一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

異なる見解

2020-09-15 00:14:22 | 将棋雑記
「将棋世界」10月号(9月3日売り)の表紙は藤井聡太二冠。8月19日・20日に行われた第61期王位戦第4局に藤井棋聖が木村一基王位に勝ちストレート奪取したが、編集部は突貫編集で第4局をリポートし、表紙も藤井二冠とした。
その労力は買うが、あおりを食ったのが、渡辺明新名人だ。8月14日・15日の第78期名人戦第6局で豊島将之竜王から名人を奪取したが、それが霞んでしまった。通常なら表紙も飾るところだが、いまの将棋界は藤井二冠を中心に回っている。渡辺名人は巡り合わせが悪かった。

話変わって第33期竜王戦・決勝トーナメントのレポートである。第1図は▲久保利明九段(1組3位)VS△佐々木勇気七段(2組優勝)。
第1図は後手玉が▲2二銀以下の詰めろ。ここで実戦は△3六銀▲同玉△4五角▲4七玉△3四金としたが、▲2四桂で先手勝勢となった。
そこで本誌では、第1図から△5六歩を推奨する。以下▲6四飛△3六歩▲同玉△4五銀▲2七玉△3六角▲3八玉△6四歩(参考図)で「後手の勝ち筋だった」と記していた。

読売新聞も3日からこの将棋を掲載していて、池田将之氏(元奨励会三段)の筆による9日の最終第7譜は、第1図の2手前が指し始め図だった(第2図)。

図面が逆になるが、第2図から△3三金▲3四歩と進んで、第1図になった。
第2図で佐々木七段は△5九角を読んでいたが、▲4八歩△6八角成に▲2二銀から詰むことが分かり、「『▲2二銀で詰むのは痛すぎました』と悔しさをにじませた」という。
だが第1図から△5六歩の王手には、一言も触れていなかった。△5六歩は感想戦でも検討にのぼったと思われるが、それでも後手負け、という結論になったのだろうか。
公式戦はいまどき、AIに掛けるものであろう。第1図の最善手は何だったのだろう。
ちなみに同日の夕刊「なるほど囲碁将棋」は、竜王戦の海外対局をAIが診断する、という企画の最終7回目で、今週は2014年・第27期の森内俊之竜王VS糸谷哲郎七段の将棋を取り上げていた。これは当時「敗因が不明」とされていたが、AIに掛けると、最善手らしき手が見つかった。
ここからも分かる通り、終盤の解はひとつで、現代ではそれが高い確率で見つかる。将棋世界記者氏にも池田氏にも、私は十分敬意を払っている。そのうえで、冒頭の将棋の終盤はどちらが勝ちなのか。AI抜きで研究すると、相当チカラがつくと思う。
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