一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

木村一基八段がタイトルを取れない理由

2009-08-13 00:14:10 | 将棋雑考
12日は、昼前に鳩間島から石垣島へ戻り、行きつけの日本そば屋でランチを摂ったあと、午後から小浜島を日帰りした。
いいところだった。私が最初にここを訪れたときは例によって雨で、いい思い出がなかったから、小浜島は面白くない、と決め付けてしまったのだろう。やはりヒトの教えには耳を傾けるものだと痛感した次第。

昨年の5月31日、東京・新宿のホテルで「LPSA1周年記念パーティー」が行われた。そのとき私も図々しくお邪魔したのだが、待合室で植山悦行七段に「一公君、こっちこっち」と手招きされたときはビビった。なぜなら、その周りにはプロ棋士しかいらっしゃらなかったから。私はプロの先生とお話できるような器の人間ではないので、そちらへ合流するのは丁重にお断りした。
それはともかく、この日は木村一基八段もパーティーに参加していた。プログラムも滞りなく終わり、散会となったときのこと。
木村八段と私が、たまたま帰りのエレベーターで一緒になった。地下1階(だったと思う)に着き扉が開く。驚いたのはこのときである。
木村八段が、この階で降りる人のために、開いたドアを手で押さえてくれたのである。その行為に甘えつつ、私も降り、木村八段も最後に降りた。
いかがであろうか。もし私がプロ棋士のA級八段だったら、間違いなくサッサと降りて、後ろも振り返らず帰途に就くところである。しかし木村八段は、このパーティーに来た方は皆さん将棋ファンだからと、私たちに気を遣ってくださったのだ。そればかりか木村八段は私のようなものに「お先に失礼します」と丁寧にお辞儀をし、颯爽とその場を離れて行かれたのだった。
木村八段は、かつてLPSAのファンクラブイベントに「シークレットゲスト」として登場したときも、「シークレット」のため、出番の時間(約1時間)まで、衝立の影でじっと待っていた、という逸話を持つ。
やはりこれらの行為は、普通の棋士にはできないことだと思う。木村八段に女性ファンが多いというのも、肯ける気がする。しかしこの「優しさ、思いやり」が、勝負事ではマイナスになっているのではないか、ひいてはタイトルを取れない理由のひとつではないか、とも思うのだ。何かもっとふてぶてしいものがあったら、すでにタイトルのひとつやふたつは獲っていたのではないか(もちろん、いままでタイトルを獲った棋士がふてぶてしい、という意味ではない)。
現在木村八段は王位戦七番勝負で3勝1敗と優位に立っている。ぜひもう1勝をもぎ取って、タイトル獲得の栄誉に浴してほしいと願っている。
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6 コメント

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気遣い (洋志)
2009-08-13 01:22:38
 木村さんの気遣いは評判ですね。ご立派の一言。集中しているときは周りに無頓着でよいと思いますが。
 洋志は、木村さんとは接近遭遇がありませんが。経験上では丸山さんが、ひそやかにマナーのよさを持っている方だと思います。確か両者、佐瀬門下ですね。例外もあるが、あそこは人柄のよい人が揃っている。
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Unknown (LPSAファン)
2009-08-13 22:16:47
小浜島にも行ってみたくなりました^^;
3泊4日なので、行ける島はせいぜい2つなので家族とよく相談しないと・・・。

木村さんを応援したくなるエピソードですね^^
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席上対局 (よっしー)
2009-08-13 22:35:12
たびたび失礼します。
連投します。

東急東横・将棋まつりの最終日(8/12)、メインイベントの席上対局は羽生名人vs木村八段。
相矢倉の定跡形から先手の羽生名人が先攻。
羽生名人の怒涛の猛攻にもめげず、木村八段は防戦一方ながらも凌ぎに凌ぐ。
この日は、「渋谷」の受け師。
お気楽解説者は鈴木八段&野月七段。
仲良しの木村八段に対しては、言いたい放題で会場が沸く。
(野月さんの解説がとてもよかった)
木村八段はなんとか即詰みを逃れると、一転して体が入れ替わる。
息つく暇もない王手ラッシュで羽生玉を即詰みに討ち取った。
超満員の客席からは割れんばかりの拍手。

木村王位誕生は間違いないと思います。
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あと2日… (一公)
2009-08-14 20:54:47
洋志さん
おふた方とも、「指させて指せの佐瀬先生」門下でしたか。私ももう少しヒトに気遣いをしなくてはダメですね。木村八段を見習います。

LPSAファンさん
旅は計画しているときが一番楽しいもの。ご家族とよく相談して、楽しい旅行をなさってください。

よっしーさん
木村八段、タイトル戦で負けても負けても這い上がって、着実に力をつけている気がします。
王位戦では応援しています。もちろん深浦王位もがんばってください。

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神様は。。。。 (瀬戸のひしお。)
2009-08-19 22:36:50
故芹沢先生の言葉ではないですが名人(タイトル)は将棋の神様が授けてくれるものであり将棋を謙虚に学ぶ気持ちを忘れないこと。。。。ならば木村先生は必ずや歴史に残る実績をあげられると思います。かって(タイプは違いますが聖人君子を絵に書いたようだった)二上前会長が当時の3強に9連勝して棋聖3連覇されたように木村先生も何かやってくれると思います。
(70歳初タイトルだったりして。。。。)
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見ています。 (一公)
2009-08-20 00:17:56
敗れても敗れてもタイトル戦に登場する木村先生は、実力があるということでしょう。
「木村王位」もいいですが、「木村名人」も懐かしい響きで、いいですね。
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