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FIFA女子ワールドカップ2023まとめ スペイン優勝 なでしこジャパンベスト16 宮澤ひなた得点王

2023年08月22日 14時56分18秒 | ワールドカップ

FIFA女子ワールドカップ2023 スペイン優勝 なでしこジャパンベスト16 宮澤ひなた最多得点

出典 FIFA Women's World Cup 2023




決勝戦 スペイン×イングランド スペイン 1-0 イングランド スペイン優勝
スペインがFIFA女子ワールドカップ初優勝。カルモナの決勝弾でイングランドとの頂上決戦制す 
前半にオルガ・カルモナが準決勝に続いてのゴール。後半にはPK失敗もあったが1点を守り抜いたスペインが栄冠。 
• スペインがFIFA女子ワールドカップ初優勝の快挙を達成
• 前半にキャプテンのオルガ・カルモナが歴史に残る決勝ゴール
• イングランドは守護神メアリー・アープスがPKを止めるなど奮闘したが及ばず

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スペイン 1-0 イングランド | 決勝
得点:カルモナ(29分)
シドニーのスタジアム・オーストラリアで行われたFIFA女子ワールドカップ決勝は、イングランドに対して終始優勢に試合を進めたスペインが1-0で勝利を収め、初の世界王者に輝いた。
ラ・ロハ(スペイン代表の愛称)の歴史を生み出すヒロインとなったのはキャプテンのオルガ・カルモナ。この試合の唯一のゴールとなる見事なシュートを前半に突き刺し、U-17代表、U-20代表、A代表の3冠制覇という史上初の偉業をスペインにもたらした。
決勝戦は緊張感のある慎重な試合になりやすいものではあるが、今回は序盤から両チームともエネルギーにあふれ、積極的に攻め合う。チャンスの数ではスペインが上回っていたが、最初に決定的な形でゴールに迫ったのはイングランド。前半15分、ローレン・ヘンプのシュートが惜しくもクロスバーを叩いた。
それでも両サイドを中心に危険な攻撃を繰り出すスペインはその2分後、左サイドを抜けたサルマ・パラジュエロが絶妙なクロスを送り込む。テレサ・アベジェイラがファーポストから押し込むかと思われたダイレクトシュートは精度を欠き、GKメアリー・アープスが手を伸ばして弾き出した。
スペインはさらに勢いを増していく。そして前半29分、美しい流れから均衡を破ることに成功した。
ピッチ中央付近でルーシー・ブロンズからボールを奪ったスペインは速攻を開始。ブロンズの空けたスペースを利用し、絶妙なサイドチェンジからマリオナ・カルデンテイがカルモナをエリア左へ走らせる。準決勝でも殊勲の決勝点を挙げていたキャプテンは、正確かつ強烈な低いシュートでアープスを破ってボールをネット右隅へ突き刺した。

VISAプレイヤー・オブ・ザ・マッチ
オルガ・カルモナ(スペイン)

出典 FIFA Women's World Cup 2023


宮澤ひなた 今大会で5ゴールをあげて得点王に輝く 得点王は澤穂希以来の快挙

“ビヨンド・グレイトネス”を謳った女子ワールドカップをスペインが制覇
 スローガンというものは往々にして空虚に響きがちだが、女子ワールドカップ2023のスローガン“ビヨンド・グレイトネス(偉大さを超えて)”は大会の基本理念であると同時に、実際に行われた大会を如実に象徴するフレーズだったと言える。 前回のフランス2019は実に素晴らしい大会だった。
だからこそ、オーストラリア&ニュージーランドに参加する32チームとFIFAには、すでに相当高いところに設定されていたその基準をさらに新たな次元にまで引き上げるという難題が課されていた。 目標とは逆の結果になり、女子ワールドカップが衰退するのではないかと危惧する見方も少なくなかった。
参加枠が24から32へと拡大されたことでレベルが下がり、実力差のありすぎる試合が増えるのではないか。伝統的にサッカーが主流スポーツではない二国での共同開催と、時差の関係で主要マーケットにとって扱いにくい時間帯に試合が開催されるという悪条件では、観客が集まらず、視聴率も上がらない残念な大会になるのではないか。
こういった疑念はあっという間に払拭され、そして完全に粉砕された。今週ジャンニ・インファンティーノFIFA会長は、今大会を評して“真に革新的”だったと語ったが、その評価を裏付ける十分な証拠があったことは明らかだ。
「開催国のスタジアムはどこも満員となり、約200万の観客を集めた。世界中では20億人が観戦した。サッカーは素晴らしいスポーツだ。楽しめる、愛されるスポーツだ」と会長は胸を張った。 オーストラリアとニュージーランドは大会を見事に共催した。観客数と視聴率の記録は塗り変えられ、素晴らしい決勝戦で大会の幕は閉じた。オーストラリアのスポーツ大臣アニカ・ウェールズ氏は「眠れる巨人が目を覚ましました。オーストラリアは今やサッカーの国なのです」と結んだ。

 初出場を8チームも含んだ参加枠拡大も、レベルを下げるどころか豊かさと多様性を大会にもたらし、先入観を覆すような衝撃を与える結果が生れた。予測不能な展開は、ともに初の決勝進出を果たした2チームの激突でクライマックスに達し、イングランドを倒したスペインの初優勝で幕を閉じた。「大会前からスペインがポゼッションに関しては最高のチームであることを知っていましたが、今日は予想以上でした。彼女たちが勝ったのは当然の結果です」とイングランド監督のサリナ・ヴィーフマンも認めた。
ヴィーフマンは、オーストラリア&ニュージーランド2023の全体的なレベルの高さに驚いたと言い、参加枠を32に拡大したことは「非常に良い決断だった」と述べている。「拡大するための機は熟していた」と、スウェーデンのペーター・イエルハルドソン監督も同意している。「2019年では時期尚早だったが、今や女子サッカーは変動の真っ只中にある。次の大会ではさらに良いチームが出てくるだろう。実力が拮抗して、出場権を獲得することも難しくなるに違いない」
彼の言うことは疑いようもなく正しい。2027年大会を待ち望む気持ちがはやるのは確かだが、今は待つしかない。だからその代わりに、“ビヨンド・グレイトネス”を見事に体現した今大会を今一度振り返ってみようではないか。

