一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

沖縄旅行2013・5「再会しない再会」

2013-09-11 00:35:24 | 旅行記・沖縄編
運転手さんがドアを開けてこちらを見る。バスに客は乗っていない。
「これは…?」
「路線バスです」
「長間には行きますか」
「はい」
よく分からぬが、これは助かった。私はよろこんで乗る。タクシー代はあれだが、バス代はもちろん奮発する。今回だって、観光バスを「貸切」である。こんな贅沢な旅はない。
「いま、バスを修理に出しててね。それで観光バスを代用しています」
なるほど…。これは「長北・山北線」だった。そうだ、並行路線でこのバスが走っていた! これは長間の先で左折してしまうが、長間局前で下車する私には、おあえつらえ向きのバスであった。
ちなみに鏡原発は8時48分。私のバス停着が1分でも遅れていたら、ふつうに素通りされているところだった。
長間局前バス停の手前で下ろしてもらい、脇道を入る。しばらく歩くと、長間郵便局が見えてきた。ちょうど9時を過ぎ、早速貯金をする。814円。局内には冷水機がなかったので、水分は補給できなかった。局員さんの愛想がちょっと悪かったが、まあ仕方ない。
再び県道に戻るが、思わぬところで時間を稼げたので、そのまま先へ急ぐ。私の旅行は、本当に歩きが多い。
比嘉入口、加治道、城辺中前とバス停を通過し、城辺小前に着く。約200メートル先に城辺郵便局が見えるが、貯金は1日1回と決めているので、もうしない。
後方に商店があったので、シークァーサーアイス(バー)を買う。バス停の前で味わうが、冷たくて、美味い。幸せだ。
うん? バーに何か書いてある。モトまで食べると、「当たり」だった。現在10時8分。次のバスは10時12分だ。4分しかないが、私はお店まで走る。これがいいオッサンのすることかと思うが、当たったんだから、遠慮なくもらう。
「当たりました!」
と言うと、店のおばあが
「(アイスと)取りかえるかね」
と笑った。
バス停に戻ると、バスが来た。母子が下車。残りの乗客は、最前列の左右にひとりずついるだけだった。私は中ほどの座席に座る。
向かって左側の男性は、よく陽に焼けている。ふたりはカップルだろうか。談笑している。……。……。…あれっ!? …あああっ!!
あ、あの男性、去年私が新城からバスに乗ったとき、吉野のバス停から乗ってきた男性ではないか!? それで私の近くに座り、たしか「財布とデジカメを盗まれた」とか話しかけてきた…。
あの日焼け具合と、ちょっとたどたどしい日本語が妙に怪しくて、彼は宮古島を何度も訪れていることを自慢していたが、宮古島にはどう考えても私のほうが多く訪れていて、応対に困った記憶がある。その彼が、また宮古島を訪れていたのだ。
しかし右の女性は? ふたりはどうも、こちらで知り合ったっぽい。女性が敬語を使っていたからだ。でもあの女性、彼と話していて、楽しいのだろうか。
あの男性、ちょっと私に雰囲気が似ている。ということは、私が若い女性と話していても、相手の女性はちっとも楽しくない、ということになる。そうか、中倉宏美女流二段や島井咲緒里女流二段が私と将棋を指していて楽しそうなのは、彼女らの営業だったのだ。
それはともかく、彼が私に気付いたら、ちょっと面倒なことになる。私は麦わら帽のひさしを目深にした。
バスは最奥の保良まで行く。そこから折り返し、吉野-新城と回る。ダイヤ改正前のルートを逆に行くわけである。
ここでまた難題だ。彼らは海岸に行くべく、吉野か新城で降りる。私は新城で降りる予定だが、彼らも新城で降りたらどうする? どう考えても3人が合流し、「あれ、あんたはどこかで…?」とかいうハナシにならないか。それはまずい。
彼らが吉野で先に降りてくれればいいが、降りる気配がなければ、私が吉野で降りてしまおうか。しかしそれをどの時点で判断すればいいのだろう。
と迷っているうち吉野が近付いてきた。と、彼らが降りる仕度を始めた。よし、それでよい。せいぜいふたりで楽しんでくれればよい。
ふたりはそのまま下車。私はその先の新城で下車した。その際、帰りも彼らと同じバスになると危惧したが、あまり考えないことにした。
新城海岸までは徒歩で約30分。今年の海も綺麗だ。新城海岸は無料で使える休憩所がある。その代わり、その休憩所が経営する出店があるので、そこで食事をするのが暗黙のマナーだ。
もちろん私も利用し、早速海に入る。吉野海岸のサンゴがカラフルで女性的なら、新城のそれは地味で男性的だ。しかしどちらも見応えがあることに変わりはなく、十分海中散歩を楽しめる。
昼食に宮古そば。500円だが肉も入って良心的だ。シュノーケルセットをレンタルしている店に、澤穂希そっくりのお姉さんがいた。今年も彼女は元気だった。
「今年も来ました」
と言うと、
「お久しぶりです」
の返事。しかし彼女、私のことは忘れているな、と思った。
今年もすごい海水浴客だが、休憩所は満席にはならなかった。もし混雑するようなら、ひとりでテーブルを専有している私の肩身が狭くなるが、その心配には及ばないようだ。
また海に浮いて、今度は氷いちごを買う。練乳がサービスでかかって、200円。かき氷の量も多く、これもまた良心的だ。
帰りのバスは16時40分だが、午後3時すぎには海から上がった。
ここ新城海岸はシャワーが無料で使えるからありがたい。ちなみに吉野海岸は、駐車場利用込みで500円かかる。ただ新城海岸のシャワーは個室ではなく屋外に設置されており、男女兼用だ。順番待ちをすると女性の水着姿を眺める羽目になったりするので、誤解を招かぬよう、空いている時間を狙わねばならない。
海とかを眺めて時間をつぶし、順番待ちが途切れた一瞬のスキを衝いて、急いでシャワーを浴びる。オッサンのひとり旅は、いろいろ大変なのである。
海パンのまま、新城バス停まで向かう(これは違反行為)。途中、飲料の自販機があったので、250mlのジョージアオリジナルコーヒーを買う。鉄道旅ではこの銘柄が私の愛飲ドリンクだが、沖縄で会えるとは思わなかった。
新城公民館の入口の前で、時間をつぶす。もちろん中は誰もいないし、カギがかかって、入れない。ここで下を着替える。
ジョージアを飲む。美味い! この半端ない甘さと、コーヒー牛乳にも似たB級感が旅情を駆り立てる。
きょうは女流王座戦の、里見香奈女流四冠と伊藤沙恵奨励会1級との一局が指されている。スマホで中継を見るが、宮古島の僻地から将棋が見られるとは、ありがたい時代になったものである。
将棋は伊藤奨励会1級が優勢に見えるが、かなりむずかしそうだ。
バス停に向かう。バスは定刻を3分遅れで来た。次のバス停は、朝のルートと逆で、吉野である。いままではこのバスが平良へ向かう最終バスだったが、今回のダイヤ改正で、18時30分のバスが、保良止まりから平良営業所まで延伸され、最終バスとなった。だがふつうに考えれば、いまのバスにふたりが乗ってくる可能性が大きい。
私は面倒を避けるため、最前列が特等席なのは承知のうえで、中ほどの席に座った。
吉野バス停が見えてきた。やはりふたりがいた! 彼らは朝と同じ、左右の最前席に座る。と、男性がスックと立ち、こちらを振り向いた。バレたか!?
(つづく)
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