最近ビックリしたのが、25日に指された第96期棋聖戦の挑戦者決定戦で、杉本和陽五段が永瀬拓矢九段を破り、挑戦権を獲得したことだ。
杉本五段は2017年デビューの、振り飛車党の中堅。私にそれ以上の知識はない。
対して永瀬九段は歴戦の雄で、天敵藤井聡太竜王・名人がいなければ、いまごろはタイトルをいくつか持っていたはずだ。
そのふたりが戦えば、当然永瀬九段が勝つと思う。しかし永瀬九段に恨みはないが、王将戦、名人戦と藤井―永瀬戦が続いているので、そろそろ別のカードが見たいところではあった。
だが挑戦者決定戦は中盤まで永瀬九段がリード。ああやっぱり、永瀬九段の棋聖挑戦かと思った。
ところがその後ABEMA を見ると、形勢が逆転して、杉本五段がリードしていた。その後は「50:50」の局面も出現したが、杉本五段の攻めが分かりやすく、指し手が続けば、杉本五段が再びリードすると思った。
果たしてその後は杉本五段がリードを奪い、最後は鮮やかな即詰みで幕。杉本五段、六段昇段を手に入れて、藤井棋聖への挑戦となった。
それにしても、杉本六段の挑戦とは……。第96期の開幕時、杉本六段が挑戦権を獲得するなど、誰が予想しただろう。まして優勝賞金5000万円を争うことになろうとは、本人がいちばんビックリしているのではなかろうか。
せっかくだから、「意外な挑戦者」を、独断で何件か挙げてみる。
1979年 第35期棋聖戦 中原誠棋聖VS淡路仁茂六段
1991年 第32期王位戦 谷川浩司王位VS中田宏樹六段
1997年 第10期竜王戦 谷川浩司竜王VS真田圭一六段
2018年 第3期叡王戦 高見泰地六段VS金井恒太六段
第35期棋聖戦は、「長手数の美学」こと淡路六段が棋聖戦に登場。しかし相手は当時全盛期の中原棋聖で、0勝3敗で敗退した。
第32期の王位戦は、第1局、第2局と中田六段が連勝してあわやと思われたが、以降は谷川王位が底力を発揮し、4連勝で逆転防衛。とはいえ、中田六段の実力を、広く世間にアピールした。
第10期竜王戦は、気鋭真田六段の登場。当時は「茶髪の挑戦者」として話題になった。番勝負は0勝4敗で敗退したが、第1局の「奇手▲4一金」は高く評価された。
第3期叡王戦は、この期からタイトル戦になったため、挑戦者決定戦のカードがそのままタイトル戦七番勝負となった。なおここでは、金井六段のほうが「意外な挑戦者」のウエイトがある。結果は高見六段が4連勝で初タイトルとなった。
ちなみに負けた4棋士は、これが唯一のタイトル戦となっている。
さて、杉本六段はどうだろうか。ただ勝敗はともかく、振り飛車のタイトル戦が見られるのはうれしい。第1局は6月3日。杉本六段の作戦を楽しみにしている。
杉本五段は2017年デビューの、振り飛車党の中堅。私にそれ以上の知識はない。
対して永瀬九段は歴戦の雄で、天敵藤井聡太竜王・名人がいなければ、いまごろはタイトルをいくつか持っていたはずだ。
そのふたりが戦えば、当然永瀬九段が勝つと思う。しかし永瀬九段に恨みはないが、王将戦、名人戦と藤井―永瀬戦が続いているので、そろそろ別のカードが見たいところではあった。
だが挑戦者決定戦は中盤まで永瀬九段がリード。ああやっぱり、永瀬九段の棋聖挑戦かと思った。
ところがその後ABEMA を見ると、形勢が逆転して、杉本五段がリードしていた。その後は「50:50」の局面も出現したが、杉本五段の攻めが分かりやすく、指し手が続けば、杉本五段が再びリードすると思った。
果たしてその後は杉本五段がリードを奪い、最後は鮮やかな即詰みで幕。杉本五段、六段昇段を手に入れて、藤井棋聖への挑戦となった。
それにしても、杉本六段の挑戦とは……。第96期の開幕時、杉本六段が挑戦権を獲得するなど、誰が予想しただろう。まして優勝賞金5000万円を争うことになろうとは、本人がいちばんビックリしているのではなかろうか。
せっかくだから、「意外な挑戦者」を、独断で何件か挙げてみる。
1979年 第35期棋聖戦 中原誠棋聖VS淡路仁茂六段
1991年 第32期王位戦 谷川浩司王位VS中田宏樹六段
1997年 第10期竜王戦 谷川浩司竜王VS真田圭一六段
2018年 第3期叡王戦 高見泰地六段VS金井恒太六段
第35期棋聖戦は、「長手数の美学」こと淡路六段が棋聖戦に登場。しかし相手は当時全盛期の中原棋聖で、0勝3敗で敗退した。
第32期の王位戦は、第1局、第2局と中田六段が連勝してあわやと思われたが、以降は谷川王位が底力を発揮し、4連勝で逆転防衛。とはいえ、中田六段の実力を、広く世間にアピールした。
第10期竜王戦は、気鋭真田六段の登場。当時は「茶髪の挑戦者」として話題になった。番勝負は0勝4敗で敗退したが、第1局の「奇手▲4一金」は高く評価された。
第3期叡王戦は、この期からタイトル戦になったため、挑戦者決定戦のカードがそのままタイトル戦七番勝負となった。なおここでは、金井六段のほうが「意外な挑戦者」のウエイトがある。結果は高見六段が4連勝で初タイトルとなった。
ちなみに負けた4棋士は、これが唯一のタイトル戦となっている。
さて、杉本六段はどうだろうか。ただ勝敗はともかく、振り飛車のタイトル戦が見られるのはうれしい。第1局は6月3日。杉本六段の作戦を楽しみにしている。
ところで、若島先生の観戦記拝読させて頂きました。ちょっとだけ抜粋させて頂きます。
「8歳で美しい曲を書いたモーツァルト、3歳で複雑な計算をこなしたガウス、そして11歳で強敵をなぎ倒したモーフィー(チェスの天才児)という神童のリストに藤井を加えても異論は出ないだろう。
名人戦第1局の驚きは、詰将棋選手権で10歳の藤井に初めて会った時以来。
藤井のずぬけた終盤力は、曲線を描きながら、最後の一瞬には美しい直線が描かれる、それが藤井以外の手では描けない署名である。」
若島先生の文章が美しくて、永久保存版です。
杉本先生はヘンなプレッシャーがない分、面白い将棋になるのではないでしょうか。振り飛車党のタイトル戦は久しぶりなので、楽しみです。
若島先生の観戦記は、詰将棋の大家である若島先生にしか書けない名文ですね。