締役は福田克則氏で、彼の前職はNECで当時NECの屋台骨だった半導体部門の需要の見極め、設備投資計画を立てる花形部署で働いていました。

その後、1997年に父や叔父が経営する家業の福田刃物工業に転職するのでした。

社員の皆さんはというと温かく迎え入れてくれたといいますが、たばこのポイ捨て、遅刻や、無断欠勤は当たり前でNECと比べると社内の規律が緩んでいるといってもおかしくない状況でした。

このままではまずいと意識改革に取り組みました。

まずは生産現場ではおなじみの5Sです。

その後、品質管理の国際規格ISO9000シリーズの認証取得に向けて、曖昧だった従業員の役割分担を明確にしました。

ほかにも成果主義を取り入れるなど、あの手この手で社員の意識を変えようとしたのでした。

しかし、それでも社員たちは変わる事はありませんでした。

業績も上がる事はなく、完全な手詰まり状態に陥りました。

転機は2003年でした。

友人に誘われた岐阜県の電設資材メーカーの未来工業の創業者、山田明男氏の講演を聞いた事でした。

山田氏は未来工業を一代で上場企業に育て上げた地元の名物経営者でした。

「おめーら跡取りは息子はバカだと気付け、自分に能力が無いのに、跡取りだから大きな権限が与えられているだけなのに、何を勘違いしている。」

「能力が無いのだから、社員にやってもらえ」

山田氏は会社は社員のものを体現している社長です。

未来工業では、「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)の禁止」というのがあります。

社員一人一人が自律的に考え、行動するよう促すためのルールの一つです。

ここで使用した感じは、自立ではなく自律です。

自分を律する事が出来る人が考えるという事です。

さらに自主性を尊重すればおのずと社員のプライドとやる気が湧き上がって来るとして、上からの一方的な命令は厳禁という、かなり緩い風土の会社が未来工業です。

社員に任せて本当に大丈夫なのでしょうか?

しかし、福田氏はこの山田氏を師と仰ぎ、師事したのでした。

福田氏は山田氏の教えに倣い、売上目標や営業ノルマを廃止するなど、現場への押し付けをやめました。

代わりに社員のやる気を引き出す言葉をかけることを心がけました。

皆さんは営業員から受注を獲得できなかったという報告があがってきた時には、どんな言葉をかけますか?

福田氏は、山田氏の「福田君がかける言葉は社員の感動につながるか?」の問いかけを心に刻み行動に移しているので、「よく頑張ってくれた」と激励すると言います。

それでもしばらくは業績が大きく上向く事はありませんでした。

社員の皆さんが底力を発揮したのは、リーマンショックの影響で業績が落ち込んだ2009年度からの回復過程でした。

山田氏と出会い、放任主義を実践し始めてから7年後の事です。

それまで地元を離れる事がめったになかった営業員が誰に命じられることもなく全国各地を回り、新規顧客を開拓するようになり、製造現場では工員が自主的に改善活動に取り組んだり、多能工化を進めたりし始めたのです。

2013年に社長に就任してからも現場を基本的には放置しています。

社員からアプローチがない限り、相談に乗る事もありません。

福田氏は、「社長としての存在感をもっと消していくのが私の務めだ」と言います。


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お問合せ https://www.fuudokaikaku.com/ホーム/お問い合わせ/

成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣 
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