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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

10月15日のLPSA芝浦サロン・人と人との戦いは面白い

2010-10-17 01:38:00 | LPSA芝浦サロン
9日(土)は3歳のおいの運動会、きのう16日(土)は、この19日に6歳になるめいの運動会があり、ともにビデオ撮影係としてかりだされた。9日は雨で、体育館での開催だったが、きのうは晴天でなによりだった。言うまでもないが、保母さんが若い。……あれっ!? えっ!? な、中村桃子女流1級?? あ、違うか。よく似てるけど。あの保母さんがめいの担任なのか。うらやましいな。

15日(金)のLPSA芝浦サロンは、船戸陽子女流二段の担当だった。芝浦に移転後、手合い係はやったらしいが、指導対局は初登板の船戸女流二段である。
芝浦サロンの指導は予約制なので、先日のファンクラブイベントのときに、船戸女流二段直々に予約を入れておいた。午後2時の組である。芝浦サロンの開席時間は駒込時代と同じ午後2時から9時までだが、駒込では早くても午後3時ごろに入室していた。時間はたっぷりあるので、余裕をこいていたのだ。
今回は2時少し前に入室し、船戸女流二段を待つ。これは初めての経験である。ちなみにこの日の女流棋士スーパーサロンは、珍しく中村真梨花女流二段の担当だったが、私の体調が万全でないので、今回は予約しなかった。
船戸女流二段は、生地の薄い薄紫のミニのワンピースに、グレー系のジャケットを羽織っていた。女子高生の制服もいいが、船戸女流二段のファッションも毎回素晴らしい。このコーディネートを拝見するだけで指導料ぶんの価値がある、と書いたら褒めすぎか。完璧に悩殺された。
2時からの予約は私も含めて4人だったが、予約なしのKur氏が訪れた。予約済の会員が大幅に遅刻しているので、代わりに入る。のちほど遅刻氏(まあ、Tat氏のことだ)とW氏が来席。Sug夫氏も見えた。さらに、藤森奈津子女流四段の知己という紳士氏が「LPSAが田町に移転して近くなったから」と、訪れた。しかし明るいうちの客はこのくらいだった。芝浦サロン開業から2週間だが、まだ会員が少ない。旧金曜サロン会員のセミレギュラーで、まだ芝浦に来ていない会員も多数おり、そのぶんだけ来客が減少していることになる。
藤森女流四段、中倉宏美女流二段が見えた。駒込と芝浦の両サロンを比較して、芝浦で指すメリットはほとんどないが、唯一の救いは多くのLPSA女流棋士が顔を見せることである。サロンの隣が事務所になっており、そこを訪れた女流棋士が、サロンにも寄るからだ。
中倉女流二段に、
「先日のコント(ファンクラブイベントでの解説)はおもしろかったです」
と言うと、複雑な顔をされた。
藤森女流四段は、このあと5時からJR新橋駅前で行われる、竜王戦第1局解説会のアシスタントを務めるという。いつもよりほんのちょっぴりオメカシしていたのは、そのためだったか。
解説会は入場無料なので私も誘われたが、船戸女流二段を観賞していたいので、丁重にお断りした。
船戸女流二段に指導対局を受けたあとは、リーグ戦1局を含む3局を指す。さらにU氏と一局指すことになった。U氏に振っていただき、「と金」が5枚出て、私の後手。後手番になったら指したい戦法が、横歩取りを誘ってからの☖2八歩~☖4五角で、先日将棋会館道場で中学生氏にコテンパンに負かされてから、「マイブーム」になっている。
ところがU氏に定跡にない手(正確にはそれも定跡だったのだが、お互いその手を知らなかった)を指されて、私がその応手を知らなかったため、切れ筋に陥った。
あまり掲げたくないが、終盤の局面を記す。

先手・U氏:1一馬、1七歩、1九香、2八銀、2九桂、3二成香、3七歩、4一飛、4九金、5七歩、5九玉、6九歩、7六歩、9六角、9七歩、9九香 持駒:金、銀、桂、歩3
後手・一公:1三歩、3一銀、4三歩、4七成桂、5三歩、6一金、6二玉、6三歩、6七金、7一銀、7三歩、8一桂、8九竜、9一香、9三歩 持駒:歩3

☗9六角と攻防の角を放った局面。この角は☖8五歩で玉頭の利きが止まるのでありがたかったが、よく読むと受け一方の手でおもしろくないと思った。そこでよほど指したかったのが☖3二銀と成香を払う手である。
これは飛車取りと同時に☖5八香までの詰めろとなっている。しかしそこで☗4二飛成とされ、☖5二金は☗同竜☖同玉☗6四桂で詰みだから☖5二香と打つしかないが、☗3二竜と銀を取られては後手勝てない。
だが先手は☗6三角成以下の殺到を見て☗9六角と打ったのではないか。U氏は私が☖3二銀なら、間違いなく☗6三角成とくる。そこで☖同玉☗6一飛成☖6二歩は、意外と後手玉の耐久力がある気がした。
だが☗6三角成は私の希望的観測で、☗4二飛成とくるかもしれない。そう思うと読みがまとまらず。☖7二銀と、ほとんど読みに入れていない手を指してしまった。これは疑問手だったと思う。
以下は☗3一成香(☗3一飛成が勝る)☖9九竜(☗同馬なら☖5八香)☗5八銀☖同成桂☗同金☖同金☗同玉☖9八竜☗8八金☖5一金打☗4三飛成☖4二香☗5四桂☖同歩☗4四馬まで、U氏の勝ちとなった。
終了図の、☗4四馬の1手詰が見えなかったのだからひどい。もっともここでは後手に勝ちがない。