新興勢力の台頭
これまでに女子ワールドカップを制覇したのは4チームだけだったが、今大会ではその4チームが準々決勝より先へ進むことができなかった。それらの古豪に代わって台頭したのがオーストラリア、イングランド、そしてスペイン。いずれも過去の最高成績を上回る躍進を見せた。コロンビアも目を見張る活躍をみせ、南米チームとして最高の成績を残した。アフリカ諸国も勢力を伸ばし、ナイジェリア、モロッコ、南アフリカの3チームがノックアウトステージに進出する快挙を見せた。
輝く新星たち
今大会で女子ワールドカップに別れを告げたマルタやミーガン・ラピノーに代わって、新たなスターの誕生を予感させる新星が次々と出現した。リンダ・カイセドとローレン・ジェームズはグループステージを席巻。カイラ・クーニー=クロス、サルマ・パラジュエロ、エリン・ルーベンソンらはノックアウトステージが進行するにつれて輝きを増し、その存在感を見せつけた。

巨人たちの転落
ドイツがグループHの開幕戦でモロッコを6-0で粉砕した時、優勝候補の一角であり2度のタイトル獲得経験を誇るドイツではなく“アトラスの雌獅子たち(モロッコ女子代表の愛称)”がグループステージを突破することになるとは、誰が予想しただろうか。ジャマイカがブラジルを抑えてノックアウトステージを決めた翌日、ドイツもまさかの転落を味わうことになった。さらにその数日後には、女子サッカーの巨人アメリカも転落。ラウンド16敗退という史上最悪の成績で、初めてメダルを獲得できずに大会を去った。
手に汗握る撃ち合い
アメリカが敗れた瞬間の光景は長く記憶に残ることだろう。あと一本で勝利が決まるPK をソフィア・スミスとラピノーが次々と外し、最後はリナ・フルティグのギリギリのPKが認められて決着。3連覇の偉業がかかる女王の運命は、最終的にゴールラインの映像確認で打ち砕かれる結末となった。準々決勝でも息が詰まるようなPK戦が繰り広げられた。オーストラリアのゴールキーパー、マッケンジー・アーノルドは自身のPKを失敗しながらも相手の4本 を止め、フランスとの稀に見る死闘に決着を着けた。

大会成績
優勝 : スペイン 準優勝 : イングランド 3位 : スウェーデン

■各賞受賞者
・adidasゴールデンボール : アイタナ・ボンマティ(スペイン)
・adidasゴールデンブーツ : 宮澤ひなた(日本)
・adidasゴールデングローブ : メアリー・アープス(イングランド)
・FIFAヤングプレーヤー賞 : サルマ・パラジュエロ(スペイン)

数字で振り返る女子ワールドカップ
▽約200万人の観客がスタジアムに詰めかけ、観客動員数記録を塗り変えた。最終的な集計数は197万8274人。
▽昨年FIFA U-17 および U-20女子ワールドカップを制しているスペインは、3大会のタイトルを同時に保持する史上初のチームとなった。サルマ・パラジュエロは3大会制覇を経験した史上初の選手。
▽スペインはアメリカ、ノルウェー、ドイツ、日本に続いて5番目の女子ワールドカップ優勝国となった。
▽FIFA.com、FIFA+、FAST チャンネルを総合したFIFAのデジタル・プラットフォームは大会中に総計5千万のアクセスを記録した。これは前回のフランス2019より130%のアップ。
▽770,000 - 今大会開催中に75万人を超えるファンがFIFAのファン・フェスティバルに参加した。


準決勝 オーストラリア×イングランド 1-3 イングランド、オーストラリアを退け決勝進出 初の決勝進出を果たしたイングランドは日曜日にスペインと頂上決戦
出典 FIFA Women's World Cup
エースのスーパーゴールで一旦は追いついたオーストラリアだが、2点を追加して突き放したイングランドが決勝のチケットを手に入れた。
エラ・トゥーンが前半に先制弾、オーストラリアはサム・カーのスーパーゴールで同点
ローレン・ヘンプとアレッシア・ルッソのゴールでイングランドが突き放す
得点:トゥーン(36分)、カー(63分)、ヘンプ(71分)、ルッソ(86分)

シドニーで行われた地元オーストラリアとのスリリングな一戦を制し、イングランドが初のFIFA女子ワールドカップ決勝進出を果たした。
前半にはエラ・トゥーンのゴールでイングランドが1点をリードして折り返す。後半にはサム・カーの衝撃的なスーパーゴールで開催国が追いついたが、ローレン・ヘンプとアレッシア・ルッソのゴールで突き放したイングランドがスペインの待つ決勝へと進んだ。

開催国オーストラリア、ホームの大声援を受けたが決勝進出ならず

イングランド初ゴールをあげたElla Toone⑩ 2点目のゴールはLauren HeNP⑪ 3点目はAlessia Russo㉓


準決勝 スペイン×スエーデン 2-1 スペインが初の女子W杯決勝進出。劇的展開でスウェーデンとの準決勝制す
80分を過ぎてから目まぐるしく動いた試合はキャプテンの殊勲弾でスペインに軍配。決勝でオーストラリアまたはイングランドと対戦へ。
スペインが初のFIFA女子ワールドカップ決勝進出

終盤にサルマ・パラジュエロが先制、レベッカ・ブロムクヴィストが同点弾
最後は主将オルガ・カルモナが決定的なシュートを突き刺す
得点:パラジュエロ(81分)、ブロムクヴィスト(88分)、カルモナ(89分)
終盤に大きく動いたスウェーデンとの準決勝を2-1で制し、スペインが同国史上初となるFIFA女子ワールドカップ決勝進出を果たした。
試合は後半残り10分を切ったところから立て続けに両チームがゴールを奪い合う展開。サルマ・パラジュエロの先制点に対し、スウェーデンも交代出場のレベッカ・ブロムクヴィストが決めて同点としたが、直後の89分にオルガ・カルモナが決定的なゴールを挙げた。

