一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第33期女流王位戦第1局

2022-04-29 00:30:25 | 女流棋戦
27日は第33期女流王位戦第1局が行われた。里見香奈女流王位に西山朋佳白玲・女王が挑戦する形で、現在進行中の第15期マイナビ女子オープンとは逆の立場だ。
里見女流王位は昨年、西山女流二冠から女流王座と女流王将を奪取したのに、加藤桃子女流三段に清麗、伊藤沙恵女流三段に女流名人を奪われてしまった。これは想定外だっただろう。
西山女流二冠は女流棋士2年目だが、昨年のいまごろは三冠王だった。そこから女流王座と女流王将を取られるとは、自身の青写真にはなかっただろう。
しかも奪取者の里見女流王位が他者に清麗と女流名人を手渡すとは、西山女流二冠としては納得がいかなかったと思う。
マイナビ女子オープンは現在1勝1敗。女流棋界では実力が抜きん出ているふたり、ダブルタイトル戦は宿命みたいなもので、どっちにしても勝つしかない。
女流王位戦は西山女流二冠の先手で、相三間飛車となった。西山女流二冠は里見女流王位の飛車の位置次第で居飛車に戻すこともあるが、本局はこの筋で戦っていくようだ。
将棋は持久戦になり、戦っているうちに双方右矢倉になった。
ここからじっくりした戦いになったが、91手目▲6五桂(第1図)が気持ちいい桂ハネ。左桂がこう捌ければ、先手に不満はない。

第1図から△6五同金▲同銀△5七歩成は、▲5三角成で先手の攻めが一手早いのだろう。
よって里見女流王位は△5五飛と浮いたが、そこで▲6三歩が玄妙な一手。△同金引とさせて損をしているようだがそこはそれ、深い読みがあるに違いない。
そこからも見応えのある攻防が展開されたが、109手目▲5七銀(第2図)が手堅い受け。西山女流二冠くらいの剛の者になると、受けも「鋼鉄」の気がする。

将棋はさらに難解度を増し、一手指した方がよく見える展開。実際、そうだったと思う。
そんな207手目、▲6八金(第3図)がまた最強の一手。これに△3六馬は▲3七香があるから、これで馬が詰んでいる。

よって里見女流王位は△3七歩と攻めたが、西山女流二冠は▲5八金と馬を取り、まだ難しいながら、先手が一息ついた形となった。
最後は西山玉が敵陣に抜け出し、入玉確定。対して里見玉は△8二のうえ駒数も足りず、潔く投了となった。
総手数239手は、女流タイトル戦の最長手数とのこと。両者の負けたくない思いが出た、アツい一局だった。
さてこれで両者の対戦成績は、里見女流王位14勝、西山女流二冠16勝となった。マイナビ女子オープンとの絡みもあり、今後の星の予想はまったく立たない。ただ、一局でも多くふたりの対戦を見たいと思う。
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