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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第10回武蔵の国 府中けやきカップ(2)

2017-04-06 12:46:05 | LPSAイベント
会場には何人か知った顔がある。ここまでTag氏、LPSAファン氏、Sak氏を確認した。
準決勝の第1局は上川香織女流二段VS渡部愛女流初段。解説は引き続き中座真七段、聞き手は中倉宏美女流二段である。宏美女流二段、久しぶりの平安顔だ。
将棋は後手番上川女流二段のゴキゲン中飛車になった。ポンポンとテンポよく進み、何と相穴熊になった。渡部女流初段は時折用いるが、上川女流二段のそれは珍しい。
後方では蛸島彰子女流五段と堀彩乃女流2級による指導対局が始まっていた。そういえば今日3月19日は蛸島女流五段71歳の誕生日である。今日はイベントのどこかでそれに触れるのだろうか。
指導対局の横にはLPSAグッズが並べられている。その近くにパソコンがあり、将棋ソフトと対戦できるようだ。
しかし私はほうぼうを見て回る余裕はなく、詰将棋の第3問に取り組んでいる。いやはやこれがむずかしい。あーでもないこーでもないと考えるが、まったく詰み筋が浮かばない。しかもこれを頭の中で解くのだから大変だ。
ステージは中盤の激戦になっていた。ここで聞き手が島井咲緒里女流二段と交代した。
中座七段が島井女流二段に形勢を聞く。渡部女流初段が▲7一角成と角金交換に出たが、これが好手だったという。相穴熊戦は角より金がいいらしい。
中座七段「なるほど明快ですね。解説を代わってもらおうかな」
私の詰将棋のほうは、金打ちの好手を発見した。詰将棋が長手順の場合、詰め上がりは分からずとも、途中までの手順で「これが作意だ」という手ごたえがあるものだ。この詰将棋が何手詰みかは分からぬが、11手目までは合っているはずだ。
将棋は渡部女流初段がうまく攻めをつなげている。私のほうは詰み上がりまでもう少しだ。
ところで岡本眞一郎氏といえば、手順の急所で「不成」を出現させるのがお約束だ。「岡本のナラズ、ナラズの岡本」というくらいのものである。本局でいえば△2七銀がそうで、これが「△3六銀不成」となる順が必ず出てくるはずだ。
それをヒントにこねくりまわすと、何とか解けたっぽかった。
手数を数えると29手で、詰め上がりは「+」。これをプラスと読むのか、じゅうと読むのか。第2問の「×」をローマ数字の10とすれば、これも10と読むべきだろう。とすると、第1問のあぶりだしも「10」なのか?
いやいやそれはないだろう。第1問はあれで立派に詰み上がっている。それなら「16X十」?
まったく訳が分からない。
将棋は渡部女流初段が勝った。まずは快勝というべきだろう。
後方の指導対局はまだ続いているが、これが終われば指導対局の第2弾がある。もし空きがあれば申し込みたいが、どうするか。第1問を再度考えるか?
昨年は大庭美樹女流初段に指導対局をお願いしたが、同時に詰将棋を考えていたため、大庭女流初段に吹っ飛ばされた。しかしあれでは指導の先生に失礼だったし、指導料ももったいなかった。
指導対局は空きがあるようである。今回は対局に専念することにし、詰将棋はこの解答のまま投函した。
ステージでは準決勝第2局が始まった。対局者は中倉宏美女流二段と島井咲緒里女流二段。かつてのアイドル対決である。解説は上川女流二段と渡部愛女流初段。
将棋は先番島井女流二段の四間飛車穴熊に、宏美女流二段の銀冠となった。ちなみにふたりは前年のけやきカップでも顔を合わせており、その時は島井女流二段が中盤に好手を放ち快勝した。
後方の蛸島女流五段の指導対局には、Tag氏が挑んでいた。彼の声がするが、対局が終わったのだろう。勝ったのか、負けたのか。
こちらは宏美女流二段が穴熊に潜っていた。これで2局連続の相穴熊。女流棋士はホント、穴熊が好きだ。
解説は上川女流二段から堀彩乃女流2級にバトンタッチした。蛸島女流五段と堀女流2級の指導対局が終わったからで、今度は上川女流二段が指導対局に入るのだ。
将棋は終盤にさしかかっているが、駒得で穴熊を薄くしている宏美女流二段が勝勢に近い。
私の指導の先生は、中座七段となった。上川女流二段は3面指しだが、中座七段はさすがの5面指しである。右向こうの席にSak氏の姿があった。
私は角落ちでお願いする。