出典 FIFA Women's World Cup 2023

三位決定戦 スエーデン×オーストラリア  2-0 スエーデン3位に輝く

スウェーデンが銅メダル獲得。3位決定戦でオーストラリアに快勝

前半にフリドリーナ・ロルフォ、後半にコソヴァレ・アスラニが決めてスウェーデンが4度目の女子W杯3位。
• スウェーデンが4度目の銅メダル獲得、5度目の表彰台
• フリドリーナ・ロルフォのPKとコソヴァレ・アスラニの強烈弾で2得点
• 地元オーストラリアは過去最高成績ながらも最後を飾れず

出典 FIFA Women's World Cup 2023
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スウェーデン 2-0 オーストラリア | 3位決定戦
得点:ロルフォ(PK、30分)、アスラニ(62分)
 フリドリーナ・ロルフォの1得点1アシストなどでスウェーデンがオーストラリアを下し、3位を確保して今大会を締めくくった。
勝利を決定づけたのはコソヴァレ・アスラニが後半に決めた見事な一撃。これでスウェーデンはFIFA女子ワールドカップの3位決定戦での全勝記録を継続するとともに、アメリカ(8回)に次いで多い通算5度目の表彰台フィニッシュを成し遂げた。史上最高成績を収めた大会の最後を飾りたかったマチルダス(オーストラリア女子代表の愛称)としては、残念な結果に終わった。
 足の重いオーストラリアに対してスウェーデンは序盤から優位に立ち、スティナ・ブラックステニウスが決定機を迎えたが、右足でのシュートはマッケンジー・アーノルドのファインセーブに阻まれる。
 動きの良さで終始オーストラリアを上回ったスウェーデンは何度もゴールチャンスを生み出し、前半のうちにリードを奪ったのも納得の展開だった。30分を過ぎたところでクレア・ハントがブラックステニウスを引っ掛け、VARレビューを経てスウェーデンがPKを獲得。ロルフォが左足で教科書通りのシュートを低く強く右隅へと打ち込んだ。
マチルダスにもチャンスはあったが、GKゼチラ・ムショビッチが立ちはだかる。ヘイリー・ラソやサム・カーが放った強烈なシュートにもゴールを許さなかった。
後半も攻勢に立ったスウェーデンは、62分に追加点。ロルフォのお膳立てを受け、アスラニがペナルティーエリア手前からダイレクトで放ったシュートは、アーノルドも届かないゴール右隅の絶妙なコースへと突き刺さる。スウェーデンは4度目となるワールドカップ銅メダル獲得を決定づけた。


出典 FIFA Women's World Cup
イングランドが逆転でコロンビアを下し3大会連続4強、豪州と対戦へ
2023年8月12日 FIFA
コロンビアのスーパーゴールに対して2点を奪い返したイングランド、準決勝で開催国と激突する。

• コロンビアがスーパーゴールで先制も前半のうちにイングランド同点
• 後半にはアレッシア・ルッソが決勝点となる逆転ゴール
• 3大会連続4強進出のイングランドはオーストラリアと対戦

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イングランド 2-1 コロンビア | 準々決勝
得点:サントス(44分)、ヘンプ(45+7分)、ルッソ(63分)
イングランドがシドニーで行われたコロンビア戦を逆転で制し、開催国オーストラリアの待つFIFA女子ワールドカップ準決勝へと駒を進めた。
コロンビアはレイシー・サントスのスーパーゴールで先制。だがイングランドもローレン・ヘンプとアレッシア・ルッソの得点で試合をひっくり返し、3大会連続となる4強進出を果たした。
サリナ・ヴィーフマン監督のチームは前半から優勢。まずはルッソが強烈なシュートで先制ゴールを狙ったが、ボールはカロリーナ・アリアスの頭を直撃。アリアスはこのプレーで交代を余儀なくされた。
予想外の交代にもコロンビアはリズムを崩すことはなく、前半45分を終えようとするところで見事な先制ゴールを奪うことに成功する。サントスが右サイドから放ったクロス性のシュートはGKメアリー・アープスの意表を突き、頭上を越えたボールがファーポストに収まった。アトレティコ・マドリード所属のサントスはキックの前に一旦顔を上げており、アープスの位置を確認していたのかもしれない。狙ったのだとすれば今大会のベストゴール候補のひとつに挙げられるだろう。
だがコロンビアが1点をリードして前半を終えるかと思われたところで、イングランドはアディショナルタイムに試合を振り出しに戻す。コロンビアのGKカタリナ・ペレスがゴール前でのこぼれ球を捕り逃す致命的なミスを犯してしまい、混戦から転がり出たボールを抜け目なく狙っていたヘンプがネットへ突き刺した。
イングランドは後半にもチャンスを逃さない決定力を発揮。63分、ジョージア・スタンウェイの縦パスを受けたルッソがエリア右へ抜け出し、GKの左を抜く低いシュートをファーポスト側のネットへ送り込む。コロンビアは18歳の新星リンダ・カイセドらが同点ゴールを狙って積極的に仕掛けたが及ばず、今大会の快進撃にここで幕を下ろすことになった。

キースタッツ
23歳5日のヘンプは女子ワールドカップのノックアウトステージでゴールを決めたイングランドの歴代最年少選手となった。過去の記録は2015年大会ラウンド16のノルウェー戦で決めたルーシー・ブロンズ(23歳237日)。
VISAプレイヤー・オブ・ザ・マッチ
アレッシア・ルッソ(イングランド)


出典 FIFA Women's World Cup 2023
開催国オーストラリアが歓喜の4強進出 PK戦で強豪フランスを撃破
2023年8月12日 FIFA
ブリスベンでの死闘を制したオーストラリアが女子ワールドカップで初の準決勝へ。
• オーストラリアとフランスは120分を通してゴールが生まれず
• 10人目までもつれ込んだ激戦のPK戦を制したのは開催国代表
• オーストラリアは初の準決勝でイングランドまたはコロンビアと対戦

