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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

4月27日のオプション・大野七段との指導対局(前編)

2019-05-11 00:07:45 | 女流棋士の指導対局会
川口のブックオフには、大山本はなかった。というより、将棋本そのものが少なかった。やはり大山本は、町の古書店で見つけるべきものだろう。
大野教室での飯野愛女流初段との指導対局のあと、大野八一雄七段との指導対局にも申し込んでいた。16時の回からで、4面指しだった。
「大沢さんとはずいぶん久しぶりだねえ。半年くらい経った?」
「1年以上経っていると思います」
前述の通り、指導対局にはすっかりご無沙汰しており、合わせる顔がない。
「飯野さんとの将棋はどうだった?」
「はい、緩めていただきました」
「……」
そこに「大野先生、カタキを取ってください!」
と、彼方の飯野女流初段から懇願が入った。
「よおし!」
と気合を入れる大野七段。アマチュア相手に気合を入れるとは、何だかあべこべである。
手合いは左から、平手、飛車落ち、角落ち(私)、二枚落ちだった。左の平手氏は飯野女流初段に平手を所望した人で、腕に覚えがあるのだろう。
飛車落ち氏は、14時の回で私の右にいた人だ。やはり本局も溜息をつきまくるのだろう。

△七段 大野八一雄(角落ち)
▲一公

初手からの指し手。△6二銀▲7六歩△5四歩▲5六歩△5三銀▲2六歩△4二玉▲2五歩△3二玉▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2五飛(第1図)

私は居飛車で行くとして、作戦はかなり迷った。持久戦で手厚く行くか、浮き飛車で軽快に行くかである。でも持久戦だとジリジリ圧迫されそうなので、ここは急戦で行くことにした。
第1図の▲2五飛が、一公流である。

第1図以下の指し手。△8四歩▲7八金△4二金▲4八銀△4四歩▲3六歩△3四歩▲3七桂△4三金▲6九玉△3三桂▲2六飛△8五歩(第2図)

私の▲4八銀に、大野七段は△4四歩と突いた。この▲2五飛戦法は上手の飛車との交換を目論むものだが、実は右桂をポンポン跳ねて、△4四銀と釘づけにする狙いもある。
今ではコンピューターが早い桂跳ねをやるが、私は前からその手を有力視していた。が、大野七段には私の作戦を見透かされており、△4四歩にその一端が現れていた。
戻って私の▲5六歩、▲4八銀が不急で、代えて▲3六歩なら、2手早く攻撃態勢が敷けた。「角落ちは位負けせず」の格言は、▲2五飛戦法には不要なのだ。この辺の私は、指し手に一貫性がなかった。
△3三桂で、▲2五飛の移動も余儀なくされてしまった。

第2図以下の指し手。▲6八銀△8六歩▲同歩△同飛▲9六歩△8二飛▲8七歩△9四歩▲5九金△5二金▲7七銀(第3図)

△8五歩に▲7七角はやはり一貫性がないのだろう。大野七段にも、あっちこっち欲張らないほうがいい、とアドバイスを受けたことがある。
△8六歩▲同歩△同飛。このあたりが、下手が動くチャンスなのだが、せいぜい▲9六歩くらいしかない。△8二飛には▲8七歩と収め、これでは上手が1歩を持って満足してしまった。
私の▲5九金はこんなものだろう。しかしこのあとどう動いていいものか、まったく構想が立てられなかった。
▲7七銀は次に▲7九角で、あわよくば1筋攻めをするつもりだったが……。

第3図以下の指し手。△2二銀▲6六銀△6四歩▲5五歩△同歩▲同銀△6三金▲6六銀△5四歩▲7九角△7四金(第4図)

△2二銀と備えられ、端攻めに行く気が失せた。私は▲6六銀とし、中央に比重を移す。
▲5五歩から1歩を駒台に乗せ、これはこれでまずまずだと思った。
△7四金は、次に△8五金の狙いだろうか。

第4図以下の指し手。▲7七桂△6二飛▲3五歩△同歩▲同角△3四歩▲5七角△8二飛▲7五銀△5五歩(第5図)

平手氏の将棋は角換わり。平手はこの戦法が全盛だ。
私は▲7七桂と跳ねた。若干形は悪いが、これで上手金の動きをだいぶ制約することができた。
△6二飛にはよほど▲7五歩か▲7五銀としたかったが、これは下手の切り札だ。私は▲3五歩とし、もう1歩を駒台に乗せると同時に、飛車の横利きも通した。この辺り、結構うまく指したんじゃないかと思った。
ただ▲5七角が、結果的にどうだったか。大人しく7九に引く手はあったかもしれない。
△8二飛には、ついに▲7五銀とぶつけた。

第5図以下の指し手。▲5二歩△4二銀▲7九角△5二飛▲5七歩△4五桂▲同桂△同歩▲9七角△7五金▲同歩(第6図)

第5図で▲7四銀△同歩▲7五歩△同歩▲8六飛が利けばうまいが、冷静に△8四歩と応じられると、7六のキズが大きすぎる(そこで▲7五角は、対局中は視野に入っていなかった)。▲7五銀と△7四金は、お互い取ってもらいたいのだ。
私は手筋風に▲5二歩と垂らした。いったん△8二に回った飛車で取れないだろうから、と金は確約と思いきや、△4二銀と引かれて参った。今度は△5二飛から△5六歩の突き出しが厳しい。それで▲7九角と引いたが、これではさっきの▲5七角が途中下車になってしまった。
△5二飛に▲5七歩。こんな歩を打つくらいなら自爆して負けたほうがマシだが、そうも行かない。
△4五桂に▲同桂もシャクに障るが、△3七桂成▲同銀の形も自陣が弱体化する。
ここで▲8三桂を考えたが、9一に成桂を作ってもダメ、が鈴木大介九段の教えである。
よって▲9七角と出た。これは次に▲7四銀△同歩▲6四角があるので△7五金の一手だが、これの取り方が難しい。▲7五同角と取りたいのはヤマヤマだが、飛車が8六に転回できない。そこで▲7五同歩と取り、次の▲8六飛を目指したのだが……。

第6図以下の指し手。△5六歩▲同飛△同飛▲同歩△5八歩▲同玉△3六桂▲5五桂△4四金(第7図)

大野七段の△5六歩をうっかりした。まさか上手から飛車交換を挑んでくるとは思わなかった。
確かに上手の守りは金銀3枚。こちらは駒損はしていないが、▲9七角がまったく働いていない。その一瞬を衝き、上手が強気に来たわけだ。
飛車交換後の△5八歩。中原囲いを崩す手筋で、▲5二歩よりはるかに利いている。やむない▲同玉に△3六桂。気が付けば、下手が大変な将棋になってしまった。
私は▲5五桂を利かしたが、△4四金に怯む。

(つづく)
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