初手からの指し手。△6二銀▲7六歩△5四歩▲2六歩△4二玉▲2五歩△3二玉▲2四歩△同歩▲同飛△5三銀▲3六歩△8四歩▲3七桂(第1図)

植山悦行七段と大野八一雄七段以外の男性棋士との指導対局は久しぶり。中座七段に勝てるとは思えないが、駒落ち将棋を数多く教わっていることで、上手を必要以上に恐れなくなったのはひとつの強みである。
中座七段の手つきは軽く、ポン、という感じで指す。私のほうは、相手変われど指し手は変わらずで、▲3六歩と早めに突き、▲3七桂と跳ねた。

第1図以下の指し手。△8五歩▲7八金△8六歩▲同歩△同飛▲9六歩△8二飛▲7七桂△7四歩▲2五飛(第2図)

△8六同飛に▲8七歩はおもしろくないので、▲9六歩と突いた。後に▲9七角と上がる手を含みにしている。
△8二飛に▲7七桂。桂は後ろに行けないのに、早くも2枚の桂が跳ねてしまった。もう後戻りはできないということだ。
中座七段の△7四歩はやっぱり、という手で、下手が▲7五歩と突ければひねり飛車になり、下手の構想どおりになる。
さればと私は、緊張しながら▲2五飛! 本家相手にこの手を指してしまった。

(つづく)
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第10回武蔵の国 府中けやきカップ(1)

2017-04-05 01:15:03 | LPSAイベント
3月19日(日)は、東京・府中の「第10回武蔵の国 府中けやきカップ(将棋女流棋士・第64回1dayトーナメント)」を見に行った。
当日朝、新宿から京王線に乗る。昨年は下車駅を勘違いし、府中の手前の東府中で降りてエライ目に遭った。今年の開催場所は府中駅から徒歩1分の「府中グリーンプラザ」。これは間違いようがない。
開場10時、開演10時30分。私は10時25分ごろ電車を降りたが、グリーンプラザのありかがハッキリしない。
同じ電車で来たと思しき愛棋家もいたが、こちらからは声を掛けたくない感じである。
その後、愛棋家のひとりがエレヴェーターを見つけ、私は同時にすべり込んだ。
対局会場は6階のはずだが、ボタンは5階が押されたままだ。自分の記憶違いかと思い、ほかのみなといっしょに5階で降りたが、ホールが小学生の団体で埋め尽くされ、私はあんぐりした。ここは「けやきキッズ」の団体戦だったようだ。
気を取り直して6階に上がると、すでに開会式は始まっていた。関係者氏がスピーチをしている。その後方に中倉宏美代表理事(女流二段)、蛸島彰子女流五段、上川香織女流二段、島井咲緒里女流二段、渡部愛女流初段、堀彩乃女流2級、中座真七段の姿が見えた。なお、大庭美樹女流初段は5階にいた。
室内をうろうろしていたら、係の人がチラシ一式をくれた。中には岡本眞一郎氏の詰将棋が入っていた。全3題で、詰め上がり図があぶりだしになっているのがウリだ。女流棋士の対局を拝見するのも楽しいが、それ以上にこの詰将棋を解くのが楽しいのだ。
今年の詰将棋(一般向け)は以下の3題だった。