感想戦ではU氏に、私が☖3二銀だったらどう指したかを訊いた。U氏はやはり☗6三角成とする予定だった。以下☖同玉☗6一飛成☖6二歩に、U氏は「6四に一枚捨てて詰むのかなあ」とのことだった。これ、☗6四金と打てば☖同玉☗7五銀☖6五玉☗6六金で詰むのだが、相手はコンピューターではなく人間である。☗6四銀と打つ可能性もなくはなかった。しかしそれは☖7四玉☗7五銀☖8五玉☗8六歩☖7六玉☗6六金☖同金☗同馬☖8七玉となって、妙に詰まないのだ。
もっともこの順でも先手陣に手がかりがなくなって後手の負けだが、本譜のミジメな負けを考えると、逆転に賭けるにはこう指すしかなかった。
なお蛇足ながら、先に述べた☖8五歩は☗7五桂とされ、☖3二銀以下同様に進んだときに、今度は竜の縦利きがなくなるので、簡単に先手が勝っただろう。
ともあれこれで芝浦リーグ戦に土がついてしまった。この敗戦は痛かった。
さて、まだ閉席の9時まではだいぶ時間があるが、W氏は早くサロンを出てファミレスへ行きたいようだ。しかし私はもう少し船戸女流二段を観賞していたい。
そこで、24日の社団戦も近いし、私はW氏と練習将棋を指すことにした。ふだんは私が飛車を落とすのだが、W氏の希望で平手である。ところが対局が始まってみるとW氏の石田流の捌きがさえ、優勢になってしまった。そこでW氏が決め手を逃し私が辛勝したのだが、定跡の効果というか何というか、飛車落ちでも平手でも、いい勝負になったのは驚いた。
船戸女流二段だったか、
「飛車落ちの手合いは、平手で指しても中盤までいい勝負になるんですよ」
と言ったが、そのとおりだと思った。
夜もふけて、石橋幸緒天河と船戸女流二段による、竜王戦第1局の大盤解説が始まった。W氏がまたファミレスへ行きたがるが、まあ待てよと説得する。しかし竜王戦のこの手順はなんだ。トッププロの頭の中は、私のような凡人にはまったく理解できない。コンピューター同士の対戦かと思った。
もう9時が近い。私たちはついにサロンを出て、ファミレス探しに行く。目的地は駅の反対側にある「サイゼリヤ」である。毎度毎度居酒屋で有志と交流を深めていたら小遣いがもたないので、局後のファミレスは必須である。
ところで先週居酒屋で、「来週も絶対サロンに行きます」と断言していたTod氏は、けっきょく顔を見せなかった。人間、こういうところで信用を落とす。
かなり歩くと、サイゼリヤの看板が見えた。大通り沿いの地下1階にあった。サイゼリヤを事前にwebで調べたところイタリアンレストランで、一品一品の値段が安かった。店内でメニューを見ると、食事ありのドリンクバーが180円である。ちなみにジョナサンは273円だった。
サイゼリヤ、店員はしっかり教育されているし好感は持てたが、店内が混んでいて、とてもうるさい。食器が割れる音を都合3回も聞いたが、これはどうなのだろうと思った。
しかし来週以降はどうすればいいのだろう。旧金曜サロンの連中は確実に芝浦へ来る回数を減らす。私は金曜日が休みだから金曜をメインにするしかないが、それでも客が少なければ帰宅(直帰)せざるを得ない。追加料金を出してまで女流棋士ともう一局指す気はしないからだ。それなら将棋会館で女流棋士スーパーサロン+会館道場で夜まで将棋を堪能し、駒込ジョナサンで楽しむ方が得策である。
いやしかしこの「手順」は、LPSAもおもしろくないだろう。本当に、どうしようか。
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金曜サロン・大庭美樹女流初段⑪

2010-10-16 02:19:30 | LPSA金曜サロン
7月9日のLPSA金曜サロン、1部は大庭美樹女流初段、2部は島井咲緒里女流初段の担当だった。手合い係は藤森奈津子女流四段。
午後4時前後に教室に入ると、この日は珍しくTom氏の姿があった。古豪Tom氏は駒込の近くにお住まいらしいが、LPSAが田町に移転してしまっては、もう姿を見せることもむずかしいだろう。これから会員の客層も徐々に変わっていくと思われる。
当時金曜サロンでは、船戸陽子女流二段が指導対局で中飛車を連採して、7月17日に行われるマイナビ女子オープン・清水市代女流王将対策に余念がなかったが、5月のチャレンジカップで敗者復活戦を勝ち抜いた大庭美樹女流初段もまた、期するものがあったはずだ。なにしろ初戦で負けたら、またチャレンジカップに逆もどりである。いま女流棋界はアマ旋風がすさまじい。もうあのアマチュアの巣窟では戦いたくないはずで、この日は金曜サロンの会員を相手に、勝ちぐせをつけておきたいところであった。
大庭女流初段とは、4月9日以来、ちょうど3ヶ月ぶりの指導対局となる。指導対局開始。☗2六歩☖3四歩☗7六歩☖3三角。大庭女流初段得意の、力戦型への誘導である。下手はここで角交換に出るのが最善手だろうが、私は☗4八銀と上がり、中央を厚くすることにした。
対して大庭女流初段は、飛車先不突きの利点を活かして、☖3三角を5一~8四と大転換する。このまま☖6二飛~☖7三桂~☖6五歩と総攻撃を掛けられてはたまらないので、私のほうから☗4五歩~☗3七桂と先にチョッカイを出したが、これが上手の思うツボ。大庭女流初段に冷静に受けられて、無理攻めの様相を呈してきた。こういう展開になると、大庭女流初段の土俵である。
ここで、終盤の局面の局面を掲げる。

☗2一銀不成と飛車を取り返したところまで。上手の持駒は山ほどあり、ここで上手の手番だから下手敗勢。
以下、☖2六飛☗6七玉☖2七飛成☗5七桂☖7一王まで、大庭女流初段の勝ち。
どう寄せられるかと思ったが、中空に☖2六飛と打つ手はまったく見えなかった。合駒をしたくないので玉を引いたが、☖2七飛成で1枚使わされ、☖7一王と手がかりの銀を取られては、指す手がない。ちょっとヘンな手順だが、私はここで投了した。