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オーストラリア 0-0 フランス(PK戦7-6) | 準々決勝
ブリスベンで行われたフランスとの準々決勝を息の詰まるようなPK戦の末に制し、開催国オーストラリアが2023 FIFA女子ワールドカップの準決勝進出を果たした。
マチルダス(オーストラリア女子代表の愛称)は準決勝でイングランドまたはコロンビアと対戦。オーストラリアにとっては男女を通してワールドカップで未知の領域に踏み込むことになる。
序盤はフランスが優位に立ち、前半13分には絶好の先制チャンス。だがモンペリエのDFマエル・ラクラは混戦から流れてきたボールに対応しきれず、すぐ目の前にがら空きのゴールネットがある状況でクロスバーの上へ打ち上げてしまった。
逆にフランスも決定的なピンチを逃れる。GKポーラン・ペイロー=マニャンが釣り出された状況で、メアリー・ファウラーが無人のゴールに向かってシュート。だが左から飛び込んできたエリザ・ドゥ・アルメイダがゴールライン手前での奇跡的なクリアでボールを弾き出してチームを救った。
若手スターのファウラーは好調なプレーを持続していたが、ペイロー=マニャンの好守にも阻まれてオーストラリアにゴールをもたらすことはできず。後半に入って10分が過ぎたところで、マチルダスは負傷明けのエースに願いを託す。サム・カーはすぐにチャンスに絡み、お膳立てを受けたヘイリー・ラソが左足で曲げたシュートを放ったが、フランスの守護神がこれもゴールを割らせなかった。
試合は延長戦に突入。フランスはコーナーキックからアランナ・ケネディのオウンゴールで先制したかに思えたが、すぐに笛が吹かれてセレブレーションは中断。マリア・カルバハル主審はボールが空中にあった時点でワンディ・ルナールが相手を引っ張っていたと判定した。
オーストラリアの守護神マッケンジー・アーノルドもヴィッキ・ベショの決定機をファインセーブ。緊迫感あふれる試合は120分間を無得点で終え、勝負はPK戦に委ねられる。
フランスのエルヴェ・ルナール監督は、公式戦初出場となる控えGKソレーヌ・デュランをPK戦の直前に投入。デュランはステフ・キャトリーとクレア・ハントのシュートをストップして起用に応えた。だがアーノルドも譲ることなく好セーブで対抗。10人目まで突入したところでベショのシュートが左ポストを叩き、最後はコートニー・ヴァインのキックが開催国を歓喜の渦に巻き込んだ。

キースタッツ
• オーストラリアはFIFA女子ワールドカップ31試合目で初のスコアレスドロー。
• フランスはFIFA女子ワールドカップで準々決勝を4回戦い、そのうち3回がPK戦で決着。
• 女子ワールドカップ開催国が準決勝まで勝ち進んだのは2003年大会のアメリカ以来5大会ぶり。アメリカは1999年大会でも4強進出(最終的に優勝)を果たしているが、米国以外の開催国が準決勝へ進んだのは初となる。
VISAプレイヤー・オブ・ザ・マッチ
エリザ・ドゥ・アルメイダ(フランス)



出典 FIFA Women's World Cup 2023
準々決勝 スェーデン×日本  2-1 日本、スェーデンに敗れ、準決勝進出ならず 1点を返すも世界ランキング3位の格上のスェーデンに敗れる
スウェーデンがなでしこジャパンを下して準決勝へ 日本は終盤の追い上げ及ばず
前半を1点リードで折り返したスウェーデンは後半にPKで追加点。日本は終盤に勢いを増したが1点を返すにとどまった。
• スウェーデンが5度目の準決勝進出でスペインと対戦へ
• 前半にDFイレステットが今大会4点目、後半にはアンゲルダールがPKで追加点
• 日本は終盤に林穂之香が1点を返すも追い上げは及ばず

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日本 1-2 スウェーデン | 準々決勝
得点:イレステット(32分)、アンゲルダール(PK、51分)、林穂之香(87分)
スウェーデンがなでしこジャパンを下し、5度目となるFIFA女子ワールドカップ準決勝進出を果たした。 前半にはアマンダ・イレステットが今大会4点目となるゴールを決めてスウェーデンが先制。後半立ち上がりにはフィリッパ・アンゲダールのPKでリードを広げる。日本は植木理子のPKが惜しくもクロスバーを叩いたあと、終盤に林穂之香のゴールでようやく1点差に詰め寄ったが、反撃は最後まで届かなかった。
ラウンド16で王者アメリカを撃破し、自信を強めた様子を感じさせるスウェーデン。スティナ・ブラックステニウスが前半最初の決定機を迎えたが、鋭いシュートはわずかにゴール横へ外れた。
その流れのまま、先制点はスウェーデンに生まれる。ピッチ中央付近でのフリーキックから日本のゴール前へ放り込んだボールが混戦を生み、最後はゴール前にこぼれたボールに素早く反応したイレステットが蹴り込んだ。イレステットはディフェンダーながらも今大会4ゴール目を挙げ、adidasゴールデンボール賞争いでも2位タイに浮上。
スウェーデンは前半のうちにリードを広げるチャンスも迎えたが、コソヴァレ・アスラニの強烈なシュートは惜しくも右ポストを叩く。ポスト内側に跳ね返ったボールはゴールラインのわずかに手前を横切っていった。
後半に入ってもスウェーデンの優勢は続き、5分が過ぎたところでPKを獲得。コーナーキックからのボールがバウンドしたところで長野風花の腕に当たった。マンチェスター・シティのMFアンゲルダールがGK山下杏也加の逆を突き、スウェーデンのリードは2点となる。

後半半ばを過ぎてようやく調子を上げてきたなでしこジャパンも、交代出場の植木理子が倒されて得たPKで反撃開始のチャンス。だが植木が自ら放ったシュートはクロスバーの下部を叩き、わずかにゴールライン手前でバウンドして決まらなかった。
それでも日本は反撃を諦めない。藤野あおばの強烈なフリーキックはクロスバーとポストに当たり、これもあと一歩で決まらなかったが、直後の流れからゴール前のこぼれ球に飛び込んだ林がついに1点を返すことに成功した。
だがアディショナルタイムの10分間でもあと1点は奪えず、日本はここで大会を去る。準決勝進出を果たしたスウェーデンはスペインと激突することになった。