一見して難題である。とくに第3問などは△6八の成桂がアナーキーだ。だがこれらを解くことが、岡本氏の苦労に報いる唯一の手段である。
10時52分、ステージでは渡部女流初段VS堀女流2級の一戦が始まった。1回戦の第1局で、解説は中座七段、聞き手は上川女流二段である。もう一局の蛸島女流五段VS島井女流二段戦は、別室で行われる。そして恒例の優勝者予想であるが、今年の投票は午後1時まで。ということは、この2局を見てから投票できるわけだが、前者の一局が事実上の優勝決定戦だから(失礼)、半分当たったようなものだ。
中座七段「ここは昨年の会場より狭いのでしょうか。そのぶん女流棋士が近くで見られますね」
客席は3割埋まっているというところ。もう少し告知をうまくすれば入場無料ということもあり、もっと客が入ったと思う。
さらに中座七段が、堀女流2級の昇級を祝う。LPSAのみんなもよろこんでいたそうだが、ご本人は平然としたものだったらしい。
ちなみに渡部女流初段は白のスーツ、堀女流2級は黒のスーツにパンツである。堀女流2級、ちょっとダーティーな感じで頼もしい。彼女はよくぞLPSAに入ってくれたと思う。私は感謝するとともに、今後の活躍を期待するばかりである。
将棋は相中飛車になった。こちらもおもしろそうだが、私はさっきから詰将棋に取り組んでいる。第1問は比較的簡単に解けた。

だがこのあぶりだしが分からない。あえて読めば「16」か? 収束もだらだらしていて、これが本当に作意なのだろうか。しかも13手かかったが、1問目にしては長くないか?
私は再検討する。しかしどこにも瑕疵はないと思う。
将棋はむずかしい中盤戦にさしかかっていた。いわゆる手将棋で、詰将棋と交互に見ているから、私はまったく手が読めない。しかし熱戦になりつつあることは確かだ。
「最近の女流棋士は将棋がホントに強くなりましたね」
と中座七段が感心していう。「将棋以外で強いのは分かってましたけど」
勇気のあるコメントで、場内から微苦笑が起こった。
別室の蛸島女流五段VS島井女流二段戦を見に行く。が、室内には客がいない。
もし島井女流二段が独身だったらかぶりつきで観戦しているところだが、現状では詰将棋の解答を優先する。
ホールに戻ってうんうん唸ると、詰将棋の第2問が解けた。手数は15手で、あぶりだしは「×」。これはバツなのか、掛けるなのか、エックスなのか。ローマ数字で×は10だったか?
けやきカップの詰将棋は、3つのあぶりだしでひとつの意味をなすものが多い。とすれば「16掛ける…」と読めるが、どうもハッキリしない。
やはり第1問の答えがおかしいのだろうか。
将棋は渡部女流初段が勝った。堀女流2級も頑張ったが、渡部女流初段が着実に網を絞った感じだった。
大盤での感想戦が終わり、昼食タイムとなった。私は渡部女流初段の優勝に○をつけ、投函する。
昼食だが、昨年はどこに入るか迷って、結局缶コーヒーに留まった記憶がある。今年はどこかで食べたいと思う。
今年も相当迷ったのだが、府中駅の高架下に、シャレたうどん屋を見つけたので、入った。
中はほぼ満席だったが、男一人なので、カウンターに座れた。注文したのは日替わりランチで、冷やしうどんにミニ海鮮丼がついていた。
待っている間も、詰将棋を解く。よく考えたら、2桁の詰将棋を解くのは久しぶりだ。
ランチが運ばれてきた。うどんも海鮮丼も、確かな味で、美味かった。これで780円は安い。ケチの私が安いと思ったのだから、これは本当である。
大いに満足して会場に戻ると、渡部女流初段に挨拶された。
渡部女流初段「先日はありがとうございました」
大野教室での御礼だろう。だがこちらこそ礼をいいたい。女流棋士に声を掛けられる。将棋ファンにとって、これほど光栄なことはないと思う。
「こちらこそありがとうございます。今日は絶対優勝してください。私は愛ちゃんを優勝にしましたから」
私は渡部女流初段の笑顔を瞼に焼き付けると、そのまま席についた。渡部女流初段ともっと話したかったのはやまやまだが、私が粘着したら、彼女だって迷惑だろう。それに私は詰将棋を解かねばならぬ。つらいところであった。
(つづく)
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第9回武蔵の国・府中けやきカップ(4)

