一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第9回宴会将棋(中編)

2016-04-21 19:53:32 | 宴会将棋

私は風邪をひいているが、左の鼻の穴はスースーしているのに、右の鼻の穴からは絶えず水っパナが出ている。人間の構造は不思議だ。
Taga―Ok戦の向こうのHon―Tod戦は、Tod氏が「ああっ、歩が迫ってきたあ!」と狼狽している。それを受けて「銀を取らなきゃいいのに…」と植山悦行七段がつぶやく。
すなわち▲6六銀と相手の銀を取ったから、手順に△同歩と進まれてしまったのだ。
もう手に負えない。
さてOk氏は長考に沈んでしまった。シビレを切らした植山七段が誘導し、「▲3一角△3二飛▲2四飛△3一飛▲2二飛成(第2図)」が実現した。角を渡すが、見返りに飛車を成って、これが王手飛車取りという寸法だ。
これは次の一手問題としてはかなり有名で、「将棋世界」や「週刊将棋」で何度も出題されたことがある(はずだ)。

以後はOk氏が順当に勝った。Taga氏は消化不良だったろうが、研究将棋だと思って、我慢していただこう。
蛇足ながら、私だったら▲3一角に△3九角と打つ。これでも後手がわるいが、けっこうむずかしい変化もある。
今度はメンバーを替え、Hon―Taga戦とTod―Ok戦。
しばらく目を離していたら、後者はTod氏が居飛車に構え、対抗形となっていた。Tod氏の左美濃は珍しいが、「飯島流引き角戦法です」とTod氏。
これだけ研究熱心なのに、どうして実戦ではトンチンカンな手を指すのだろう。
局面は第1図になった。

級位者同士の戦いとは思えない、格調高い局面である。ここはいろいろな手が考えられるところで、▲7五銀や▲8六歩などがある。
ちなみにいちばん指し手はいけない手は▲7五歩で、△6三銀と引かれて何でもない。7五へは飛角銀が出たいところである。
ここで植山七段が、「プロなら第一感」とつぶやく。しかし私たちは上記の手順を答えるばかりだ。
植山七段の推奨手は▲5五歩だった。仮に△5五同歩なら▲同銀(飛車取り)△7五歩に▲5六飛と回って先手有利。ほかの変化も先手十分だ。
私はこの手にまったく気づかず、とても勉強になった。私とTod氏・Ok氏とはやや棋力が離れているように見えるが、実は私の考えていることは、みんなと大差ないのだ。
実戦は▲5五歩以下、Ok氏がうまく指し、快勝。あまりにもうまく事が運びすぎて、「▲5五歩の威力はスゴイですねえ」と、勝ったOk氏がえらく感心していた。
Hon―Taga戦も終わり、またメンバーを入れ替える。今度はHon―一公戦、Taga―Ok戦だ。
ではHon―一公戦を初手から記してみよう。

▲Hon △一公
第1図までの指し手。▲7六歩△8四歩▲5六歩△3四歩▲6六歩△6二銀▲6八銀△5四歩▲5七銀△4二玉▲7八飛△3二玉▲4八玉△5二金右▲3八玉△8五歩▲7七角△7四歩▲2八玉△4二銀
▲5八金左△5三銀左▲6七金△6四歩▲3八金△9四歩▲1八香△7三銀▲1九玉△8四銀▲9六歩△7五歩▲5九角△6五歩▲7五歩△6六歩▲同銀△6五歩▲7七銀△8六歩(途中図)

▲8六同歩△7五銀▲4八角△8六銀▲8三歩△同飛▲8四歩△7三飛▲5八飛△8七銀成▲7五歩△8八歩▲5五歩△8九歩成▲5四歩△4二銀▲7六銀(第1図)

先手番のHon氏は矢倉風の出だしだったがこれはフェイクで、もちろん三間飛車に振る。▲1八香と上げ、やはり変態穴熊になった。
私は棒銀の作戦。相穴熊はゲップが出そうで指す気がしない。
私は6筋を押さえて△8六歩(途中図)。ここで植山七段が「これは細心の読みが入ってますね。ここ普通に△7五銀だと、▲8六銀(参考1図)がある」と述べた。

私は△8七銀成とし、△8八歩から駒得を狙った。植山七段が「いやな手を指しますねぇ」とつぶやいた。
Hon氏は▲5四歩と取り込み(これは大きい手)、▲7六銀。ここで私が間違えた。

第1図以下の指し手。△6六歩▲同角△同角▲同金△3三角▲5五角△7七成銀▲6五銀△9九と▲7四歩△9三飛▲6四銀△2四香▲7三歩成△5五角▲同飛△3三角▲8三歩成△5五角▲同金
△3五桂▲3六角△5八飛▲8五角△8八飛成▲5二角成△同金▲2八金打△4九角▲5三歩成△2七桂不成▲同金直△3八角成▲同銀△同竜▲4二と△同金▲2八銀△4八金▲2五歩
△同香▲2六歩△3九銀▲2五歩(第2図)

私は△6六歩と突きだしたが、▲同角と取られてビックリした。4八に角がいるのをうっかりしたのだ。私は△6六同角と取るよりないが、▲同金で先手の駒がみんな捌けてしまった。
以下はHon氏に中央を押さえられ、敗勢である。
それでもHon氏の飛車を取り、まだ戦えるかと思ったが、△5八飛がまた誤った。ここは当然、一段目に打つべきだった。
しかしHon氏の▲8五角がやや疑問で、△4九角から△2七桂不成と殺到してみると、けっこう勝負になっている。
▲2五歩の香取りは、後の▲2四歩が詰めろになる可能性があるので、いったん△同香と取る。
「この判断は正しかったかもしれませんね」
と植山七段。
△3九銀に▲2五歩。ここでまた私が間違えた。

第2図以下の指し手。△2七竜▲3九銀△同金▲2七角△3八銀▲同角△同金▲3九銀△同金▲5四桂△4一金▲9三と(第3図)

私は△2七竜と取った。植山七段が「そっちですか…」とつぶやいたが、これが大悪手。当然△2八銀成だった。以下▲同金△3九銀▲3八金△同金で後手が勝ちだった。
実は△3九銀の時、▲2七金(参考2図)で指し切りと読んでしまったのだ。

でも参考2図以下、△2七同竜▲同角△2八金まで後手勝ち。3八の龍が飛車と勘違いしていたのだ。
本譜▲3九銀に△同金も疑問で、△3六竜と角を取るべきだった。
以下は植山七段の、相手側への助言?もあり、2度目の▲3九銀で私が敗勢。▲5四桂を利かされ、▲9三と(第3図)と飛車を取った手が詰めろで、泣きたくなった。
この局面、私は7秒前後で、次の手を指した。

(つづく)
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