上手が平手で下手に勝つのは当たり前なのだが、本局は大庭女流初段の持ち味がよく出た将棋で、これはマイナビ女子オープン一斉予選対局でもいい将棋を見せてくれるに違いない、と期待を抱かせてくれた。
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「LPSA Minerva ファンクラブイベント」(後編)・ありがとう

2010-10-15 01:26:12 | LPSAイベント
さてカルトクイズの答えはだいぶ埋まったが、まだ調べ物はある。「Minervaファンクラブイベントのチラシの中に、ハートマークはいくつあるでしょう?」なんてものもある。
受付に行くと、昼に撮った中井広恵女流六段、石橋幸緒天河との3ショット写真がプリントアウトされていたので、ありがたく頂戴する。その近くには、ファンクラブイベントの告知用チラシが貼られてあった。ここにあるハートマークを数えるのだ。W氏と一緒に数えてみる。20個もある。と、W氏が「隠しハート」をさらに2つ見つけた。これはうっかりする。私は解答用紙に「22」と書いた。
ついでにW氏の解答用紙を覗いてみる。石橋天河の段位の問題を、「書道八段+将棋四段」で、「12」と書いている。ブフッ…W氏、1ケタの足し算もできないのか、と腹の中で嘲笑したが、よく考えたら私のほうが間違えていた。さっき書いた「十一段」を、こっそり「十二段」と書き直す。
会場の一隅では、山下カズ子女流五段と神田真由美女流二段が、大盤で詰将棋を出題している。正解者には記念品が出ているようだ。
鹿野圭生女流初段に、
「先生、一応確認したいんですけど、先生が出演されていたテレビCMって、『大阪ガス』でいいんですよね?」
と聞くと、鹿野女流初段は、ニコッと笑みを返してくれた。もちろん、これもカルトクイズの取材であった。
こうしてみると、かなりの女流棋士とお話をさせていただいた。今回のイベントスケジュールでは、女流棋士との交流があまりない。しかしこうして取材することが、自然と女流棋士との交流になっているのだと気がついた。
全部答えが埋まったので、受付へ投函に行く。と、島井咲緒里女流初段が目に入った。
「第1回1dayトーナメント優勝者は誰か?」という問題もあったが、これは島井女流初段と解答した。島井女流初段に一応確認するが、本人は記憶にないという。
ええっ!? そんなはずはない。絶対に島井女流初段である。第1回は中井女流六段も石橋天河も出場していないはずだし、消去法でいくと島井女流初段しか残らないからだ。
そこで第1回は何カップだったか? という話になり、「パールカップ」と分かった。
「それなら私です」
と島井女流初段が名乗り出たので、私は全部の答えを再確認して、回答箱に投函した。
午後2時30分からは、中倉彰子女流初段・宏美女流二段のインターネットラジオ「Positive de GO!」のライブバージョンである。
宏美女流二段がJR田町駅から芝浦サロンまで歩く映像をノーカットで公開し、それを観ながらトークを繰り広げるという趣向である。
映像が流れ始めたが、ドキュメンタリータッチである。カメラに向かってしゃべる宏美女流二段の行為そのものがなんだか艶めかしい気もするが、考えすぎだろうか。
運河にかかる橋の袂でポーズをとる宏美女流二段。これはなかなか絵になっている。先日私たちも入った居酒屋の前を通って、芝浦サロンに着いた。これからこの室内が、LPSAの主な活動場所となる。また多くの将棋ファンが訪れてほしいと思う。
午後3時からは1dayトーナメントの決勝戦である。この開始前までが、決勝戦勝者クイズとカルトクイズの投函〆切だ。
船戸陽子女流二段が、最後の回収にまわっている。船戸女流二段は今回も裏方に徹している。スケジュールも滞りなく進行しており、ヤマは越えた。
中井女流六段、石橋天河が壇上に登場した。やはり今回もこのふたりである。他の女流棋士は、この寡占状態を打破するべく、精進せねばならない。
きょうは指導対局ばかり受けていたので、初めて落ち着いて、プロの対局が観られる。
石橋天河の先手で対局開始。なんでも指す石橋天河は向かい飛車。対して中井女流六段の採った作戦は玉頭位取りだった。昔懐かしい構えだ。大盤解説は蛸島彰子女流五段と島井女流初段が務めた。
☗5五歩☖同歩☗同角。ここで中井女流六段が☖5四銀と出、以下スルスルと7六まで出てきた手がどうだったか。私も対ゴキゲン中飛車で、右の銀で7六(3四)の歩を取ることがあるが、存外うまくいかない。1歩得をしても銀がソッポに行ってしまい、割に合わないのだ。それに中井女流六段の作戦は玉頭位取りだったのである。右の銀は左のほうに持っていくべきで、これでは趣旨が一貫していない。
解説が多田佳子女流四段と松尾香織女流初段に代わったとき、その銀は8七に突っ込んだ。石橋天河はスッと☗7九飛と引き、この銀がもう動けない。これは中井女流六段、ヘタをやった。
ここからは石橋天河の軽快な指し回しを見るのみとなった。私ならバカバカしくて投げているところだが、公開対局でもあり、中井女流六段も戦意喪失を理由に投了するわけにいかない。
私は左に座っていたW氏と、カルトクイズの答え合わせをする。
「今回の1dayトーナメントは第何回?」に、私は「第38回」と答えたのだが、W氏は39回だという。いただいたチラシをよく見ると確かにそう書かれていて、私は自分の不注意をのろったが、いやしかし…と思う。