2016-04-08 00:03:21 | LPSAイベント

第1図から渡部愛女流初段は▲3二飛。打たれてみれば当然の一手だが、相手の島井咲緒里女流二段も解説の2人も、観客席のみんなも気付いていないふうだった。
ここで解説の上川香織女流二段が、中倉彰子女流初段に交代した。彰子女流初段は今日もみずみずしい。
島井女流二段はやむない△6六角。これに▲6二飛成もあったと思うのだが、渡部女流初段は▲同歩。むろんこれでも角銀交換の駒得で、先手十分になった。
この後も渡部女流初段の攻め、島井女流二段の受けが続く。島井女流二段は強烈な攻めが持ち味だが、受けもしっかりしている。
渡部女流初段は▲5五馬と引く。ここで中倉宏美女流二段から中座真七段に交代。よって夫婦解説になった。
島井女流二段△7二銀打(第2図)。何と金銀5枚の囲いになった。

中座七段はいきなり見解を求められ、「こういう、見たことのない形にするのは良いです。急所が見えにくくなりますから」と、後手の粘りを褒めた。
ところがこの堅陣が、数手後第3図のように変貌した。

穴熊の「香囲い」は珍しい。しかも後手の金底の歩は液状化現象を起こし、一段浮いてしまっている。一段目がスースー開いて、札幌地下街のようだ。
これは8一の地点が急所だ。渡部女流初段もそこを攻めて、いくばくもなく渡部女流初段の勝ちとなった。
渡部女流初段は1day何回目の優勝だろうか。おめでとうございます!!

表彰式の前に、岡本眞一郎氏による詰将棋の正解発表である。聞き手は彰子女流初段。
私たちが解いた一般問題のほかに、初心者向けの詰将棋もあったようだ。この問題がすこぶる簡単なのだが、詰将棋の基本はこれである。
岡本氏が初心者問題を解答して、5名に賞品が当たった。
続いて一般問題。詰将棋作家がみんなの前で解答手順を披露する。これは誇らしいひと時ではあるまいか。
彰子女流初段の聞き手もおもしろい。「これはどこから手をつけていいか…」は本音に聞こえて、こちらも笑ってしまう。
私は3問とも解けたが、やはり正解だった。前も書いたが、詰将棋作家は天才だと思う。これはプロ棋士がどんなにがんばっても、敵わぬものである。
この詰将棋は3名に賞品が当たるとのことだったが、私は当たってもよし、外れてもよしの心境だった。とにかくこの詰将棋は、しっかり解くことが作者への礼儀になる。今回はそれを完遂したので、もうそれで満足だった。
抽選は、全題正解者からの抽選になった。1人目は元アマ竜王の金子タカシ氏で、ああやっぱり、という感じ。
2人目に私が呼ばれた。どうもラッキーで、あるいは岡本氏か宏美女流二段が、私を選んでくれたのかもしれない。
ちなみに3人目は、13歳の少年だった。
賞品は岡本氏の詰将棋作品集に、地元・青木屋の洋菓子だった。
ともあれ私は5年前の借りが返せたようで、肩の荷が下りた気分だった。
続いて優勝者当てクイズ。こちらは5名に渡部女流初段のミニ色紙が当たる。私は正解したが、これは倍率が高くて、落選した。ただまあ、もう私にもらう資格はない。
さらにアンケート投函者へのプレゼントもあったが、これも外れた。
ちなみに当選者の1人は、Sak氏。彼は引きが強くて、いつも何かをもらってゆく。
最後に表彰式。賞状のほかに、山ほど副賞が出た。やはり勝負事は勝たねばならぬのだ。
渡部女流初段「けやきカップを迎えるたびに、上京の時のことを思い出します。いろいろありましたが、皆さまが支えてくださっているおかげだと思っています」
最後は感極まったふうだった。昨年優勝の島井女流二段にも目に涙があったらしいが、けやきカップには、泣き神様が宿っているのだろうか。
かくして今回も、感動のうちにイベントは終了した。参加女流棋士とスタッフの皆様に、厚く御礼を申し上げます。
来年は第10回。宏美女流二段の奮起に期待します。
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第9回武蔵の国・府中けやきカップ(3)

