滋賀弁護士会(生駒英司会長)は1月30日、開会中の通常国会において自民・公明・民主の3党が提出を目ざしている憲法改正の手続きを定めた国民投票案に対して、「重大な欠陥がある。国民的議論を尽くす環境の整備を図るどころか、逆に議論を制限することになる条項が数多く含まれている」として反対の会長声明を発表し、小泉首相、衆参両議長、各政党などへ送付しました。
この声明では、国民投票案には以下のような問題点があると指摘されています。
1)国民投票が発議の日から30~90日以内に行われることになっているが、このような短期間では十分な国民的議論はできない。
2)複数の条項について改正案が発議された場合、個別の条項ごとに投票するのか一括して投票するのかが明確に規定されていない。個別の条項それぞれに個人の意思が反映される投票方式が保障されるべきである。
3)有効投票数の過半数で改正可能とされており、このため投票率がきわめて低い場合でも改正が可能になってしまう。現憲法において憲法改正の可否を国民の直接投票によって決定するとされているが、この規定の根本には、国民の多数の支持がなければ憲法の改正を認めないという理念があるものと考えられ、国民投票案はこの理念に反している。
4)公務員や教育者、外国人の国民投票に関する運動、予想投票の禁止など、過剰な規制が定められている。憲法改正国民投票は、国会議員選出の基準とは異なり、個人的利害が絡む場面は少ないため公職選挙法の規制をそのまま憲法改正国民投票に適用することは妥当ではない。
5)表現の自由に対する規制や報道に対する過剰な規制が定められている。「虚偽の事実または事実をゆがめる記載」を禁止するとされているが、何が虚偽であり何が事実をゆがめる行為かという判断はデリケートで判断が困難であり、このようなあいまいな構成要件で刑事罰をもって規制するは表現活動の萎縮を招きかねない。憲法改正という重要事項については、最大限の表現と報道の自由が確保されるべきである。
6)国民投票無効訴訟制度についての検討が不十分である。
このため同弁護士会は、日弁連が昨年11月11日の人権大会において「憲法第9条は平和への指針として世界に誇り得る先駆的意義を有するものであり、国民主権・基本的人権の尊重・恒久平和など憲法の基本原理が尊重されることを求める」と宣言されたことを受けて、「平和主義など現憲法の基本原理を支持し擁護する立場から法案の提出に強く反対する」としています。なお、日弁連によれば、これまでに全国7都県の弁護士会が同法案への反対声明を出しているとされています。
(1月31日、毎日、京都、朝日など)
この声明では、国民投票案には以下のような問題点があると指摘されています。
1)国民投票が発議の日から30~90日以内に行われることになっているが、このような短期間では十分な国民的議論はできない。
2)複数の条項について改正案が発議された場合、個別の条項ごとに投票するのか一括して投票するのかが明確に規定されていない。個別の条項それぞれに個人の意思が反映される投票方式が保障されるべきである。
3)有効投票数の過半数で改正可能とされており、このため投票率がきわめて低い場合でも改正が可能になってしまう。現憲法において憲法改正の可否を国民の直接投票によって決定するとされているが、この規定の根本には、国民の多数の支持がなければ憲法の改正を認めないという理念があるものと考えられ、国民投票案はこの理念に反している。
4)公務員や教育者、外国人の国民投票に関する運動、予想投票の禁止など、過剰な規制が定められている。憲法改正国民投票は、国会議員選出の基準とは異なり、個人的利害が絡む場面は少ないため公職選挙法の規制をそのまま憲法改正国民投票に適用することは妥当ではない。
5)表現の自由に対する規制や報道に対する過剰な規制が定められている。「虚偽の事実または事実をゆがめる記載」を禁止するとされているが、何が虚偽であり何が事実をゆがめる行為かという判断はデリケートで判断が困難であり、このようなあいまいな構成要件で刑事罰をもって規制するは表現活動の萎縮を招きかねない。憲法改正という重要事項については、最大限の表現と報道の自由が確保されるべきである。
6)国民投票無効訴訟制度についての検討が不十分である。
このため同弁護士会は、日弁連が昨年11月11日の人権大会において「憲法第9条は平和への指針として世界に誇り得る先駆的意義を有するものであり、国民主権・基本的人権の尊重・恒久平和など憲法の基本原理が尊重されることを求める」と宣言されたことを受けて、「平和主義など現憲法の基本原理を支持し擁護する立場から法案の提出に強く反対する」としています。なお、日弁連によれば、これまでに全国7都県の弁護士会が同法案への反対声明を出しているとされています。
(1月31日、毎日、京都、朝日など)