キースタッツ
• アンゲルダールの決めたPKは今大会の通算150ゴール目。
• 日本は林穂之香が今大会8人目の得点者となり、2015年大会の7人を上回る最多記録。1大会最多得点のチーム記録も15点に更新。
VISAプレイヤー・オブ・ザ・マッチ
アマンダ・イレステット(スウェーデン)


出典 FIFA Women's World Cup
悔し涙に終わったスウェーデン戦。なでしこジャパンが今後へと繋げていくべき「フィジカル」の課題
8月12日 2023年 
2011年以来の優勝を目指していたなでしこジャパンは、ベスト8でスウェーデンに1-2で敗れ、大会の敗退が決定した。あと一歩、届かなかった今回の試合を踏まえ、今後への糧となるものは何なのか。4年後への課題を考えていく。

ハッキリとした違いが生まれたフィジカル
試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、ピッチに立っていた選手、ベンチで試合の戦況を見守っていた選手たち、誰もが涙を流していた。
突きつけられた結果は1-2。快進撃が続き、優勝も見えてきた準々決勝の舞台で、なでしこジャパンの挑戦は幕を閉じた。
これまで国際大会の舞台で幾度となく壁となって立ちはだかったスウェーデンは、ニュージーランドの地でも日本に牙を向いた。前半からボールを握られ、積極的なプレッシングも巧みなパスワークで回避。サイド攻撃を徹底し、日本の嫌がるプレーを終始続けていた印象が残る。

特に今まで対戦したチームと違ったのは、球際にかなり厳しくきていたことだ。後方からボールを繋いでいく日本に対し、スウェーデンは縦にボールが入った瞬間に素早い寄せで対応。ボランチやシャドーに圧力をかけ、そこでフィジカル面の優位性を発揮することで、日本の攻撃をシャットアウトさせることに成功していた。
一方、日本は球際の勝負に上回れなかったことでボールロストが増える形に。競り合いの後のボールがほとんどスウェーデンにこぼれていたのは、運ではなく、しっかりと球際に強く行くフィジカルあってこそだった。ここまでの試合ではスムーズな攻撃を見せていた日本だが、スウェーデン戦は相手のペースに飲み込まれ、躍動感ある日本の仕掛けが影を潜めることになった。
この経験を今後に繋げていくしかない
また、大会を通して機能していた守備がハマらなかったことも改善点となる。特にクロス対応やセットプレーの守備は、スウェーデン戦だけではなく、これまでも危ないシーンがあった。絶対的な”高さ”の差はあるが、チームで意思統一しながら地上戦を制することができていただけに、空中戦をどのように抑えていくかは今後のポイントになるはずだ。


今大会、スウェーデンのCKにはどのチームも苦戦している。警戒した上で攻略してくる攻撃は相手を褒めるしかないが、そこを抑えられれば、勝率が上がるのも明らか。相手の対策レベルを引き上げていくこともチームとして重要になってくる。
近年、日本の選手が欧州で戦うことが増え、そんな選手たちが一様に口にしていた「フィジカルの差」。これは4年後への課題となるだろう。選手一人ひとりがフィジカルをつけていくのはもちろんだが、身体作りをしつつ、その差を埋めるための新たな手法を取り入れていくことだってできる。答えは一つではないのだ。
「また強くなって帰ってくるしかない」。試合後、主将の熊谷紗希はそう言葉にした。
再び頂を目指す舞台に戻ってくるためにーー。今回できていたことを継続させながら、プラスアルファを構築していくことで日本の未来へとつなげていく。



出典 FIFA Women's World Cup 2023
スペインがオランダとの延長戦を制して初の女子ワールドカップ準決勝進出
土壇場で追いつかれたが延長戦で19歳新星が値千金の決勝ゴール。準決勝では日本またはスウェーデンと対戦。
• 後半にPKでスペイン先制、オランダもアディショナルタイムに追いつく
• 延長後半に19歳サルマ・パラジュエロが殊勲の決勝ゴール
• 初の準決勝へ進んだスペインは日本またはスウェーデンと対戦



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スペイン 2-1 オランダ(延長) | 準々決勝
得点:カルデンテイ(PK、81分)、ファン・デル・フラフト(90+1分)、パラジュエロ(111分) 延長戦に入ってサルマ・パラジュエロの決めた一撃が決勝点となり、オランダを下したスペインがFIFA女子ワールドカップで初の準決勝進出を果たした。
優勢に試合を進めていたスペインは後半に得たPKをマリオナ・カルデンテイが決めて先制。だがPKを与えたステファニー・ファン・デル・フラフトが土壇場で同点ゴールを決め、試合を延長に持ち込んでいた。
予想された通りの緊迫した一戦とはなったが、最初の80分間はスペインが試合を支配し続けた。フィニッシュの場面でのミスや、GKダフネ・ファン・ドムセラールの奮闘がなければ、ハーフタイムの時点で準決勝進出を確定させていてもおかしくはなかったかもしれない。
象徴的な場面のひとつは前半17分。アルバ・レドンドのヘディング弾をファン・ドムセラールが見事にセーブし、ポストに当たった跳ね返りを再びレドンドが狙うが、5ヤードの距離から同じポストに当ててしまった。
その20分後にはエステル・ゴンサレスのシュートでスペインがゴールネットを揺らすも、VARレビューによりゴンサレスはオフサイドポジションにいたと確認され得点は取り消された。VARはこの試合でもう一度大きな役割を果たす。後半にはステファニー・フラッパール主審が一旦オランダにPKを与えたが、ピッチサイドのスクリーンを確認したあと判定を覆す結果となった。
ファン・デル・フラフトのハンドによりPKを獲得したのはスペインの方だった。これをカルデンテイが右足でポスト内側に決めて先制点。今大会での国際大会引退を決めているファン・デル・フラフトは明らかに落胆する様子を見せていた。だがアディショナルタイムに入ってオランダが同点ゴールを狙いにいくなか、センターバックのファン・デル・フラフトは前線へ駆け上がると、センターフォワードも顔負けの鮮やかなシュートを突き刺して自身のミスを帳消しとした。
別のチームのように息を吹き返したオランダは、延長戦に入ってリネス・ベーレンスタインなどが勝ち越しのチャンスを生み出す。だが決定打を繰り出したのはスペイン。左から仕掛けたパラジュエロがファーポストぎりぎりのコースへシュートを打ち込み、スペインの歴史的勝利を生み出した。
キースタッツ
• 19歳271日のパラジュエロはスペイン代表として女子ワールドカップでゴールを決めた史上最年少選手となった。過去の記録は2019年大会の南アフリカ戦で決めたルシア・ガルシア(20歳239日)。
• ファン・デル・フラフトの同点ゴールは今大会の通算147ゴール目となり、女子ワールドカップ1大会の最多得点数を更新。2015年カナダ大会と2019年フランス大会で記録された146ゴールを上回った。
VISAプレイヤー・オブ・ザ・マッチ
サルマ・パラジュエロ(スペイン)

