神様がくれた休日 (ホッとしたい時間)


神様がくれた素晴らしい人生(yottin blog)

「甲越軍記」を現代仕様で書いてみた(196) 甲越 川中島血戦 23

2024年09月10日 09時35分06秒 | 甲越軍記
 小幡孫治郎、齢は十六歳 馬を走らせ丸山から弓長十丈(約23m)ばかりで馬を降り、槍をとって大音声にて「小幡織部正虎盛が一子、小幡孫治郎なり、丸山殿の勇猛はかねてより耳に聞こえるところである、潔く勝負を決し、敵味方の人に見物させん」
と、遮二無二突いてかかった
丸山はせせら笑って「くちばしの黄色い小僧がさかしき振る舞いなり」と言いながら、槍をしごいて孫治郎の槍先を軽く反らした
勇猛の丸山、壮士の小幡、徒歩立ちの勝負であれば飛び上がり、潜り込んで上段下段と突き合わす。

小幡の家来、遠藤弥市に歩卒五人は、孫治郎に力合わせんと懸かれば、丸山の家来、保原源左衛門に歩卒五人は道を遮り、遠藤に渡り合う
丸山、小幡は丘の上にて芝を踏み、火花散らして戦えど、丸山の猛勢はややもすれば孫治郎を圧倒して、はやる孫治郎を圧倒する。

孫治郎は突き立てられて、腕のはずれ、肘の曲がり二か所、太股に一か所の三か所に痛手を被る
心ならず弓手の芝に突き上げられて危うき様なれば、小幡に続き、横田十郎兵衛尉が「小幡を救え」とニ、三十騎を引き連れて一文字に押しかかる
丸山は、これを尻目に見て小幡から離れて「馬引け」と命じて飛び乗ると、小幡は痛手にも屈せず走りかかり、太刀を抜くより早く丸山の右の膝を力任せに切りつければ、思いのほかの深手を受けて丸山はたまらず落馬した
「得たり」と駆け寄る孫治郎を、流石は丸山、払い切りに孫治郎の太股を切る
それでも孫治郎はひるまず、乗りかかって丸山の首を切り落とした。

丸山の家来は主を討たれては叶わぬと逃げるところ、孫治郎は深手ながらも追いかけて「汝らも主を追ってお供せよ」と三人まで討ち取る
まことに比類なき働きであった。

丸山の甥、丸山肥後守は筑前守の弔い合戦をせんと武田勢に向かったが、逃げてくる味方の為に馬を進めえず、心ならずも敗兵に押されて引き上げる。

今日、武田勢が得た松本勢の首級、百七十五級を諏訪に送る、小幡孫治郎は四か所の深手を負い、甲州に治癒の為さがるところ、諏訪に立ち寄り大将晴信に面会した
晴信は戦の様子を孫治郎に尋ね、手傷の深きを見て「さすがは織部正の子なりけり」と感状に一文字の薙刀を賜れば、孫治郎は大いに面目を施して甲州に立ち帰る
また伊奈筋へ向かった、浅利、馬場、山本勘助、安間からも首数級が届けられて勝利の報告を受けた。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