今回の1dayトーナメント「ファンクラブカップ」は、パラマス方式のトーナメント戦が9月上旬に指され、そのあと39回目の1dayトーナメント「GSPカップ」が行われた。順番でいけば、「ファンクラブカップ」が先で、これが第38回ではないだろうか。
W氏はまた、第1回の優勝者も、島井女流初段ではなく、中井女流六段だという。これは本人に聞いたから間違いないという。しかしこっちだって本人に直接確かめているのだ。しかししっかり者の中井女流六段と天然系の島井女流初段では、中井女流六段の言葉のほうが、信憑性がある。
なんだ…。全問正解を狙ったのに、2問も間違えてしまった…。
解説が中倉女流二段と渡部愛ツアー女子プロに代わる。渡部ツアー女子プロも、師匠(中井女流六段)の拙戦に一言言いたいところだろうが、さすがにそれはむずかしい。中倉女流二段も無理に誘導はせず、渡部ツアー女子プロと天然トークを展開する。これがまた爆笑で、このふたりの笑いのセンスはプロ級だと思った。
将棋は石橋天河の快勝。最近の両者の調子から見て、中井女流六段に分があるとフンだが、それが勝敗に直結しないのが勝負事の面白いところである。石橋天河、優勝おめでとうございます。
さてこのあとは、閉会式である。まず、「石橋天河の優勝」に懸けた観客全員に、記念品が授与された。
続いて船戸女流二段によるカルトクイズ正解発表である。
例の問題の正解は、やはり「第39回」「中井六段」だった。
後日調べてみると、第1回の1dayトーナメントは、決勝が中井女流六段-島井女流初段戦だった。島井女流初段は、準優勝の副賞で真珠か何かを戴き、それで勘違いしてしまったのかもしれない。
カルトクイズは、全問正解者がひとりだけ出た。これが何とW氏だった。W氏、将棋はスットコドッコイな指し手が多いが、こういうイベントでは抜け目がない。今回も実に綿密な「取材」を行い、完璧な解答だった。
2位は「18問正解の…」と言うから私の名前が読み上げられるかと思いきや、別の方だった。私は16問正解で3位。?? おかしい。私も18点のはずだ。入賞者は全員同じ賞品だから大勢に影響はなかったが、LPSA中心のブログを書いている者にとって、この得点は納得できない。
中井女流六段が閉会の挨拶に上がるが、その前にLPSAから中井女流六段へ金メダルが授与された。話をよく聞いていなかったので分からぬが、いままでの活動を讃えた「功労賞」だろうか。
中井女流六段の御礼の挨拶が終わり、散会。しかし私にはやることがあった。カルトクイズの正解確認だ。私はこういう、どうでもいいことを質さないと気が済まないタチなのである。
私は船戸女流二段を呼び止め、カクカクシカジカ、と述べる。と、船戸女流二段はすぐさま答案を確認しに行き、戻ってくると半分ムッとしながら
「18問正解でした。ハートマークの問題、20個って書いたと思ってました」
と言った。
ハートマークを数えているとき、私が「20個だ!」と叫んだのを船戸女流二段が聞いていて、それが脳裏に刻み込まれてしまったらしい。
もう1問の採点ミスは、推測するに、「LPSAが連載している雑誌名は?」という問題があり、これは「経済界」が模範解答だったのだが、私の書いた「NHK将棋講座」も立派な正解で、以上2問が間違いにされたようだ。
それにしても…と思う。私はきょう1日で、かなりの数の女流棋士を怒らせてしまった気がするのだが、どうなんだろう。まあ、気のせいであろう。
女流棋士全員に見送られ、会場を出る。そのまま帰宅するのもわるくはないが、せっかくなので、旧金曜サロン会員の有志と飲みに行く。6人で居酒屋に入り一息つくと、なんと4人が女流棋士提供のプレゼントを獲得していた。この日の観客は何十人もいたから、金曜サロン会員の当選率はすごかった。やはりヒキの力が違うのだろう。
このあとはさらに2人加わって、計8人で楽しい夜を過ごした。私のハナ水は相変わらず流れっ放しで、私の右隣にいたひとには、たいへんな迷惑を掛けてしまった。この場を借りて、深くお詫びいたします。
最後に、今回も楽しいイベントを企画してくれた、船戸女流二段をはじめ参加女流棋士の方々に、厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
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「LPSA Minerva ファンクラブイベント」(中編)・女子高生との一局と、ムーミン

2010-10-14 00:42:27 | LPSAイベント
準決勝の2局、石橋幸緒天河-中倉宏美女流二段戦、中井広恵女流六段-渡部愛ツアー女子プロ戦は、いずれも前者の勝ち。内容はともかく、勝敗は戦前の予想どおりとなった。しかしいつもこれではいけないのだ。
時刻は12時を過ぎたが、予定を前倒しして、今回の1dayトーナメント・ファンクラブカップの協賛者と、決勝に進出した中井女流六段と石橋天河との3ショット撮影タイムとなった。私も1口協賛しているので、その権利がある。しかしいまさら、中井・石橋両巨頭と3ショットというのもなあ…。
私は両巨頭を前にして、
「あのう、敗者の方と撮影したいんですけど」
と言うと、そばにいた藤森奈津子女流四段が、また憎まれ口を叩いて…という顔をした。
とりあえず3人並んで、パチリ。
昼食に出るが、食欲がない。ハナ水が止まらない。受付時にいただいたLPSAエコバッグを見ると、ファンクラブカップの優勝者予想クイズ投票用紙と、全20問からなるLPSAカルトクイズの用紙が入っていた。
通りにドトールコーヒーがあったので入り、カルトクイズを解いてみる。
Q.中井広恵六段の女流公式戦連勝記録は?