Best8進出8チーム決定 ノックアウト ステージ予定

出典 FIFA Women's World Cup 2023
■ノックアウトステージ進出16チーム
スイス、ノルウェー、オーストラリア、ナイジェリア、スペイン、日本、イングランド、デンマーク、オランダ、アメリカ、スウェーデン、南アフリカ、フランス、ジャマイカ、コロンビア、モロッコ



出典 FIFA WWC2023
コロンビアが初の準々決勝進出。ジャマイカの堅守を破り8強へ
今大会のサプライズチーム同士の対戦は後半立ち上がりに1点を奪ったコロンビアに軍配が上がる。
• コロンビアが史上初の女子ワールドカップ準々決勝進出
• 堅守のジャマイカをカタリン・ウスメの一発で撃破
• 新たな歴史を作り続けるコロンビアはイングランドに挑む

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コロンビア 1 - 0 ジャマイカ | ラウンド・オブ・16
得点:ウスメ(51分)
コロンビアがFIFA女子ワールドカップで初の準々決勝進出を果たし、新たな歴史を作った。メルボルン・レクタンギュラー・スタジアムで行われたジャマイカとの対決に1-0で勝利を飾っている。
前半はどちらもなかなかペースを掴むことができず。グループステージ無失点のジャマイカは引いて守り、エースのカディジャ・ショーを走らせるチャンスをうかがっていた。一方のコロンビアは、特に中盤でフィジカルの優位性を活かして試合を支配し攻撃面での脅威を生み出そうとする。
後半に入ると試合が動き始めた。アナ・グスマンからの素晴らしいクロスを受けたキャプテンのカタリナ・ウスメがボールを収め、デネイシャ・ブラックウッドをかわすと、落ちついてシュートを叩き込む。今大会初めてジャマイカのゴールを破った選手となった。
試合は俄然加速していく。ジャマイカもすぐに同点のチャンスを迎えたが、ジョディ・ブラウンのヘディングは惜しくもポストを叩いた。そこからカウンターを繰り出したコロンビアもリンダ・カイセドが追加点に迫ったが、GKレベッカ・スペンサーのセーブに阻まれる。
ジャマイカはMFドルー・スペンスが終了間際に最後のチャンス。だがヘディング弾はわずかに左ポストの外へ逸れていった。
初の女子ワールドカップ準々決勝進出を果たしたコロンビアは、次にイングランドと激突する。
キースタッツ
• ジャマイカは今大会初失点。これで今大会無失点のチームはなくなった。
• カタリナ・ウスメはFIFA女子ワールドカップ通算3ゴール目を決め、コロンビアの歴代最多得点者に。また、コロンビアにとってはFIFA女子ワールドカップのノックアウトステージで初めてのゴール。
• コロンビアのディアナ・オスピナ(34歳158日)は南米選手としては女子ワールドカップのノックアウトステージに出場したなかで歴代2番目に年齢の高い選手となった。1位は2019年大会で41歳だったブラジルのフォルミガ。
VISAプレイヤー・オブ・ザ・マッチ
カタリナ・ウスメ(コロンビア)


出典 FIFA WWC2023
フランスがモロッコに快勝、オーストラリアの待つ準々決勝へ
• カディディアトゥ・ディアニが先制点に続いて2アシストの活躍
• ベテランのウジェニー・ル・ソメは2得点
• 準々決勝へ進んだフランスは地元オーストラリアと対戦

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フランス 4-0 モロッコ | ラウンド・オブ・16
得点:ディアニ(15分)、ダリ(20分)、ル・ソメ(24分、70分)
ハインドマーシュ・スタジアムで行われたモロッコ戦に快勝し、フランスがFIFA女子ワールドカップ準々決勝へと駒を進めた。
カディディアトゥ・ディアニは至近距離からのヘディングで均衡を破り、続いてケンザ・ダリとウジェニー・ル・ソメのゴールをお膳立て。前半のうちにセーフティリードを奪った。
女子ワールドカップ初出場でノックアウトステージ進出を果たしたモロッコだが、序盤から苦戦を強いられ、前半15分には早くも失点。サキナ・カルシャウィが左サイドに抜け出してピンポイントクロスを送り込み、ディアニがヘディングでネットに流し込んだ。
さらにわずか5分後、ディアニが右サイドから折り返したボールにダリがダイレクトで合わせてファーポストへ蹴り込む。ディアニは続いてモロッコのクリアを阻み、こぼれたボールをル・ソメが至近距離から決めてあっという間に3点差とした。
ル・ソメは後半半ばにも、交代出場のヴィッキ・ベショが浮かせたクロスに頭で合わせて自身2ゴール目。モロッコは反撃ならず、初めての世界大会をここで終えることになった。
4大会連続の準々決勝進出を果たしたフランスは、 土曜日にブリスベン・スタジアムで共催国オーストラリアと激突する。


