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マーケティング研究 他社事例 338 「人口が増え続ける町4」 ~一見何の変哲もない町の秘策とは~

2019-04-10 10:09:04 | ビジネス
マーケティング研究 他社事例 338 「人口が増え続ける町4」 ~一見何の変哲もない町の秘策とは~


株主優待で名産品を送ってもらって地域の魅力を伝え株主総会で現地に来てもらい、移住につなげていく、このアイデアを、町役場の矢ノ目氏はどうやって思いついたのでしょうか?

実は、松岡町長は職員を次々と国内外に「出向」させて、見聞を広めさせているんです。

矢ノ目氏も2005年に東京のマーケティング会社に長期出張扱いで働くことになったのです。

この時に、民間企業の株主優待制度を知って、「東川町を応援してくれる人を株主にしてしまえばいいのではないか」と考えたのです。

しかし、どうやって投資してもらうのか?

悩んでいた時に、ちょうど総務省がふるさと納税制度を表明したのです。

矢ノ目氏は「これだ」と思い、松岡町長にアイデアを披露したのです。

そして2008年、ひがしかわ株主制度が始まったのでした。

地域の魅力を発信し、ファンの輪を広げていく事。

それが、地域の衰退を防ぎ、逆に人口流入につながります。

この流れを作った松岡町長ですが、そもそも政治の世界とは無縁でした。

2003年、町役場に勤めていると、町長選が近づいて来ました。

その頃、全国の自治体に合併の波が押し寄せていました。

「平成の大合併」と呼ばれるこのうねりの中で、1999年に3229あった全国の市町村数はその後10年で半減するのです。

そんな最中の選挙だったのです。

4選を目指す当時の町長は合併容認派で「人口1万人に満たない自治体は、単独ではやっていけない」と主張し、近隣自治体との合併を模索していたのでした。

そのまま現職が無投票で当選し、合併に進むかと思われたのですが、しかし、町の中には、地域の伝統や魅力が薄れていくという不安が渦巻いていたのです。

そして、町役場の中心的な存在だった松岡町長を新人候補として擁立する動きが出て来る事になり、家族が反対する中、公示日の直前まだ悩み続け、最後に腹をくくったのでした。

「町村合併をするだけで、地方衰退が本質的に解決するはずがない」

そして、自治体合併の賛否を争点にした選挙に突入し、大差で当選したのです。

圧倒的な「民意」が示された瞬間だったのです。

松岡町長は就任にあたって、決意を固めました。

「人口を回復させ、二度と合併の波にのまれないようにする」と。

(続く)


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