2016-04-07 00:18:56 | LPSAイベント

第1図から蛸島彰子女流五段は▲5七歩と打った。終盤の忙しい時に完全なお手伝いで、(たぶん)すかさず渡部愛女流初段は△3八角成と切り、逆転した。
以下▲3八同銀△4八金▲2九金△4七角▲4三とと進んだが、そこで△2九竜が綺麗な決め手で、蛸島女流五段が投了。ああ、蛸島女流五段はいい将棋を落としてしまった。
両者、右の大盤に移動して感想戦。中盤の蛸島女流五段の攻めが焦点となり、ここまではよかったが、やはり▲5七歩が悪手とされた。ここは▲4三とと寄る一手で、これに△3八角成▲同銀△3九角は▲3七玉で詰まず、先手勝ち。蛸島女流五段は△5六飛成の筋で自玉が詰むと勘違いしてしまったらしい。早指し戦ではよくあるケースだ。
「10秒将棋だったら逆に間違えなかったかもしれませんね」
と、中倉宏美女流二段が妙な慰め方をした。
いずれにしても渡部女流初段は薄氷の勝利。優勝者予想は彼女にしたから結果オーライだが、内容がよくない。渡部女流初段がだらしないのか、蛸島女流五段が強いのか。たぶん後者だろうが、これでは決勝戦が思いやられる。とはいえ蛸島女流五段の指し回しは若々しく、ホレボレした。
午後2時15分から、準決勝2、宏美女流二段と島井咲緒里女流二段の一戦である。
「けやきキッズ将棋団体戦」はだいぶ局数が進み、参加選手も絞られてきた。優勝まであと一息だ。
私は観客席に着座し、例によって詰将棋を解く。投函の締切は3時だから、タイムリミットは45分だ。しかし何となく詰み筋は見えている。
宏美女流二段は羽織袴、島井女流二段は洋装だった。かつてのゴールデンカードである。大盤解説は鹿野圭生女流二段と渡部女流初段だった。
将棋は、後手番宏美女流二段が△8五歩を早く決めたので、島井女流二段が向かい飛車に振った。宏美女流二段は角を換わって△2二玉と寄る。
島井女流二段は▲3八銀と締まりバランスがいいが、宏美女流二段はここから穴熊を明示した。やっぱりそうなってしまうのか…という感じだった。
鹿野女流二段の解説は弁舌滑らかでおもしろい。一般的に女流棋士の解説は手のそれより裏話的なものが主になるが、それもひとつのスタイルで、アリだと思う。
私は3問目の詰将棋がやっと解けた。これも収束が怪しかったが、例によってあぶりだしを類推して、正答を導いた。
なお、今回の詰み上がり図はカタカナ2文字。これが意味するものがよく分からないが、2文字とはまた、離れ業だ。どうしてこういう問題が創れるのか、ただただ感心するばかりだ。私はあまり天才という言葉を使わないが、岡本眞一郎氏は間違いなく天才だと思う。
解答を投函して、やっと将棋の観戦に専念できる。席上を見れば、記録係をKub君がやっていた。記譜読み上げ氏も、将棋ペンクラブの交流会などで拝見したことがある。LPSAは、こうしたコアなファンに支えられているのだ。
局面は中盤に入ったところ。

第1図以下の指し手。△3三角▲6六角△2二銀▲5四歩△4二銀▲4四歩(第2図)