Q.芝浦サロンの最寄駅はどこ?
という簡単な問題から、
Q.多田佳子四段は女流アマ名人戦で何回優勝した?
Q.石橋幸緒天河は書道と将棋の段を足すといくつ?
など、文字どおりカルトな問題もある。分かった問題だけ記入し、会場へ戻った。
午後1時。実はこれからやっと開会式である。室内壇上に、寺下紀子女流四段をのぞくLPSA全女流棋士(渡部愛ツアー女子プロを含む)が勢揃いした。このあと1時30分から大庭美夏女流1級-大庭美樹女流初段の「トランプ将棋」があるのだが、そのとき来場者に抽選でプレゼントされる賞品の説明も兼ねて、全員が一言挨拶を述べた。
石橋天河は、「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」のLPSA版で、「中井女流六段が歩を打ったあと、ため息をつくにもかかわらず、それが好手だったときの仕種」を披露し、大爆笑だった。
プレゼント賞品の目玉は、中倉宏美女流二段提供の「『ぬくもり入り』マフラー」と、中井女流六段提供の「北海道写真集」といったところか。
ところでこの日は神田真由美女流二段の誕生日。LPSAから記念品の贈呈があった。LPSA、なかなかイキなことをするではないか。
1時20分からは午後の部の指導対局である。準決勝での敗者、中倉女流二段と渡部ツアー女子プロが担当する。まだ対局に空きがあるとのことだったので、三たび申し込む。しかしこんなカネの使い方をして、バカじゃなかろうか。
スタッフ氏がトランプを数枚拡げ、
「赤を引いたら中倉さんとです」
と言う。私は祈るようにカードを引く。「クラブの5」。黒だ。ということは、渡部ツアー女子プロとの指導対局だ。
「やったあ!」
とガッツポーズをすると、駒を並べていた中倉女流二段に、キッ、と睨まれた気がした。
いや私だって中倉女流二段のファンだけれども、現役女子高生に将棋を教えていただく機会はなかなかない。今回ばかりは渡部ツアー女子プロが「当たり」なのだ。
渡部ツアー女子プロの前にすわると、渡部ツアー女子プロが「玉」を取ろうとする。勘弁してほしい。プロ相手に私が「王」を持つことはできない。
「ハメないでくださいね」
と渡部ツアー女子プロが言う。実は前回のサシの将棋で、私が定跡にない手を指し、渡部ツアー女子プロを困らせてしまったのだ。今回はお手やわらかにしてください、ということだろうが、現役女子高生に「ハメないでくださいね」と懇願されると、なんだかムラムラしてしまう。
指導対局開始。☗7六歩☖3四歩。ここで飛車先の歩を突きだすか角道を止めるか迷ったが、今回は☗6六歩としてみた。私は居飛車党だと思うが、相がかり系の将棋では負かされそうな気がした。つまり早くも3手目で、気合負けしたということである。
将棋は私の四間飛車に渡部ツアー女子プロの左美濃。私には珍しい、持久戦となった。
会場前方では「トランプ将棋」が始まっている。簡単にいえば、トランプを引いて、その番号に書かれている数字の筋にある駒を動かす、というものだ。
そのトランプを引く役目は会員(観客)が行うが、私たちは受付時に数字の入ったカードをいただいており、抽選係の女流棋士が引いた数字を持っている会員が「当たり」となって、先に書いた女流棋士提供のプレゼントをいただけるのだ。
ちなみに私は「51」。イチローと同じ番号で、縁起がよさそうだ。
中盤の入口で、その「51」が呼ばれた。将棋を考えているようでも、会場のアナウンスには注意を傾けていたので、私はすぐに手を挙げた。
島井咲緒里女流初段が飛んできて、トランプを差し出す。選んだ数字はどうでもよい。私はすぐに前方に出て、女流棋士提供のプレゼントを選ぶ。
お菓子などの食品類が残っていたが、ムーミンのスープカップがあったので、それを戴く。これは松尾香織女流初段提供の賞品である。やはり記念の品としては、「永遠に残る」ものがよい。ただし私が女流棋士にプレゼントをする場合は、原則的に「消え物」である。
「大沢さん、(こういうイベントでは)いつもなにかしら持って帰るよなあ」
と言う声が聞こえた気がした。
これで渡部ツアー女子プロとの指導対局に専念できる。
☖6四歩☗同歩☖6五歩の銀取りに、私は強く☗同銀と取る。☖6五同桂で銀がタダだが、ここで☗5七銀と引いては手順に☖6四角と出られ、下手勝てない。☖6五同桂に☗6三歩成とし、「2歩得+と金」と「銀」の交換でいい勝負、との大局観だ。
しかし数手後の☖8六歩を☗同歩と取ったのはヒドイ利かされだった。ここは一足先に☗6八飛と振り戻し、☖6五桂に当てるところ。上手が☖8七歩成~☖7八と~☖8九飛成とする間に、一仕事するべきだったのだ。
本譜もむずかしい展開となった。ここで終盤の一局面の符号を記す。

