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卓越性の探究者、波田野が皆さんに販売戦略・営業手法についてや、コミュニケーションについて思う事をお届けします。

マーケティング研究 他社事例 337 「人口が増え続ける町3」 ~一見何の変哲もない町の秘策とは~

2019-04-09 08:32:08 | ビジネス
マーケティング研究 他社事例 337 「人口が増え続ける町3」 ~一見何の変哲もない町の秘策とは~


東川町では地域の自然と伝統を受け継ぎ、その長所を壊さないように、慎重に建物を整備していき、しかも、つながりが生まれる仕掛けを埋め込んでいます。

だから、東川町を訪れた人は、その魅力に取りつかれていくのです。

しかし、すべては現地に来てもらえないと始まりません。

そこで、人を引き寄せる制度も作られています。

それが、2008年に始まった「ひがしかわ株主制度」です。

「東川を応援してくれる人を株主としては優待してはどうか?」

町役場の矢ノ目氏が編み出したアイデアでした。

東川町の株主制度は、「ふるさと納税」の仕組みを活用しています。

まず、東川町が資金を必要とする事業をあげて、そこに「投資」してくれる人を募集するのです。

前年度は施設建設など8事業ありました。

実際には、自治体への寄付に該当するため、「ふるさと納税」として住民税などの控除を受ける事が出来ます。

一口1000円から投資(寄付)を集め、東川町は返礼品として、特産の米や家具を贈ります。

ふるさと納税の寄付者を「株主」、返礼品を「株主優待」に見立てた仕組みです。

2017年度に投資した株主は1万人を超え、2億円強が集まりました。

ひがしかわ株主制度は、さらに「株主」を現地に吸引する制度まで作っています。

それが、年に1回開催される「株主総会」です。

町と株主との交流を深めるイベントとして実施され、毎年100人ほどが自費で参加します。

その6割が道外からやってくるのです。

2018年10月13日、東川町の中心にある市民センター「せんとぴゅあ」にバスが止まります。

そして、家族連れや高齢者が降りて来ました。

受付で「株主の名札」を受け取り、株主総会に臨むのです。

そして、自分が投資(寄付)した事業の活動がどうなっているのかの説明を受けます。

質疑応答の時間もありますが、荒れることも無く、穏やかに時間が過ぎていきます。

終わると、ジンギスカン・パーティーとなります。

見知らぬ株主がテーブルを囲み、町役場の職員が肉を焼いて振る舞い、その後、株主達はバスに乗り込んで、渓谷へと向かいました。

紅葉で覆われた自然の中を歩く事で、より町のことを深く知り、互いの親睦も深まっていくのです。

首都圏にある大手自動車メーカーに勤務する男性はこう話します。

「3年ほど前から参加しています。総会には1人で来ていますが、夏休みには家族でやってきて、東川町に1週間ほど滞在しています。」

「北欧駐在の経験もあり、その景観にも似た東川町の雰囲気が気にいっています。そろそろ移住を考えているんです。」

(続く)


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