キースタッツ
• ディアニは今大会4ゴール目。前回大会のワンディ・ルナールに並んでフランス人選手の1大会最多タイ記録。
• 過去3大会はいずれも合計10得点を記録していたフランスだが、今大会はこれで最多記録更新の11ゴール。
• 34歳82日のル・ソメは女子ワールドカップのノックアウトステージでゴールを決めた選手としては欧州で歴代3位の最年長、フランスでは1位。
• フランス女子代表歴代最多得点者のル・ソメはこれで通算92ゴール。
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ウジェニー・ル・ソメ(フランス)

10人のイングランドがナイジェリアとのPK戦を制して準々決勝進出





両ゴールキーパーの好守もあって120分間ゴールは生まれず、最後はPK戦でイングランドに軍配。
• ローレン・ジェームズは相手選手を踏みつけて一発退場
• 両ゴールキーパーの好守もありスコアレスで120分間を終了
• PK戦を制したイングランドはコロンビアまたはジャマイカと対戦へ


イングランド 0 - 0 ナイジェリア(PK戦4-2) | ラウンド・オブ・16
ブリスベン・スタジアムで行われたナイジェリアとの激戦を制し、イングランドがFIFA女子ワールドカップの準々決勝へ駒を進めた。試合は120分間を0-0で終え、最後はPK戦での決着だった。
イングランドは後半にローレン・ジェームズが一発レッドカードを受けて退場。だが数的不利のまま延長戦を戦い抜くと、最後はクロエ・ケリーのキックでPK戦を制して8強進出を決めた。
前半にはまずナイジェリアが先制点に迫ったが、アシュリー・プランプトルが左足でペナルティエリア手前から放った強烈なシュートはクロスバーを直撃。その後に続いたチャンスもGKメアリー・アープスがイングランドを救った。
30分を過ぎたところで、イングランドはPKで先手を取るチャンスを迎えたかと思われた。だがラシーダト・アジバデがレイチェル・デイリーと交錯したプレーは、VARレビューを経て判定が覆りPK取り消しとなった。
後半にはコーナーキックに合わせたウチェンナ・カヌのヘディングがゴール横へ。イングランドもコーナーキックからデイリーがフリーで狙うが、ヘディングシュートにGKチアマカ・ナドジエが見事な反応を見せる。

後半残り3分となったところで、ジェームズはミシェル・アロジエを踏みつけて一発レッドカードで退場。イングランドが数的不利となった状況で試合は延長戦に突入する。
延長30分間でもゴールが生まれることはなく、勝負はPK戦へ。ナイジェリアは最初の2人が枠を外してしまい、最後はイングランド5人目のケリーが決めて勝負に終止符を打った。イングランドは準々決勝でコロンビア対ジャマイカ戦の勝者と対戦する。

キースタッツ
• イングランドは女子ワールドカップのラウンド16で3戦連続の勝利。
• イングランドが女子ワールドカップでPK戦を戦ったのは、2011年大会準々決勝でフランスに敗れた試合に続いて2回目。勝利は初。
• ナイジェリアは女子ワールドカップで初のPK戦だった。

VISAプレイヤー・オブ・ザ・マッチ
メアリー・アープス(イングランド)


スウェーデンがPK戦で王者アメリカに歴史的勝利、8強進出でなしこジャパンと激突

出典 FIFA Women's World Cup 2023

前人未到の3連覇を目指したアメリカだがスウェーデン守護神ムショビッチの壁を破れず初の16強敗退。
• スウェーデンは守護神ムショビッチの活躍で120分間ゴールを許さず
• PK戦で敗れたアメリカ、準決勝まで進めず姿を消すのは初
• スウェーデンは準々決勝でなでしこジャパンと対戦 8月11日(金)16:30キックオフ



アメリカ3連覇ならず 無念の敗退 出典 FIFA Women's World Cup 2023

アメリカ女子サッカー界のスーパースター、ミーガン・ラピノー(Megan Rapinoe)は今大会を最後に引退

スウェーデン 0-0(PK戦5-4)アメリカ | ラウンド・オブ・16
 2連覇中だった王者アメリカは、史上初めてメダルを手に入れることなく帰国することになった。メルボルンで繰り広げられた死闘の末に、PK戦でスウェーデンに敗れている。
 スウェーデンはGKゼチラ・ムショビッチ(Zećira Mušović①)が120分間を通してアメリカの決定機を止め続ける大活躍。最後はPK戦7人目のリナ・フルティグ(Lina Hurtig⑧)が勝利を決定づけた。
 前後半から延長戦までゴールが生まれることはなかったが、それでも事前の期待通り、最初から最後まで目の離せない好勝負となった。前半はアメリカが優位に立ち、特にウイングのトリニティ・ロッドマン(Trinity Rodman⑳)が最もスウェーデンに脅威をもたらす武器となっていた。
開始8分までにトリニティ・ロッドマン(Trinity Rodman⑳)はスピードとスキルを発揮するプレーを2回披露。右足で放ったシュートはどちらもGPムショビッチの手に弾かれた。
スウェーデンの守護神は後半に入ってもチームを救い続ける。アメリカはキャプテンのリンジー・ホラン(Lindsey Horan⑩)がヘディングでクロスバーを叩いたのに続いて、右足ダイレクトで今度こそは枠を捉えたが、ゴールに突き刺さろうとするボールをGKムショビッチが左手一本で鮮やかに弾き出した。
アメリカはどうしても決まらない展開が続き、アレックス・モーガン(Alex Morgan⑬)のヘディング弾もGPムショビッチのスーパーセーブに阻まれてしまう。

スウェーデンの守護神 GKムショビッチ FIFA Women's World Cup 2023

後半残り5分となったところで逆にアメリカが肝を冷やす場面も。スティナ・ブラックステニウス(Stina Blackstenius㉕)が切り込み、GKアリッサ・ネイハー(Alyssa Narher①)がこの試合最初のセーブ。そして驚くべきことに今大会最初のセーブだった。
90分でも決着が付かず、30分の延長戦に入ってもGPムショビッチの獅子奮迅の活躍は続く。アレックス・モーガン(Alex Morgan⑬)、リン・ウィリアムズ、ソフィア・スミス(Sophia Smith⑪)のシュートを阻み、緊迫した展開が最後まで繰り広げられた。