上手・渡部ツアー女子プロ:1一香、1二王、1四歩、2一桂、2三銀、2四歩、3二金、3三銀、5五銀、6四歩、7六歩、9四歩 持駒:飛、金、桂、歩2
下手・一公:1六歩、1九香、2六金、2八玉、4五歩、4八銀、4九金、8四歩、8九桂、9一馬、9六歩、9九香 持駒:飛、角、桂、香、歩7

☖4七歩と金頭に叩いた手に対し、私が☗2六金と角を取り、☖4八歩成☗同銀の局面。☖4七歩には黙って☗同金と取る方が勝ったが、もうここでは分がわるいと思っていた。しかし現局面で☖7九飛なら、☗5九歩で耐えていると思ったのだが…。
本譜は☖2五歩☗2七金☖3五桂まで、渡部ツアー女子プロの勝ち。
「自爆かもしれないけど…」
と渡部ツアー女子プロがつぶやきながら突きだした☖2五歩が好手だった。側面からではなく、上部から玉を目がける構想が素晴らしい。私はまったく気づかなかった。
☗2五同金は☖2七歩☗3七玉☖2九飛くらいでいけない。しかしこの歩を取れずに引くようでは、大勢決した。
☖3五桂と金取りに打たれ、あとは受けても一手一手。いくら女子高生とはいえ、相手にこれ以上気持ちいい手を指させたくはないので、私はここで投げた。
「ずーっとわるいと思ってました」
と渡部ツアー女子プロ。☖8六歩に☗同歩はマズかった、は共通の意見だったが、それ以前も以後も、渡部ツアープロが優位に進めていたと思う。どうも渡部ツアー女子プロは、局面を悲観的に見過ぎる傾向がある。LPSAの中では、中井女流六段、石橋天河に続く実力者なのだから、もっと自信を持っていい。
トランプ将棋も終わり、しばしのフリータイム。ここでカルトクイズの分からなかった問題を解きにかかる。正確には「取材」である。
多田佳子女流四段に
「先生が女流アマ名人を獲得されたのは、2回…ぐらいですよね」
と問うと、
「いえ…もう少し多い…もう少し多い。4回です。6回出場して4回優勝しましたのよ」
とのこと。これはおみそれしました。ここで聞き込みをしなかったら、間違えているところだった。
石橋天河に、
「高群佐知子先生は書道七段と聞きましたけど、石橋先生はそれより上ですよね…」
と話を向けると、
「…八段です」
とのこと。私は「書道十段、足して十四段」とフンでいたので、慌てて「十一段」?と書き直した。
松尾女流初段がいらっしゃる。
「私のプレゼントを選んでくれてありがとうございますー」
「ほかが食べ物ばかりだったんで、これしか戴くものがなかったんですよねー」
「ええっ、何それー」
「あっ、松尾先生のだから選ばせていただいたんですよ、もちろん」
「もうー。ねえ、ムーミンのカード見てよー」
中を覗くと、ムーミンの絵が描かれた、松尾女流初段自作のカードが入っていた。
「ああ、うまいですね。これは何というキャラですか?」
「リトルミイ」
「これは?」
「ニョロニョロ」
「ふうん。しかしこのムーミン、アゴのあたりが短くないですか?」
私はそう言うと、カルトクイズの問題用紙兼解答用紙の裏に、ムーミンのアゴを描いた。
「そんなに長かったかなあ」
松尾女流初段が首をタテに振らないので、私はムーミンのスープカップを箱から出してみた。
「あっ、ほら、これ、ここ見てくださいよ。こんなに長いでしょう?」
私はムーミンの載っている場所を見せる。
「グッ…たしかにそうかもー」
私が勝ち誇っていると、松尾女流初段は話題を変えてきた。
「ねえ、マッカランはー?」
い…意外と執念深いなこの女。
「ああ、残り4つの指導対局で私が2勝2敗ならセーフ、1勝以下ならマッカラン贈呈ですね」
「4局ね」
「でも先生、9月は金曜サロンの担当がなかったじゃないですか」
「うん、9月はなかったー」
「今月だって金曜日の担当はないし。これじゃ私、先生と指すためだけに、わざわざほかの曜日のサロンに行かなくちゃならなくなりますよ」
「来てよー」
「冗談じゃないですよ。先生との対局だけのために行ったら、中倉宏美先生とか怒りますよ。船戸先生だって…。だから私、どうせおカネを使うんだったら、いっそのこと松尾先生にマッカランを買って差し上げようとさえ思ってるんですよ」
「ホントー?」
「だけどマッカランだって安いのはありますからね。どうせ先生、マッカランの味なんか分からんのでしょう?」
そのときたまたま、船戸陽子女流二段が横にいた。しかし船戸女流二段は私の主張に同意するわけにもいかず、その場を離れてしまった。
「ま、まあそういうことで、何とか指すようにします」
私は言葉を濁すと、松尾女流初段との会話を打ち切ったのだった。
(つづく)
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「LPSA Minerva ファンクラブイベント」(前編)・指導対局2つ

2010-10-13 00:22:22 | LPSAイベント
目が覚めたら9時半だった。…?? マズイ!!