第1図で△3三角はプロの指し方で、私だったらまず△5四歩と打ち、その先を考える。
▲6六角もさすがで、ここ▲5六歩などは打たないのだ。
宏美女流二段は△2二銀と、あくまでも△5四歩を打たずにがんばる。島井女流二段は▲5四歩。やっぱりここに打てるのは気分がいい。
△4二銀に、島井女流二段はピシッと▲4四歩。これが好手で、後手がシビれている。もっと書けば、これで将棋が終わってしまった。

だが、宏美女流二段もがんばる。ちょっとアヤも出てきて、鹿野女流二段がたまらず中座真七段の名前を呼ぶが、中座七段は蛸島女流五段とともに指導対局の最中だ。
宏美女流二段はと金の利きに角を打つなど粘るが、やはり中盤の失点が大きく、最後は島井女流二段が華麗に寄せた。
終わってみれば、島井女流二段の快勝だった。宏美女流二段は残念だったが、負けて切ない表情を見せる宏美女流二段が、マニアには堪らないのだ。

待ち時間に一休みしていると、かなたにいる上川香織女流二段と目が合った。今回は参加予定にはなかったが、陣中見舞いに来たのだろう。
指導対局はまだ続いていて、中座七段は5面指しだった。小学生低学年のコが平手で挑んでいたが、やや無謀だったか。でも微笑ましい。
その向こう側では、初心者用講習が始まったようだ。何回かに分かれて行っていて、お客がいつからでも参加できるのがよかった。
3時半になり、決勝戦の対局開始である。対局者は島井女流二段と渡部女流初段。新旧の1day女王の決戦である。解説は宏美女流二段と、ゲストとして上川女流二段が招ばれた。
上川女流二段、宏美女流二段をねぎらう。宏美女流二段は、優勝できなかったことに触れられ、「来年は10回なので…(来年こそ、優勝します)」と笑う。
全然めげていない。このPositiveな姿勢が宏美流である。
渡部女流初段の先手で、居飛車明示。島井女流二段は四間飛車に振り、穴熊に潜る。それに呼応するかのように、渡部女流初段も左の香を1つ上げた。
島井女流二段は△6一金~△6二金とタテに並べる。これが広瀬システムで、この形のまま戦いになっても可、がウリだ。島井女流二段も愛用している。
宏美女流二段、「最近定跡本を読むようになったんですけど、定跡本は勉強になりますよね」と、冗談とも本気ともつかぬことを言う。
局面。5筋で飛車交換になり、意外なところから戦いが起こった。
渡部女流初段は▲5三歩△同金直と味をつけ、馬で桂を取る。島井女流二段も同様に、飛車で桂を取った…。

(つづく)
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第9回武蔵の国・府中けやきカップ(2)

2016-04-06 00:17:15 | LPSAイベント
大庭美樹女流初段との指導対局の前に、特典により、ツーショットで記念撮影。私は写真に映るのが嫌いなのだが、断るわけにはいかない。
私は3人掛けの机の右端に座り、対局開始となった。

初手からの指し手。▲2六歩△3四歩▲7六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金▲2四歩△同歩▲同飛△8六歩▲同歩△同飛▲3四飛△3三角▲3六飛△8四飛▲2六飛△2二銀
▲8七歩△5二玉▲5八玉△1四歩▲3八金△7二銀▲4八銀△2三銀▲3六歩△8六歩▲同歩△同飛▲3五歩△8八飛成▲同銀△5五角打(第1図)

私は初手▲2六歩。大庭女流初段は右玉を得意としているが4手目に△8四歩とし、横歩取りの将棋になった。意外な展開である。
上手は△1四歩から△2三銀。上手の△2三銀型はもはや常識となりつつあるようだ。
隣のエリアでは、鹿野圭生女流二段が指導対局を行っている。どちらも3名満員となっていた。
▲3六歩に上手は△8六歩と合わせてくる。2月21日の植山悦行七段との将棋でもこうなったが、これはセット手順らしい。
△8六同飛に▲3五歩も当然。ここで大庭女流初段が△8八飛成ときたのでまたもビックリした。
△5五角打にはどう指すべきか。