最後はPK戦に勝負が委ねられる。ここでも一旦はアメリカが優位に立ったが、ミーガン・ラピノー(Megan Rapinoe)⑮とソフィア・スミス(Sophia Smith⑪)の失敗でリードを失い5人目を終わって3-3の同点、サドンネスに突入して6人目は双方とも成功、4-4、7人目のアメリカのケリー・オハラ(Kelly O’Hara⑤)も右ポストに当てて失敗。これに対してスウェーデンはリナ・フルティグ(Lina Hurtig⑧)が歴史的なシュートを放つ。GPネイハーにストップされたかに見えたボールは映像確認(Goal Line Technology)でわずか数ミリでゴールラインを越えたことが確認され、スウェーデンは勝利の歓喜を爆発させた。

PK戦7人目のリナ・フルティグ(Lina Hurtig⑧)のシュート GPネイハーはパンチングで弾くが、こぼれ球がゴールラインに落ちる GPはボールを掃き出すが?

Goal Line Technology 出典 FIFA

Goal Line Technology 出典 FIFA

アメリカの女子サッカー界のスーパースター、ミーガン・ラピノー(Megan Rapinoe)はこの大会を最後に引退する。
アメリカは前人未到の3連覇の夢が絶たれただけでなく、準決勝へ進めず大会を去るのは初という異例の事態。一方、2大会連続の8強進出を果たしたスウェーデンは準々決勝でなでしこジャパンと激突する。

キースタッツ
• アメリカがFIFA女子ワールドカップでPK戦を戦ったのは日本に敗れた2011年大会決勝以来。記録上は引き分けだが、女子ワールドカップの試合で敗れたのもその試合以来となった。
• アメリカは通算4度のPK戦を戦っており、全チーム中最多。結果は今回を含め
• スウェーデンがPK戦を戦ったのは1995年大会準々決勝の中国戦(4-3で敗戦)以来28年ぶり2回目。PK戦での勝利は初。
• 120分以上を通して米国は枠内シュート12本、スウェーデンの1本を大幅に上回りゲームを支配したが勝利を逃した。


なでしこジャパンが2大会ぶり準々決勝進出。清水・宮澤弾などでノルウェー撃破し8強へ

今大会初失点を喫した日本だが後半にノルウェーを突き放して3-1の勝利。
• 前半にオウンゴールで日本が先制、ノルウェーもすぐにライテンのヘッドで追いつく
• 後半に清水梨紗が勝ち越し弾、宮澤ひなたが今大会5点目でダメ押し
• 8強進出の日本はスウェーデンまたはアメリカと対戦へ


日本 3-1 ノルウェー | ラウンド・オブ・16
得点:エンゲン(OG、15分)、ライテン(20分)、清水(50分)、宮澤(81分)
グループステージから好調を維持するなでしこジャパンがノルウェーも下してノックアウトステージ初戦を突破。開幕から4戦4勝で準々決勝へと駒を進めた。
序盤からボールを支配するなでしこジャパンは何度かノルウェーゴールに迫る形を作り出し、前半15分には順調に先手を取ることに成功。左サイドから宮澤ひなたがゴール方向へ向かう右足クロスを放り込むと、反応したイングリッド・エンゲンの足に当たったボールがゴール左隅の絶妙なコースへのオウンゴールとなってしまった。
だがノルウェーもすぐさま反撃に転じ、持ち味の高さを活かして試合を振り出しに戻す。右サイドへの縦パスで裏へ抜け出したヴィルデ・リサがクロスを入れ、ゴールからやや遠目の距離だったにもかかわらずグーロ・ライテンが守備陣に競り勝って強烈なヘディングを叩き込んだ。
引いて守備を固めるノルウェーに対し、日本はボールを持ちながらもなかなか崩しきれず。前半をそのまま同点で折り返したが、後半立ち上がりには再びリードを奪った。エリア内へ入れた縦パスを長谷川唯が落としたボールは味方選手に合わなかったが、ボールを奪ったリサがパスを誤り、それを右サイドから上がっていた清水梨紗が拾う。自らシュートに持ち込むと、タックルに入ったディフェンダーの足にも当たったボールがネットに突き刺さった。
77分にはカリナ・セーヴィクのシュートがわずかにゴール左へ逸れる。同点のピンチを逃れた日本はその4分後、速攻から大きく空いたノルウェー守備ラインの裏へ藤野あおばが絶好のスルーパスを通し、受けるのは宮澤。今大会絶好調の7番がまたも驚異的な決定力を発揮し、澤穂希に並んで日本人選手最多タイ記録となる5ゴール目をゴール右隅へ流し込んだ。 ノルウェーも最後まで諦めずなでしこのゴールを脅かしたが、2点差のまま試合終了。2大会ぶりの8強進出を果たした日本は、スウェーデン対アメリカ戦の勝者と準々決勝を戦う。


今大会で5点目を上げた宮澤ひなた選手 出典 FIFA Women's World Cup 2023


キースタッツ
• ライテンのゴールはなでしこジャパンにとって今大会初めての失点。これで今大会無失点を維持しているチームはジャマイカのみとなった。
• 宮澤は今大会5ゴール目を挙げ、2011年大会で澤穂希の記録した日本人選手の大会最多記録に並んだ。
• 清水のゴールにより日本は今大会7人の選手がゴールを決めたことになり、決勝まで7試合を戦った2015年大会に並ぶチーム最多タイ記録。

VISAプレイヤー・オブ・ザ・マッチ
宮澤ひなた(日本)







2023年8月7日
Copyright (C) 2021 IMSSR

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廣谷 徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute(IMSSR)
President
E-mail
thiroya@r03.itscom.net
imssr@a09.itscom.net
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