一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

社団戦第1日(中編)

2011-07-01 00:20:18 | 社団戦
昼は会場の向かいにある「ゆで太郎」に入る。LPSA星組の充実は実感したが、そうは言っても自身は負け。食欲はないが、もりそばを強引に流し込んだ。
浜松町駅前の本屋に入って、戻ってくると、すぐに2回戦の開始となった。節電のため、進行が早めになっている。
メンバーは若干チェンジしたが、大将と私は不動だ。七将のW・Hanaちゃんもそう。偶数先手で、私は先手となった。本局は船戸陽子女流二段の扇子を前に置く。▲7六歩△3四歩▲2六歩△5四歩。これもゴキゲン中飛車か。いまやゴキゲン中飛車は、後手番の主力戦法だ。
私は迷いながら、またも超速▲4六銀を選ぶ。みんなが指すから私も指しているが、これは優秀な戦法なのだろうか。大山康晴十五世名人だったら、▲5七銀・6七銀の二枚銀で対抗しそうな気がする。この手が、私自身の棋風にも合っているような気がする。
△5六歩▲同歩△同飛。ここで▲5五歩は、△同飛▲同銀△同角で、相手の研究にはまると思った。私は穏やかに▲5八金右。しかし後手氏はバンバン指し手を進めてくる。
数手後、△6五歩▲同銀△4五歩ときた。それが下の局面である。

先手・一公:1七歩、1九香、2五歩、2八飛、2九桂、3六歩、4六銀、4七歩、5五歩、5八金、6五銀、6七歩、6八金、7六歩、7八玉、8七歩、8八角、8九桂、9七歩、9九香 持駒:歩
後手:1一香、1三歩、2一桂、2三歩、3二銀、3三角、3四歩、4一金、4五歩、5一飛、6一金、7二銀、7三歩、8一桂、8二王、8三歩、9一香、9三歩 持駒:歩

▲4五同銀は△5五角▲同角△同飛で、後手捌け形。よって▲5七銀と引くのが本手だと思ったが、考えているうちに面倒くさくなり、歩得に目がくらんで、▲4五同銀と取ってしまった。前日の就寝は午前2時だった。明らかな寝不足で、そのツケがここにきた感じだ。以下△5五角▲同角△同飛▲5六銀右に、△6五飛が私の見落としていた手。同じ飛車を切るにしても△5六だと思い、それなら形よく▲同銀と取れるから先手よし、と考えていたのだからおめでたい。
▲6五同銀には△5五角と飛車香両取りに打てるのが大きい。ここまで後手氏の消費時間は3分。明らかに研究にはまっている感じで、ここで私は戦意を喪失した。
以降はこちらが攻められっ放し。▲8九飛廻りに△9七歩の垂らしが軽手。9九香のない端はもろく、歩成りをうまく受けられない。その数手後、△4五桂と気持ちよく跳ばれ、あとは受けても一手一手なので、ここで私は投了した。
団体戦だから早投げはしたくないが、これ以上相手に気持ちいい手を指させて、至福の時間を与えるほど、私はお人好しではない。
最悪の2連敗。さらにW氏も敗れ、大将と副将がまさかの連敗となってしまった。チームも2勝5敗で負け。柳の下にドジョウは2匹おらず、トップ2の成績不振が、そのままチームの成績に反映されてしまった。
誰かに慰めてもらいたくて、私はLPSAブースに向かう。船戸女流二段がいたが、
「時間切れで負けたんだ」
と手厳しい一言である。もうこの情報が伝わっているのか。ここにも私の居場所はないようだった。
石橋幸緒女流四段に会う。2局目の経過を言うと、
「大沢さんて、読めば分かるのに、それを省略して指しちゃうときあるよね」
と、なかなか核心を衝いた一言をもらう。たしかに私はそういうところがある。さすがに石橋女流四段、会員の将棋をよく見ている。
しばし頭を冷やし、3局目に臨む。本局は島井咲緒里女流初段の扇子。三たび私の先手で、▲7六歩△3四歩▲2六歩△4二飛。後手はゴキゲン中飛車ではなかったが、またも角道を止めない振り飛車だ。対して私は▲6六歩。なんで振り飛車側が角道を開けたままで、居飛車側が角道の歩を止めなければいけないのか。まったくいまいましいが、さりとてふつうに駒組を進めれば、△8八角成と来るのだろう。それは相手の土俵だ。もう後手の好きな手は指させない。それが「▲6六歩」だった。
私は5筋に位を張り、後手は△1五歩。▲同歩△同香▲1六歩△同香▲同香△1五歩▲2四歩△同角▲2七香△1六歩▲2四香まで、角香交換で私の勝勢になった。
しかしこの必勝の将棋が、だんだん怪しくなっていく。後手氏の勝負手に私が誤る、という展開が続き、終盤では完全にひっくり返っていた。
どうにも指す手がなく、私は目をつぶって▲7七桂。これに△7六銀なら先手が負けだったろう。
本譜は△8六銀(と桂を取る)▲同歩に△5七金と飛車銀両取りに打ってきたが、これには▲4六角の王手金取りがピッタリ。
後手氏は△5五歩だが、▲5七角△5六歩に、▲9三銀があった。△同桂▲同角成△同王▲8五桂、まで、何とか初勝利を挙げることができた。
チームも6勝1敗で勝利。うち1勝は、某氏必敗の将棋を、相手の時計の押し忘れで拾ったもの。チームの勝敗が同じだった場合、勝数で順位が決まるから、1勝でもおろそかには出来ない。この勝ちは大きかった。
今度は少しホッと胸をなでおろして、LPSAブースに向かう。と、松尾香織女流初段が、
「最後のワンツーフィニッシュ、見てましたよー」
とねぎらいの言葉をかけてくれた。うれしい。LPSA女流棋士も、けっこう私たちの将棋を見てくれてるんだな、と思った。
今回も、LPSAの女流棋士が多く見えている。いままで名前を出した意外では藤森奈津子女流四段、神田真由美女流二段、大庭美夏女流1級、大庭美樹女流初段などを拝見した。チームの応援はともかく、ここで自団体をアピールすることが大事だ。
LPSAブースの反対側では、将棋ペンクラブがブースを出している。将棋ペンクラブは今年、社団戦に初参戦した。その繋がりで、ここにも出展したのだ。
LPSAの女流棋士で、将棋ペンクラブへの入会方法が分からない、という人がいた。これは一般の将棋ファンも同じだと思うが、今回出展したことで、謎の団体の全貌が見え、入会者も多かったのではないかと推察する。
受付では、A幹事の奥さんがテキパキと働いている。奥さんと会うのは久しぶりだが、元気そうで何よりだった。奥さんと飲む酒は楽しい。一応旦那さんも交えて、また一献傾けたいものだ。
棋士の姿も何人かあった。石川陽生七段と勝又清和六段が話している。石川七段は、きょうのNHK杯将棋トーナメントで対局をしているはずだ。ちなみに石川七段の予選決勝の相手が、その勝又六段だった。
さて、泣いても笑っても、次が第1日の最終局である。私は気合を入れて、対局に臨んだ。
(つづく)
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6 コメント