きょう11日(月・祝)は、午前10時30分から、東京・新宿で「LPSA Minervaファンクラブイベント」があるのだ。
私は起きるや否や私服に着替え、大急ぎで朝食を摂り、最寄駅に走って、電車に飛び乗った。
思ったよりも早く新宿駅に着く。靖国通りを歩いていると、この日の会場である「新宿文化センター方面」の立て看板があり、左手に緑道が続いていた。ここは以前、都電が走っていた廃線跡である。東京都電は最盛期200kmを越え一大ネットワークを築いていたが、昭和40年代に相次ぎ廃線となり、現在は都電荒川線の12.1kmを残すのみとなった。
ポカポカ陽気の中、緑道を歩く。しばしの廃線跡紀行を楽しみ、大通りに出る。交差点の向こうにイケメンスタッフ氏がおり、新宿文化センターの場所を教えてもらい、10時20分すぎ、会場のある3階に着いた。どうにか遅刻せずに済んだ。
受付ではW氏が藤森奈津子女流四段らと談笑していた。W氏はLPSA女流棋士に臆することなく、いつも快活にふるまっている。私などは女流棋士を前にするとアガッてしまって、まともに話ができない。W氏の神経の太さがうらやましい。
今回のイベントはファンクラブイベントではあるけれども、「第39回1dayトーナメント・ファンクラブカップ」がメインとなる。それと並行して指導対局も行われるが、まだ空きがあるというので、申し込む。
指導女流棋士は、自らが引くクジで決まる。抽選箱から引くと、「島井」の名があった。島井咲緒里女流初段に当たったのだ。
「やった!!」
大仰に喜んでいると、藤森女流四段が、
「そんなに喜んでいると、船戸さんが怒りますよ」
と釘を刺す。
「大丈夫です。船戸先生はここにいないし、もし船戸先生に当たったら、同じように喜びますから」
「……」
信じられない、と呆れ顔をする藤森女流四段を横目に、会場に入る。
指導女流棋士は蛸島彰子女流五段、山下カズ子女流五段、鹿野圭生女流初段ら数名がいた。島井女流初段の前に行く。3面指しだが、真ん中の席が空いていた。
私は先日の扇子の御礼を述べ、すわる。しかし島井女流初段、文字どおり目の覚めるような美しさである。いや、かわいらしさというべきか。私は1時間ほど前まで深い眠りに落ちていたのに、いまこうして美人女流棋士と対峙している。不思議な気分である。しかしきょうの島井女流初段の服装はブラウンで、ちょっと地味だった。6月の1dayトーナメントでの、ノースリーブのワンピース姿が目に焼き付いているので、ちょっと物足りない。
早速対局開始。島井女流初段の四間飛車に私は急戦で挑む。島井女流初段が☖3二銀型で☖5四歩と突いたので、私はお約束とばかり☗9七角と覗いた。
その5手後、島井女流初段が☖4一飛を☖4三飛と浮いたのが見慣れない手。何かのときの☖2三飛と、将来的に6筋に回る狙いだろう。
私は棒銀にでて☗3五銀と捌く。島井女流初段は☖6五歩と銀取りに突く。ここで私が目先の欲にくらんで、☗3四銀と突っ込んだのが疑問手だった。すかさず☖6六歩と銀を取られ、☗4三銀成☖同銀と落ち着かれてみると、次の☖6七歩成~☖9九角成が厳しく、早くも敗勢となった。☗4三銀成ではまだしも☗3三銀成とすべきで、☖3三同飛が☖3九飛成の先手になるから指せなかったのだが、☗4三銀成でも手を戻さなければならないのだから、まだしもこちらを選ぶべきだった。
本譜は☗6六歩☖同角☗7七桂☖3九角成☗2六飛☖7五歩まで、48手で島井女流初段の勝ち。
もっと島井女流初段との指導対局を楽しみたかったが、勝ち目のない将棋を指してまで対峙したくない。感想戦も短めに終わり、私はふらふらと受付に戻る。あれからまだ15分しか経っていない。
藤森女流四段が、あれ? と言うので、
「負けました。島井先生に軽く吹っ飛ばされました」
と言うと、
「じゃあもう1局どうですか? 今度はお好きな女流棋士を選んでいいですよオ」
と言う。
藤森女流四段、商売上手である。私は再び指導料を払い、抽選箱の中を覗く。「蛸島」が2枚あったので、それを選んだ。いま、蛸島女流五段のところは1面指しになっている。ここは私が入って2面指しになったほうが、味がいいと思った。
蛸島女流五段のもとへ出向き、一礼して対局開始。「中飛車五十年」の蛸島女流五段の作戦はもちろん中飛車だが、21世紀の現在では「ゴキゲン」である。居飛車党もゴキゲン中飛車を指す昨今、蛸島女流五段にはうってつけの戦法が開発されたというべきだろう。
石橋幸緒天河が通って、
「あれ? 大沢さん、島井さんとの将棋は…」
「軽く吹っ飛ばされましたよ。悔しいから2局目です」
「あれあれ、私と指すときは強いのに」
「それは実力の差です」
