一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第48期女流名人戦第3局

2022-02-07 00:05:33 | 女流棋戦
6日は第48期女流名人戦第3局が行われた。ここまで、挑戦者・伊藤沙恵女流三段の2勝0敗。里見香奈女流名人は残り3連勝が絶対条件だが、里見女流名人はそれができる数少ない女流棋士である。
第3局は伊藤女流三段の先手で、▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角▲7六歩。第1局はここで里見女流名人が△4二銀と指し、以下相居飛車となって伊藤女流三段が勝った。
第3局は△4四歩と角道を止めたが、やはりこれが正着であろう。勝っても負けても、里見女流名人は飛車を振らねばならぬ。
やがて里見女流名人が向かい飛車に振り、これは存分に力を出すと思った。
対して伊藤女流三段は穴熊を採択したが、これがどうだったか。将棋AIの特徴のひとつは、穴熊の固さを評価しないことだ。しかし人間同士の対局では、玉が固いことは大きな魅力で、実戦的にはそれで難しいと思う。よって伊藤女流三段も、それに従ったわけだ。
里見女流名人は△2四歩と突き上げ、▲同歩△同角から△3三角と、飛車交換を挑む。ここが通常の振り飛車と違うところで、向かい飛車の面目躍如といえる。
よって伊藤女流三段は▲2五歩と交換を拒否。すると里見女流名人、今度は△4五歩と角交換を望んだ。実にハツラツとした指し手で、カド番のプレッシャーは微塵も感じない。
さらに里見女流名人は角を換わって△3三桂(第1図)。この桂跳ねが味よく、素人目にも振り飛車十分に見えた。

ここで伊藤女流三段は▲2三角と強攻した。
この局面、アマ同士なら先手の勝率が高くなるだろう。先手はまがりなりにも穴熊で、攻めているからだ。
しかしプロ同士だと評価が変わり、先手の攻めを後手が余せる、となる。ここが私たちとプロのレベルの差である。
数手後、里見女流名人は△4四角(第2図)。この角が絶品で、プロ的には勝負あった。

以下△7八金まで、84手で里見女流名人の勝ちとなった。先手はソッポの▲2一金、打たされた▲5九飛が哀しい。本局の伊藤女流三段は精彩を欠いた。
さて里見女流名人が1勝を返してみると、星的にはとてもいい勝負である。伊藤女流三段が奪取するには3連勝しかないと思っていたが、里見女流名人だってあと2勝は厳しいのだ。
第4局はちょっと飛んで24日(木)。楽しみに待ちたい。
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