第94期棋聖戦挑戦者決定トーナメント・準決勝の組み合わせは、渡辺明名人VS佐々木大地七段、永瀬拓矢王座VS佐々木勇気八段となった。
タイトル保持者に20代の強豪が挑む図で、後者は王座VS A級だが、前者はどうか。佐々木七段は七段なれど、順位戦C級2組所属なのである。
だが佐々木七段は棋士生活7年を経て、通算勝率はこの対局の前まで0.7057(259勝108敗)。しかも13連勝中で、いったん割った7割を回復するという凄まじさだった。
それなのにC級2組なのが棋界七不思議のひとつで、当ブログでも記事にしたことがある。
ともあれそんなわけで、この4名の誰が挑戦権を得ても、まったく不思議はなかった。
その準決勝2局は20日に行われた。
さて渡辺名人VS佐々木七段の対戦成績は、2局戦って佐々木七段の2勝。どちらも王位戦だが、佐々木七段は2018年の第59期から6期連続、挑戦者決定リーグに属しているのだ。
王位戦リーグは毎期4名×2が陥落する。そこで6期連続在籍は隠れた大記録で、ここにも佐々木七段の実力が見て取れる。だから本局もむしろ、佐々木七段に乗りたいくらいであった。
将棋は相掛かりとなったが、佐々木七段がうまくリードを拡げる。終盤は怪しいところもあったが佐々木七段が勝ち切り、第45期棋王戦に続き、2度目の挑戦者決定戦に進出した。
もういっぽうの永瀬王座VS佐々木八段は、ここまで永瀬王座の4勝、佐々木八段の1勝。これは永瀬王座ノリで、実際本局も、永瀬王座が勝った。
かくて、挑戦者決定戦は永瀬王座VS佐々木七段となった。永瀬王座はタイトル戦の常連で、棋聖戦においても、何度も五番勝負に登場したイメージがある。実際は前期に登場しただけだが、今期で4期連続の、挑戦者決定戦進出。これじゃあ棋聖戦のイメージが付くわけだ。
そして挑戦者決定戦は23日に行われた。
将棋は佐々木七段の先手で、相掛かりとなった。▲7八金・△3二金がお互いまっすぐ上がるという奇異な図になったが、両者からすれば当然の進行なのだろう。
中盤で、佐々木七段がやや指し易くなった。佐々木七段がこのリードを拡げるか、永瀬王座が逆転するか、が見所となった。
結果は前者になり、佐々木七段がうまくリードを拡げていった。
永瀬王座は時間を使い、もうほとんど持ち時間が残っていない。この展開は先の叡王戦第2局のようで、言っちゃあなんだが、プロも悪くなってから考えるのだ。
ABEMAの形勢バーは、大きく佐々木七段側に伸びている。しかし永瀬王座も嫌味を残し、佐々木七段をラクにさせない。少なくともアマ同士なら、十分逆転の目はある。
実際佐々木七段も緩手を連発し、イヤな筋も出てきた。
しかし、そこまでの佐々木七段のリードが大きかった。佐々木七段はもたつきながらもゴールに手を掛け、文字通り刀折れ矢尽きた永瀬王座が投了した。
いや、これは大変な結果になった。C級2組の棋士がタイトル挑戦を決めたのだから、大殊勲だ。破った相手も名人と棋聖が含まれているのだから、申し分ない。
棋聖戦でC級2組の挑戦者が登場したのは、1992年・第61期の郷田真隆王位(当時)以来、31年振り。しかも佐々木七段はフリークラスを経ているから、史上初の快記録となった。
さて、佐々木七段の対藤井棋聖戦は、2勝2敗。師匠の深浦康市九段も藤井棋聖に対し3勝1敗だし、この師弟はよく戦っている。この五番勝負も、大いに期待できる。
ちなみに佐々木七段の抱負は「フルセットにしたい」だった。
竜王戦の広瀬章人八段みたいなコメントだが、「一番勝負」まで持っていけば、最終局は何が起こるか分からない。
