一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

山口絵美菜さん、退会

2022-04-13 01:41:34 | 女流棋士
このところビックリした話題といえば、山口絵美菜女流1級が、3月30日付で女流棋士を引退、女流棋士会を退会してしまったことだ。まったくの寝耳に水で、本当に驚いた。
山口さんは2014年10月、女流3級でデビュー。2016年4月に女流2級に昇級した。いま思えば、この昇級ペースがやや遅かった。
2016年8月に女流1級に昇級したが、そこからは規定の成績を取れず、女流1級のまま退会となったわけだ。
山口さんについて詳しいことは知らないが、京都大学卒ということは知っている。この学歴は人生を生きていくことにおいて大きなアドバンテージで、履歴書に「京都大学卒」とあれば、たいていの企業に就職できる(実際のところは知らんが)。
話を戻すと、山口さんは文学部だったがそれが評価されたのか、何年か前から毎日新聞でA級順位戦の観戦記者を務めた。女流の観戦記者は、我が湯川恵子さんがパイオニアだが、ほかは元女流棋士の藤田麻衣子さんが、竜王戦や棋聖戦で熱筆をふるっていた。最近は諏訪恵子さんが頑張っている。
いっぽう女流棋士では、渡辺弥生女流初段や藤井奈々女流初段の名が浮かぶ。女流の観戦記者は男性のそれと微妙に視点が違い、棋士の描写も繊細だ。山口さんも文章に粗削りな面はあったが将来が楽しみと、将棋ペンクラブ仲間での期待も高かった。
今回の退会にあたり、山口さんは「ほかにやりたいことができた」の談話を残している。山口さんはまだ27歳だが、アナウンサーの世界に活躍の場を見出して、女流棋士を廃業した竹俣紅さんとイメージがダブる。となれば山口さんも、観戦記者としてこの世界に残ることはしないだろう。そもそも「退会」とは、この世界との決別を意味する。
将棋界は貴重な書き手を喪ったわけだが、前述の通り、京大を卒業した才能を、将棋界のみで埋もれさせてしまっていいのか、という思いはある。
たとえば羽生善治九段が七冠を制覇したとき、私はその頭脳を、世界の進歩・発展のために活用できないか? と考えたものだ。
その後羽生九段は著名な学者と対談とかしたが、その程度で終わってしまったようである。
かつて石飛英二さんが、若くして奨励会三段まで昇りながら、医者を志して奨励会を辞めたことがあったが、稀有な才能を将棋以外に使うことがあってもいいわけである。
山口さんも、将棋界という小さな世界から、よりグローバルな世界に挑戦するに違いなく、私はその意向を支持したいのである。
私はヒトのSNSはほとんど見ないが、山口さんが近況を知らせてくれたらうれしい。
山口さん、いろいろお疲れ様でした。
コメント
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