第1図以下の指し手。▲8三歩△8八角成▲同金△同角成▲8二歩成△8九馬▲7二と△6九銀▲4九玉△6七馬▲3九玉△2五歩(第2図)

局面は風雲急を告げているが、私は不謹慎ながら、例の詰将棋を腿に置いて指していた。大庭女流初段がほかの将棋に移っている時に、局面を盗み見するためだ。しかしこれ、指導を受ける側としては最悪の姿勢で、読者には勧められない。絶対にやめるべきである。
私は▲8三歩と打った。ここ▲7七桂も考えたが、△1九角成とされ、次に△1五角~△2九馬があり、下手とてももたない。さりげない△1四歩がよく効いている。
△8八角成からの二枚換えは痛いが、下手も▲8二歩成~▲7二とと銀を取って、まだまだ戦えると思っていた。
上手は△6九銀~△6七馬。この追撃もキツいが、こちらは▲8七飛の楽しみができた。
大庭女流初段は△2五歩と打ち、飛車のご機嫌を聞く。

第2図以下の指し手。▲6一と△2六歩▲6二飛△4一玉▲2二角△4九飛(途中図)

▲2八玉△2七金▲同金△同歩成(投了図)
まで、58手で大庭女流初段の勝ち。

私は無視して▲6一とと金を取った。これは詰めろではないっぽいが、もちろん理由もあって、次の上手の△2六歩も詰めろではないと思ったのだ。
私は▲2二角と上手玉の退路を断つ。これで上手玉は受けなし、勝ったと思った。
ところが大庭女流初段に△4九飛(途中図)と打たれ飛び上がった。
バカな、△4九金の一手と思い込み、それは▲2八玉で下手勝ちとフンでいたのだ。
本譜は▲2八玉に△2七金と打たれて、あとは容易な詰みである。▲2七同金△同歩成まで、投了した。

感想戦。△5五角打に私の▲8三歩がまずく、ここは▲7七桂だったらしい。また歩を打つなら▲8二だったという。
第2図での▲6一とが決定的な敗着で、上手玉が詰めろでない。この局面を大庭女流初段は「知っている」ふうだった。さすがにプロの研究量はすごい。
だが第2図で▲2五同飛も△3六桂が厳しく、下手敗勢。遡っていくと、第1図での▲8三歩が敗着だったようだ。
整理すると本局、教わったのは、第1図で▲7七桂と▲8二歩、ということだけだった。
それで思ったのだが、指導対局で横歩取りは良し悪しだ。勝負になればいいが、吹っ飛ばされると、あまりにも勉強になるところが少ない。

まったく冴えなかったが、皮肉なことに、これで詰将棋解図に専念できる。
ステージは、蛸島彰子女流五段―渡部愛女流初段戦である。解説は中座真七段、聞き手は中倉宏美女流二段が務めていた。久しぶりに見る宏美女流二段はいつも通りの平安顔である。今年こそ優勝してもらいたいが、どうなるか。
将棋はもちろん蛸島女流五段の振り飛車だった。蛸島女流五段が飛車で桂を食いちぎり、敵陣に迫った。小駒だけの攻めだが、意外に手が続きそうだ。
▲5三銀、と畳みかける。「ガジガジ流ですね」と中座七段。これは蛸島女流五段のほうを持ちたくなってきた。
会場の左手では、島井咲緒里女流二段が戦況を見守っている。島井女流二段はこのあと、宏美女流二段と準決勝2を戦う。
私は詰将棋の2問目が解けた。収束が若干怪しかったが、最終型が想像できたので、微修正した。このあぶりだしは漢数字。よくこういう詰将棋を創れるものだと思う。
席上対局は蛸島女流五段が優勢になっていたはずだが、ちょっと目を離したスキに、おかしなことになっていた。
何でこんなことになってしまったのか。現局面から数手戻してみる。

ここで蛸島女流五段はどう指したか。
(つづく)
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