第1局は6月5日、ベトナムで行われる。
タイトル保持者に20代の強豪が挑む図で、後者は王座VS A級だが、前者はどうか。佐々木七段は七段なれど、順位戦C級2組所属なのである。
だが佐々木七段は棋士生活7年を経て、通算勝率はこの対局の前まで0.7057(259勝108敗)。しかも13連勝中で、いったん割った7割を回復するという凄まじさだった。
それなのにC級2組なのが棋界七不思議のひとつで、当ブログでも記事にしたことがある。
ともあれそんなわけで、この4名の誰が挑戦権を得ても、まったく不思議はなかった。
その準決勝2局は20日に行われた。
さて渡辺名人VS佐々木七段の対戦成績は、2局戦って佐々木七段の2勝。どちらも王位戦だが、佐々木七段は2018年の第59期から6期連続、挑戦者決定リーグに属しているのだ。
王位戦リーグは毎期4名×2が陥落する。そこで6期連続在籍は隠れた大記録で、ここにも佐々木七段の実力が見て取れる。だから本局もむしろ、佐々木七段に乗りたいくらいであった。
将棋は相掛かりとなったが、佐々木七段がうまくリードを拡げる。終盤は怪しいところもあったが佐々木七段が勝ち切り、第45期棋王戦に続き、2度目の挑戦者決定戦に進出した。
もういっぽうの永瀬王座VS佐々木八段は、ここまで永瀬王座の4勝、佐々木八段の1勝。これは永瀬王座ノリで、実際本局も、永瀬王座が勝った。
かくて、挑戦者決定戦は永瀬王座VS佐々木七段となった。永瀬王座はタイトル戦の常連で、棋聖戦においても、何度も五番勝負に登場したイメージがある。実際は前期に登場しただけだが、今期で4期連続の、挑戦者決定戦進出。これじゃあ棋聖戦のイメージが付くわけだ。
そして挑戦者決定戦は23日に行われた。
将棋は佐々木七段の先手で、相掛かりとなった。▲7八金・△3二金がお互いまっすぐ上がるという奇異な図になったが、両者からすれば当然の進行なのだろう。
中盤で、佐々木七段がやや指し易くなった。佐々木七段がこのリードを拡げるか、永瀬王座が逆転するか、が見所となった。
結果は前者になり、佐々木七段がうまくリードを拡げていった。
永瀬王座は時間を使い、もうほとんど持ち時間が残っていない。この展開は先の叡王戦第2局のようで、言っちゃあなんだが、プロも悪くなってから考えるのだ。
ABEMAの形勢バーは、大きく佐々木七段側に伸びている。しかし永瀬王座も嫌味を残し、佐々木七段をラクにさせない。少なくともアマ同士なら、十分逆転の目はある。
実際佐々木七段も緩手を連発し、イヤな筋も出てきた。
しかし、そこまでの佐々木七段のリードが大きかった。佐々木七段はもたつきながらもゴールに手を掛け、文字通り刀折れ矢尽きた永瀬王座が投了した。
いや、これは大変な結果になった。C級2組の棋士がタイトル挑戦を決めたのだから、大殊勲だ。破った相手も名人と棋聖が含まれているのだから、申し分ない。
棋聖戦でC級2組の挑戦者が登場したのは、1992年・第61期の郷田真隆王位(当時)以来、31年振り。しかも佐々木七段はフリークラスを経ているから、史上初の快記録となった。
さて、佐々木七段の対藤井棋聖戦は、2勝2敗。師匠の深浦康市九段も藤井棋聖に対し3勝1敗だし、この師弟はよく戦っている。この五番勝負も、大いに期待できる。
ちなみに佐々木七段の抱負は「フルセットにしたい」だった。
竜王戦の広瀬章人八段みたいなコメントだが、「一番勝負」まで持っていけば、最終局は何が起こるか分からない。
第1局は6月5日、ベトナムで行われる。