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ペンクラブ入会方法 (Guten Tag)
2011-07-01 05:33:21
小生の場合は、知合いの某幹事に
引きずり込まれました。
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優勢なのに惜しい (名無し名人)
2011-07-01 16:16:56
自分なら▽5五角▲4六歩でまだ粘りたい将棋でしたが…

超速はどうなんでしょうか?
ゴキゲンと言う別の呼び方をされるとわけが分からなくなりますが、5筋位取り中飛車と考えると、他にもいろいろ対策がありそうですね。
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5五歩 (さわやか風太郎)
2011-07-01 18:15:53
形勢不明。ごく最近もプロの実戦に現れました。
勿論6六銀もあります。何でも5五銀と出て後手に5四歩を強要する。先手から5四歩を打てれば5八飛と回り「かまいたち」を構築。
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引きずりこむ (一公)
2011-07-02 00:32:05
>Guten Tagさん
将ペンにも強引な人がいるんですね。でも、入会して良かったんじゃないですか?

>名無し名人さん
なるほど、▲4六歩は軽い好手ですね。本譜△5五角以下は、▲1八飛(疑問手)△9九角成▲7七角△同馬▲同桂△2七角▲2八飛△3六角成(△4九角成のほうがイヤだった)▲2四歩△同歩▲2三歩(▲2二角と打つべきだった)△2一香(好手)と進みました。
超速は優秀な対抗法とは思えなくなりました。「5筋位取り中飛車と考えると…」はたしかにおっしゃるとおりで、目からウロコが落ちました。

>さわやか風太郎さん
▲6六銀ですか。佐藤康光先生が指したのを見た記憶があります。ゴキゲン中飛車対策は奥が深すぎます。それを考えるのも楽しいですが。
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強引な人 (Guten Tag)
2011-07-02 20:57:12
某幹事にはいろいろ恩(その後も更に追加)があり、
断れませんでした。
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ペンクラブ (一公)
2011-07-03 00:29:00
>Guten Tagさん
将棋ペンクラブは、皆さまの会費で成り立っています。
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