「……」
石橋天河が、そう言われても仕方ないか、みたいな言葉を残し、その場を去る。と、私の左で指していた紳士氏が、
「あなたがあの有名な大沢さんですか!!」
と驚く。
当ブログの読者にお会いできるとはありがたいことだが、私は有名ではない。曖昧に頷いていると、さらに紳士氏が
「大沢さんのブログは有名なんですよ」
と、今度は蛸島女流五段に話しかけた。
「ああ、お名前はよくお聞きします…」
と、蛸島女流五段が如才ない返事をする。恐縮である。私は蛸島女流五段の勧めで金曜サロンに通い始めたのだが、それを話すと長くなるので、言わなかった。
船戸女流二段がいらっしゃる。船戸女流二段はMinervaの責任担当者である。きょうのイベントの進行に最も神経を尖らせている立場にあり、私も気が気でない。
それにしても船戸女流二段は相変わらず美しい。服装も、ファッションショーでモデルが着るような秋モードである。
「きょうは(親戚の)運動会があったんじゃ?」
と船戸女流二段。
「あれは土曜日(9日)でした。
先生、きょうも素敵です。その『絶対領域』が素晴らしいですよねえ」
と、その腿のあたりに視線をやったら、船戸女流二段は逃げるように去ってしまった。まずい…。
対局に戻る。私は超急戦☗4六銀。数手後の☖5五同角に、今度は☗1八飛と寄った。渡辺弥生女流2級のときは☗2七飛と打って後悔したので、同じ轍は踏まない。
「最前線よねぇ…」
と蛸島女流五段がつぶやいた。
場内前方では、ファンクラブカップの準決勝公開対局が始まった。石橋天河-中倉宏美女流二段、中井広恵女流六段-渡部愛ツアー女子プロ戦だ。
4人は左右に分かれて指す。ソフトの盤面が前方のスクリーンに映しだされ、それを会員が見る仕組みだ。ただし解説はつかない。
指導対局は中盤の難所だ。上手の☖5一香に私は☗同飛成と切り、NHK杯での森内俊之九段のごとく、2枚香を5筋に立てて、上手陣に迫る。
ところでこの日の私は右の鼻(の穴)から透明なハナ水がとめどなく流れてきて、往生した。もともと鼻炎持ちではあるのだが、これは風邪である。前日も暖かかったのに、いつ体調を崩したのか。
盤上に☗1一竜☗5二成香☗5五香☗7七角、☖3三桂☖4四角があり、上手が☖4五桂と跳ねた手(竜取り)に☗2一竜と寄った手は1手の価値がなく、失敗した。ここでは☗5三香成として角道を通し、持駒を増やすべきだった。
本譜はここで☖2八飛と打たれ、下手も忙しくなった。以下数手進んだハイライトを記す。

上手・蛸島女流五段:1三歩、2三歩、2七銀、2八飛、3一銀、3二金、3四歩、4四歩、6三歩、7三歩、8一桂、8二王、8三歩、8八金、9一香、9四歩 持駒:角2、歩
下手・一公:1七歩、2一竜、2五歩、2九桂、3六歩、4七歩、4九金、5三成香、6一銀、6七歩、6八銀、6九玉、7五桂、7六歩、8六香、8七歩、8九桂、9七歩、9九香 持駒:金、歩

☗6一銀不成(香を取る)☖8二王☗8六香まで。☗8六香では☗3二竜と切って上手王に詰みがないか模索したが、どうしても詰まない。自玉に寄りはないと見て、☗8六香と据えた。ここから、☖6八飛成☗同玉☖7九角☗7七玉☖5五角☗6六歩☖6八銀☗6七玉、まで終局。
蛸島女流五段は王手ラッシュに出る。飛車切りから☖7九角に☗5九玉は☖1五角で合駒が悪く詰んでしまうので、私は☗7七玉と上がる。以下☖5五角☗6六歩に蛸島女流五段が☖6八銀と打とうとしたとき、アッ!! と叫んで私を見た。
蛸島女流五段の読みは☖6八銀☗6七玉☖5七銀成☗7七玉☖6八角成までの詰み、だったが、ここで☗8八玉と引かれて詰まないことに気がついたのだ。
感想戦で蛸島女流五段は、☖6八飛成では☖7八角以下の寄せを読んでいたのだが、私が☗8六香と打ったので8六への逃げ道がなくなったため、☖6八飛成でカッコよく詰まそうとした、とのことだった。
驚いたのは私もそうで、☖7八角の筋は全然読んでおらず、面喰らった。検討では☖7八角以下☗5九玉☖2九飛成☗4八玉☖3九角☗3七玉☖3八竜☗4六玉☖3六竜☗5五玉☖4五竜まで上手勝ち、との結論になった。
ただし私の研究ではこの手順中、☗4六玉では☗2六玉と逃げれば詰まなかった。つまり☖7八角でも私が残していたわけだが、まあそれは結果論であって、こう指されていたら、たぶん私が負けていただろう。
蛸島女流五段に指導対局を受けるのはこれが3局目だったが、形の明るさ、若々しい指し手は毎回勉強になる。女流名人位戦のリーグ入りはダテではないと思った。
(つづく)
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